おっくう
これから、ムスメの三者面談( 正確には担任が二人いるから四者面談らしい)である。車で20分。運転をしなければならぬのだが、眠い。とにかく眠い。
疲れて眠い、お腹がいっぱいで眠い、と眠くなる要因はいくつかあるが、現在の眠さは「現実逃避」からくるものである。
テーブルの上に数日置きっぱなしになっていた進路のプリント。てっきり2学期の課外に出る人の申し込み用紙かと思っていたら、なんと、今日の面談で進路についての確認をするから志望校を第3希望まで書いて持ってくるように、と書いてあった。読んでなかったー。ぜんぜん!!!
わたしがテキトーに書き込んでいてやろうかしら。「東大」「京大」「福大」とか。これで先生が笑ってくれたらいいが、そうもいくまいな。しかし、ムスメはすでに学校にいて、わたしにはどうしようもないのだ。
高校に入学して、すぐに進路指導があり、希望の方向性を聞かれた。まだ中学から上がったばかりだぞ、と思ったが、周囲の人たちはみんな決めているらしい。わたしが高校生の時は3年の3学期まで進路について何も決めていなかった。現実逃避ばかりしていたので、結局は入試の直前まで、何も決められなかったのだ。そんなわたしの遺伝子をもつムスメだしな。
先月は、2年次3年次の時間割を作ってこい、という課題が出ていた。卒業単位だけでなく、進路に合わせてカリキュラムを組んでこい、というものだ。解けないパズルみたいで、「こっちに生物を入れたら、ここで詰む」「わー、美術2が入らん!!!」とワーワー言いながらやっていたが、とうとう最後は「詰んだ!!!」と言ってふて寝をしてしまった。それくらい難しいらしい。オットが付き合ってやっていたが、とうとうオットまでさじを投げた。「とにかく卒業する単位で埋めた!」とか言いながら半ば怒っていた。なんなんだ。こんなことでいいのか。
いや、ともかく。わたしは眠いとか言っている場合ではない。しかしさっきから、お腹がグルグルいい始めた。わたしは緊張性腸炎になりやすい。つまり、緊張するとお腹が下るのだ。やばいなー。まずいなー。こまったなー。
面談の最中に、「うっ」とか言いそう。「どうしましたか、お母さん」「いや、あの、ちょ…ちょっと、お手洗いに…」という展開が待っていそうだ。
あの学校は、教室からトイレが遠い。遠い上に、圧倒的に数が少ない。なぜあんなに巨大な校舎なのに、一つのフロアに個室が2つしかないのか。謎。いや、そんなことはどうでもいい。なにか言い訳を考えておかねば。
ムスメが小さい時から、提出物が間に合わなくて、ずっと頭を下げてきた。プリントをランドセルに入れっぱなし、学校に置きっぱなし、教科書とノートに挟まってぐちゃぐちゃ。中学校では伝言がうまくいかず、「いつまで?」と聞いたら「明日まで」なら上出来で、「今日まで」というのはセーフで、「昨日までだった」とか平気で言う。
すみません、すみません、と言いながら生きてきた。もう慣れっこだ。ただ、こちとら慣れっこでも、相手は初めてのことである。どういう対応かは未知なのだ。そこが怖い。だからお腹がぐるぐるいう。
あと1時間。どうしようもできないことに悩むより、ちょっと寝るか。いや、寝たら今度は遅刻しそうだ。ともかく、顔でも洗ってこよう。
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