じんくす
うちにはムスメがいる。彼女が中学生の時、部活動の移動で乗った新幹線が5時間遅延したことがある。午後3時ごろ博多駅を出て、7時には名古屋に着くはずだったのだが、新岩国を過ぎたあたりで人身事故があり、新幹線が止まってしまった。目的地の名古屋に到着した時には0時を過ぎており、ホテルに着いたら午前1時を回っていた。
さて、先週末のこと。目的地は新神戸。博多駅を午後3時半ごろ出る東京行きの『のぞみ』に乗った。しかし、出発しなかった。中国地方の豪雨のため、運転を見合わせるという。
わたしたちはどうしてもその日のうちに神戸に着く必要があったので、座席に座ったまま待つことにした。アナウンスが刻々と変わっていく。
「ただいま運転を見合わせております」
と言っていたのに、1時間後には
「この列車は運転を取り止めます」
になった。今後のことは決まり次第アナウンスします、というので待っていた。すると
「この列車は行き先も出発時刻も列車の名前も決まっておりません。」
と言い、乗客は不安が募った。動かないならもう諦めた、という人たちは払い戻しの列に並び、動くまで待つと決めた人たちは駅弁屋やコンビニに食べ物を買いに動いた。
5時半、ようやく
「雨足が衰えたので係員が現地に到着し、設備の点検を始めました。点検作業には2時間かかる見込みです」というアナウンスに希望の光を見たが、その点検次第では運休になる可能性もある。
「運転再開の場合は7時半前後になるとのことです」
わたしたちは待った。午後8時10分、『のぞみ』は『ひかり』になり、行き先も東京から新大阪に変更された。そして、いつの間にか各駅停車に変更された。
新神戸に着いたのは午後11時。およそ5時間遅れである。オットはムスメに「お前は新幹線に乗ろうとすると遅延する女」とラベリングした。ムスメとわたしは笑って流したが、オットこそ「洗車をすると必ず雨が降る男」なのだ。百発百中に近い確率で、必ずと言っていいほど雨が降る。それは洗車後すぐにだったり、翌朝だったりするのだが、とにかく雨が降る。
というわけで、わが家にはジンクス持ちが二人いる。