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30分卒業式
昨夜、首相から「来週から春休みまで、全国の公立の小中高校を臨時休校にするよう要請した」と発表があった。
それを受け、学校から3月の行事は全て中止か縮小されるという連絡。
全校生徒が参加する『3年生を送る会』。吹奏楽部のムスメは、ここで校歌や先輩たちを送る曲を演奏する予定だった。去年は「3月9日」を演奏し、先輩たちが号泣したと聞いたが、今年はそれもない。
他県では、卒業式さえ中止の学校もあると聞く。わが校は卒業式は30分間でやる、とのこと。在校生なし、来賓なし、吹奏楽部の演奏もなし。修了証授与は代表のみ。全員の名前は呼ばれない。3年生は、今日登校したら、次は卒業式のみ。4月から別々の学校に進学するのであれば、友人たちとそのままサヨナラだ。謝恩会は延期になる可能性もあるが、新学期が始まれば、全員参加は難しくなる。
1年生にしても、2年生にしても、来年度も同じ学校に通うとはいえ、先生は異動する可能性がある。親の転勤に伴って転校する子もいるだろう。終業式がないので、今日で最後だ。
今年卒業する中学3年生は、小学校入学の年に東日本大震災に見舞われている。つまり、東日本の中学3年生は、保育園、幼稚園の卒園式の時も、式典やお祝いが満足に行われなかったのだ。入学式が遅れた学校も多かった。
なんとツライ偶然だろう。
突然、関係性を絶たれる。非常事態になればこうなると知ってはいたが、これはこれまでに感じたことのない感情だ。平和が明日も続くと思って生きているが、こんなことも起こりうる。病気の流行が来月には必ず収束するという保証もない。自然災害や戦争で関係性を引き裂かれた人たちの思いが、どんなものだったのかは計り知れないが、この感情の延長線上にあることはわかる。
ムスメは昨夜、「学校に行くの、もう明日と卒業式の2回しかない」と嘆く先輩に「明日を存分に楽しみましょう」とラインを送っていた。なんと無邪気で切ないメッセージだろうか。世界の終わりが迫ってきたとき、わたしは誰かに「存分に楽しみましょう」と言えるだろうか。
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