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せいふく

Twitterのリプライでも呟いたんだけれど。こっちにも書いておこうと思う。学校の制服のことだ。

わたしの住む市では、昨年から市立中学校の制服が変わった。それまでは女子はセーラー服、男子は学生服、が標準服として決められていた。『標準服』だから、なにかバリエーションがあるのかと思っていたら、なかった。スカートの長さは膝下何センチとか、リボンの結び目から端までは何センチとか、細かく決められた校則もあった。冬になると、男子は学ランの下にセーターやトレーナーを着ても良かったが、女子は襟から見えない何かを着るか、カーディガンを着ることが決められていた。タイツは黒、タイツの時には靴下は履かない。スパッツはダメ。

何年も前から市に意見をし続ける「制服を考える会」という保護者主体の団体がある。教育委員会や議会を巻き込んで、最終的に制服を変えることにつながった。男子はブレザーとスラックス、女子はブレザーとスカート、もしくはスラックス、さらにキュロットスカートから選べる。

女子だけのバリエーション?と思うかもしれないが、書類上の性別が男子でも、どれを着ても構わない、と聞いている。ジェンダーバイアスに耐えられず、どうしてもスカートを履きたくない女子、どうしても学ランが嫌な男子に対応してのことらしい。

わたしがパートで勤めるフリースクールの連携校(高校)には制服がある。高校から『この度、女子もスラックスを履くことができるようになりました』というプリントが配られた。わたしは「ついにジェンダーフリーの制服改革か」と思ったが、そうではないらしい。『ただし、スラックスはスカートのサブ的扱いであり、正装が求められる場面では、スカートを履くこと』と書き添えてあった。つまり、寒さ対策が大きな目的だと思われる。

ムスメが通うことになっている公立の高校では、女子の正装はスカートとスラックスの両方である。どちらを選んでもいい。制服の採寸に行ったら、先生が「どちらを着てもいい。両方用意して、日替わりで着ても大丈夫」と言っていた。これがジェンダーフリーの考え方でそうなっているのかどうかはわからないが、スカートを履きたくない女子が、卒業まで一度もスカートを履かずにいられるのは事実だ。自転車通学をする予定のムスメは基本的にスラックスを履くらしい。「冬は寒いしね」と言っていた。さらに、出費は痛いがスカートも買った。洗い替えがどうしても必要な人なのだ。

制服って、なんだろうね、と思う。自分が中学校、高校の時はそれが当たり前だった。大人になって、関東出身の人に話を聞くと「高校時代は制服はなかったし、何を着ても良かった。化粧しても、髪を染めても、ピアスを開けても良かった」と聞いた。地域によってこんなにも違うものなのか。

フリースクールに来ている子と雑談をした。彼は「ぼくは制服がダメなんすよ」と言った。みんな同じに見える、あの中に入れない。あの中に入ると、同じでなくちゃならない。人と違うと叱られる。彼はそう言ったあと「ほーんと、ダメなんっすよね〜」と言いながら教室を出て行った。

学校という組織に、制服が必要な気もするし、必要ない気もするし、よくわからない。そういえば、志望校を決める時「やっぱ制服がかわいい学校がいいよねー」と言っていたムスメの友だちは、この春から制服のない学校へ行く。卒業式で「最後の制服だね」と言ったら、「はい。生涯最後の制服です。この先、制服はありません」と笑っていた。


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