ふぃるむ
フリースクールの中学生が「ああ〜、こんなことなら、普通の中学校に行っとけばよかった!」と、こぼした。どうしたどうした。なんだなんだ。
聞いてみたら、受験勉強をやってもやっても、合格ラインに到達しない。それが不安でしょうがない。フリースクールでなければ、おそらく普通に取れる点数のはずだ、と言う。
受験前一週間。不安は大きいだろう。でも、そんなふうに、過去の自分を責めないで欲しい。自分の決断を否定すると、今の自分が、惨めな気持ちになる。「自分を責めないでね」と声をかけた。大丈夫きっとうまくいくよ、とは言ってあげられなかった。わたしはその言葉に責任を負えないと思った。
それで、彼の日誌に星野源の「フィルム」という曲を紹介した。まあ、おばさんの的外れなアドバイスかもしれないが、わたしはこの曲にいつも背中を押してもらう。
「どうせなら、作れ作れ、目の前の景色を」と言うフレーズだ。世の中、どれが本当でどれが嘘だかわかりにくい。胸が張り裂けそうに苦しい時こそ、いっそ自分で切り開いていけ、飛び上がるほど嬉しい日々が待っているから。そう言ってくれていると思う(わたしの解釈だが)。そして、星野源もまた、そうやってハードルを一つずつ越えてきたのだろうと思う。
多感な時期、初めての受験という大きな壁、公立校ではなく、フリースクールに通ったというハンデ。そう、フリースクールに通うと、評定をつけてもらえない。いわゆる「内申点」が見込めないのだ。公立でも私立でも、通常の「中学校」に通わないと、県立や市立といった公立校の受験にはかなり不利なのだ。
ムスメと同学年の彼。きっとうちの子も、なにやら悩んでいるのだろうが、親には打ち明けない。彼には、身近な大人に不安を吐露できる環境と、自らの精神力が備わっている。それだけでも「どうしても行きたくない学校」よりも、今のフリースクールを選んだことは正解だと思う。
とはいえみんな不安だろうな。受験生みんなの実力が発揮できますように。
(星野源「フィルム」はYouTubeでPVが観れますが、フルで聴けません。途中にCMが挟んであります。)