失恋して、髪を切る
14年前の夏、私は長かった髪をバッサリ切った。
それは好きな人から振られた翌日のことだった。
失恋して、髪を切る。
そんなの、もう誰もしないよね。都市伝説かもしれない。
でも、とにかく自分を変えたくて。自信がなくて依存したり、考えすぎてネガティブになったりするばかりの自分を。
ずっと伸ばしてきた髪をバッサリ切れば、なんか変われるんじゃないかって思ったんだ。
美容院で恐る恐るリクエストしたら、「絶対可愛くしますよ」と美容師さん。背中を押してくれる人がいたから、迷わず踏み出すことができた。
ジャキジャキ
バサッ
シャッシャッ
パラパラ
鏡に映る私は、1時間ほどでロングヘアからショートヘアに変わった。
予想以上に、似合っていた。
けれど、変わったのはそれだけだ。髪をバッサリ切ったからといって、顔や性格が変わったり、失恋した事実がひっくり返ったりはしない。
心のモヤモヤも、たいして晴れてはいなかった。想像では、もっとパァーーーッと見える景色が変わるイメージだったのに。
「なんだ、いつもの私じゃん」
と、このときは思い込んでいた——。
効果は遅れて現れる
約1年後、私は長年勤めた会社を辞めた。
「文章を書いたり、絵を描いたりすることを仕事にしたい」という夢を追うための決断だ。
恐る恐る最初に相談した相手が、「いいじゃん! 話聞くよ」と応援してくれた。そうしたらもう、行動するしかないじゃない。
数年後、私はフリーライターになり、もう10年続けている。髪も相変わらずショートのままだ。
髪をバッサリ切ったあの日、私は確かに変わっていたのだ。
やりたい! と思ったことを、
やる! と決め、
実行し、
続けられる自分に。
ジャキジャキ
バサッ
髪を切られながら私は、「ロングなら安心」という型を破り、失敗を恐れず、未来を信じる自分に変身していったのだ。
ポイントがある。
決めるのは自分だけれど、誰かに背中を押してもらうこと。背中を押してもらうには、やりたいことを口に出さなければならない。
やりたいことは、何ですか?
あなたは今、やりたいことありますか?
どんな小さなことでもいい。口に出そう。
口にするのが怖い? なら、この記事にコメントしてみて!
そうしたら、少なくとも「やりたいことを他人に言えない自分」から、「やりたいことを他人に言える自分」に変われるから。
あなたの背中を、押させてほしい。
最後に。
失恋をきっかけにショートヘアにした私だけれど、数年後に別の男性と結婚した。今の夫だ。
「なんで好きになった?」って聞いたら、
「ショートヘアが可愛かったから」だってさ。笑