魔王の井上さんと姉 part1
眠たい…
休日の朝
ツンツンと頬っぺたを突かれて目を覚ます
○ : んぅぅ…
和 : 起きなさい
もう9時を回ってるぞ
重たい瞼をこすり
目を開けると…
近い…
和 : おっはよぉ〜
○ : おはようございます…
至近距離で顔を覗き込んでくる
改めて見ると絶世の美人だと再認識できる
和 : 今日…何の日かわかる?
○ : CoCo壱の新作ですよね…
和 : せいかーい♪
井上さんの朝は基本元気がなく
ぼーっとしている
大好きなカレーになると朝も上機嫌になるのか
昨日の夜、寝る前に何回カレーと言ったことか
寝る直前まで言われた時は
もはやカレーの呪文でも完成するのかと思う程だった
和 : 早く♪早く♪
○ : はいはい〜
大好きなカレーは逃げませんからね〜
俺はカレーの呪文を軽くあしらった
和 : 今バカにしたでしょ?
○ : してないですよ笑
その後も同じやり取りを何度かした後
CoCo壱へと向かう
——————-
和 : 美味そ〜
○ : ん?それは何のカレーですか?
和 : 夏限定の野菜とチキンが入った
スペシャルカレーだ♪
それはカレーなのかという疑問を抱きながら
○○は自分のカレーを頬張る
和 : ○○のそれは何?
○ : スクランブルエッグカレーですよ
和 : 美味しそ〜
一口ちょうだーい
上目遣いと甘い声のダブルパンチに
断る理由がなくどうぞと皿を和の前に差し出すが…
○ : ん?いらないんですか?
和 : 違う違う…
和 : 食べさせて♪
○ : え///
不意に和の甘い声に思わず動揺してしまう
和 : なーに?私じゃダメって言うの?
○ : そうゆうのは家でやりましょうよ
和 : 家でされたことないんだけど…
図星だ…
和 : 別に周りに誰もいないし
恥ずかしがることないよね?
○ : わ..わかりましたよ///
○○は今まで付き合った経験がない
初めての事でつい緊張してしまう…
○ : はいあーん//
和 : あーん パク
和 : 美味しいニコッ
あれ…なんかドキッとする…
普段見せないクシャっと微笑む顔に
つい頬が緩んでしまう
○ : 可愛い..((ボソ
和 : え///今なんて言ったの?
○ : え?何も言ってないですよ
(つい心の声が…)
和 : いーや 今可愛いって言った!
○ : 言ったかなー?
カレーに目を向けて
食べながら知らない素振りをする
傍から見たら2人のやり取りはカップルだ
—————————
和 : 美味しかった〜
2人で満腹感に浸りながら家路へと向かう
和 : ねぇ…今日は何するの?
○ : 今日ですか?
何にも考えてなかったな〜
○ : どっかに出かけるか…
いや..家でまったりするのもいいな
大学生の休日というのは
アルバイトに勤しんだり、友達と遊ぶ人が
大半だろう
俺もそのうちの一人だ
隣にちょっぴりわがままな魔王様がいるが
彼女との同居生活もだいぶ慣れてきた
和 : 家でゆっくりしようよ〜
○ : それもいいですね
二人で予定を決めたのも束の間
すぐにこの計画は潰される
📱 ピロン
ん?誰だろう..
携帯を見ると…
?📱 : 今日○○の家行くね♪
てか、もう着く!!
○ : え!?
和 : ん?どうしたんじゃ?
○ : すいません..
今日ゆっくりできそうにないです…
和 : どうゆうことじゃ?
急な予定ができたのか?
和 : まさか…愛しき未来の妻を置いて
他の異性と遊ぶのか….
さっきまで上機嫌だった声が
徐々に低くなっていくのが明らかだった
○ : いや…違います…
和 : じゃあなによ
○ : お姉ちゃんが..くる…
和 : 何!?○○にお姉様が…
和 : てか兄弟いたんだ…
○ : 言ってないですからね…
○○が何故、絶世の美女を目の前にして
あまり照れずに冷静にいられるのか…
それは○○の姉が和にも劣らない美人だからだ…
和 : ど…どうするんだ…
○ : どうすると言われましても…
まぁ…上手くやり過ごすしかないですね
和 : んー…
和 : わかった
ここは任せなさい!
○ : 飲み込み早くないですか!?
和 : 当たり前だ
○ : 本当に大丈夫かな…
和 : 私は魔王だ!これしきの事で…
何も問題ない!
和 : その前に..一つ確認したいんだが…
○ : はい?
さっきまでのフワフワとした空気から一変
ピリッとした雰囲気が和から放たれる
和 : 私と○○はカップルという事であってるのか?
○ : え..何で確認なんか…
いつもみたいに強引にいかないのか…
和 : ○○のお姉様は丸一日いるだけだろ?
○ : 多分そうだと思います…
和 : そうか…
なら一旦解散しようか?
○ : え?
和 : 私は街をブラブラして
時間を潰すこともできる
和 : ○○がこの関係をあまり公にしたくないのなら
私は夕方まで一人で…
○ : それは嫌です…
和 : ほう..何故だ?
○ : 井上さんは美人なんで野放しにすると
男がよってたかって集まります
○ : それに..知らない街を一人で歩くのは
危険ですし..迷子になられても困ります
和 : 一応言っとくが…私は魔王だぞ?
私は強い…○○より…この世界の誰よりも…
○ : もちろん..わかってます…
○ : けど..一人の女性として…心配です
和 : ふ〜ん…なら…
それでも私と帰りたいなら…
「はい」と言って、小さな手を○○の前に出してくる
和 : 一緒に帰りたかったら…手を繋げ///
ギャップ萌えかよ…
井上さんと1ヶ月以上生活してわかったことがある
あの時、井上さんの真意を聞いてから
更に積極的になってきた
魔王は恋愛にも強いのか…
恥ずかしさを隠している彼女の笑顔に
○○も笑顔で和の手を握り返した
To be continued
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