【商業出版する方法+339】出版企画書の持ち込みもいろんな方法があっていい。でもチャラくて軽くて浅い企画書はつくちゃダメよ、って話。
元KADOKAWAのビジネス・実用書出版プロデューサー+編集者+コンサルタントの渡邉理香です。
最近こういう動画を見たのですが・・・
この動画をアップしている人は、元学研にいた西浦さんという男性の出版プロデューサーです。
元出版社の「営業マン」でもあるので、この人が発信する「商業出版したい人向けのコンテンツ」は私も共感するところ多いです。
やはり「出版社あがり」のプロデューサーは、著者や出版社に属した事なくても「出版プロデューサー」とか「コンサル」とか名乗る人よりも、非常に信ぴょう性とリアルを突いてます。
で、今回の動画は、結構・・・というかかなり「イタい」ところを言及しています。
かつこの持ち込み方法は、私もある意味において「採用」しており、出版コンサルのクライアントさんに一部指導させてもらっている点も否めません。
この動画を見て「わかるわかる」と思える節もあるのですが、ただ「編集者」という側面から見ると、また違った視点になるんだよなーって感じる事も。
というのも、いろいろお話はしてもらっているけど、結局のところ出版社の編集者って、
・一見さん
が好きじゃない・・・というかもっと正確にいうと「用心する」し。。
・金太郎飴みたいな企画書の書き方が「好きくない」「相手にしたくない」
ってところだし、、
・とにかく「チャラくて軽い&浅い感覚の起業家・経営者の”本出したい!”の主張が嫌い」
ってことでもあるんだよね、、って話なんです。
1、「同様の企画あります」系で送られてきた企画については何も感じなかった私の経験。
私もかつて会社員編集者として
「企画書を送られる側」
にいて、何百通も目を通してきたタイプです。
その経験を経てる観点で言うと、個人的にこの動画で言及しているような「担当した本の編集担当者宛」(すなわち「同様の企画あります式」)に企画書が来たことについては、、、
なーんも感じなかったです(笑。
KADOKAWAはそもそも
「原稿の持ち込み公募」なんて
ものをオフィシャルに受け入れてないので、、編集者である私のデスクに持ち込み郵送の企画書が届いていたことに関しては
「すごい手法だな!」
「やるなあ!」
と思ったものです。
そうした送ることへの「体裁」については何も感じなかった(笑。
そこで印象が最悪!とはならなかったのですよね。
私が重視してたのはやっぱ
「企画書の内容」です。
2、結局「出版企画書」に熱意も感じられず、商品企画になってない企画書を出すので編集者の熱意も下がる。
その企画書の9割が・・・
”出版企画”が立てられていなくて、ただ「自分が出したい!だけの思いが詰まった手紙」になってて無理ゲー。”
”そもそもKADOKAWAではとり扱えないテーマ&ジャンルと著者ステイタス”
”書籍の内容、著者候補のプロフィールが十分にアウトプットされていない(何者がどれくらい「売れるコンテンツ」を持って、書ける人なのかがわからない)”
”そもそも企画書としてまとめられていない”
”出版社として出版社に属する編集者として欲しい!・・・と思える商品企画になってない”
”企画の内容と著者の個性がアンバランス”
・・・こういったことが圧倒的に多く(9割がこんな感じ)、
編集会議に出すことさえ至らなかった(=シュレッダー行き)ことの方が多かったですよね。
だから出版企画の設計や内容の整理、体系立て、立て付け・・については丁寧にする必要はあるよなあ・・・と常々考えてはいます。
とにかく
「商品企画」
になってないケース
&
アウトプットが不十分すぎて「他の既刊本との差別化が全くわからない」
が9割だったかな〜。
まあでも基本商業出版って
「持ち込み企画全てで本が作られているわけではなく」
編集者が自分で売れる本の企画を立てて、売れる本を書いてもらえそうな実績のある著者に依頼して本作る。。。
ってことが本分なので・・・
そこの「大前提」を本出したい!ビジネスパーソンはわかっておいて欲しいかな、、ってところです。
企画書持ち込みで作られる商業本は全体の2〜3割にもみたない。
めっちゃ少数。 その意味で競争率は半端なく高いことは間違いないですね。
3、企画書の持ち込み方法を「限定化」することはないのでは??と考える件。
なお、西浦さんが解決策として挙げられている
①編集者を紹介してもらう
や
②影響力を上げる
ってことについてですけど、
①については、、この路線でうまくいく場合も割に多いので、その方向でいけるのであれば良い方向性だと思います。
でも出版の世界ってネガティブポジティブ含め「なんでもあり」だったりもするので、、
相性や条件の良い編集者や出版社と上手につながらなかったりする事も多く、タイミングの良し悪しもあります。
だから、企画書の郵送と労力はそんなに変わらなかったりすると思うのですよね。
個人的には「郵送しても見てもらえている」「編集者と繋がれる」・・て事はありまして。
そこから実際に出版決定したことだってあるし、出版社の編集者の人からお断りだけど丁寧にメールもらったこともありますよ。
だから「編集担当者宛に同様企画があります的」郵送が一概にだめ!なわけでもないのではないかしら。って考えます。
②については、確かにSNSもブログもwebもリアルにおいても”フツーの人”の状態のままで商業本のようなオフィシャル度の高い商品を生み出す側に行くのは、、夢うつつがすぎるかなあ・・・って思います。
昭和や平成中期くらいまでの時代はSNSやwebがなくても、まずは本だけ出せばいける!みたいな考えで良かったのですが、
令和に入り、スマホが普及した現在においてはSNSの活用も一つの宣伝&PRツールになり得てます。
だから「本だけ出せば、なんかうまくいく」・・・って事も、人によってはあるでしょうが、これで出版の世界が全部回っている!と思い込まれても、よくないですね。
実際、今売れてる本の8割以上は「SNS連動性の高い著者」だったりしますので。。・
また著者って
「プレ芸能人」みたいな
存在になっていくので、、その意味でインフルエンサー力は無いよりある方が絶対いいです。
本が売れていく”勢い”みたいなものが、違います。
やっぱ売れやすいですよ。SNSやweb戦略を味方につけている人は。
4、大手は確実に「著者をシビアに選択しにかかる」
あと「本出したい!」経営者や起業家にありがちなのが、
・大手出版社から出したい
・ベストセラー編集者と組みたい
・自分の思いを表現して一気に売れる本を出して承認欲求満たしたい
・・的な思いを含んでいる人が
一定数いること。
基本私もそうだけどこれから出版の世界の新規参入する人に向けてKADOKAWAとか大手は勧めてませんー。
大手はインフルエンサーが好きなので(それだけ売り上げ&利益を確保したい)、 真っ当な「実務性を持ったスキルをまとめる」以上に、エンターティンメント性や拡散力を求めます。
起業家や経営者のスキルやノウハウってあんまりエンタメ性や拡散力は・・・・無い(低い)方です。
だから大手やヒットメーカーをよく手がける出版社は「向かない」ことが多いです。
その意味でも、自分と相性が本当に良い出版社や編集者と結びついた方が、未来を考えた上でも著者としてのブランディングやビジネスの伸びなんかを意識しても、有効性は高くなりやすいですね。
5、編集者も「素晴らしく出来のいい人ばかりじゃない」。
動画内でも話があるように、企画書の持ち込みに関してクレーム出してる出版社の編集者がいるようですが、
その中に・・・
「うーん、いけすかないなあ」
と思える人さえ、いるんですよねえ。
私も会社員編集者時代から
「あわねえなあ、こういう感じ」
「え、なんでこんなに偉そうなの?」
「ベストセラー出してるから上から目線?」
「どうして横柄なの?意味わかんね」
・・
と思えるタイプの人・・・多くいました。
クセのあるタイプもビジネス書の編集者には中にはいるし・・・とにかく二言目には
「その人、有名なの?」
って言う編集男性とかもいたなー(なんか嫌いだったけど)。
果たして企画書の持ち込みに関してクレーム出している編集者の「質」もどうなんだろう・・・って思う事も多々ありますので、それを無視してこの発信を鵜呑みにするのはどうかな、って感じです。
6、まとめ
とはいえまとめますと・・・
要は自分の「こういう本を出したい!」て企画及び自分自身と出版社との「相性」をどう見極めていくかにかかってるかな、って思います。
「自分のコンテンツと自分に合った出版」をやっていくかじゃないかなあ・・と。
そして、何よりも出版社の編集者は「本出したい!」人たちから少なからず「傷つけられている」経験も多いです。
著者や著者候補(本出したい!人)から、かなり失礼なことをされた・そういう経験を持っている編集者たちは全体の9割。
ベストセラーも「ベストセラーをしこんだ」ことで、ベストセラーになっていることも多いので、本出せば勝手に売れていく・本出したら普通にベストセラーになった、、みたいな
軽くて浅い感覚で出版の世界も展開してないことが多いので・・・
編集者たちは「持ち込み企画」「本出したい著者候補」に「用心深い」のですよね。
この動画の本質って、結局そこに行き着くのかな〜と感じた次第です。
出版の活動って「恋活・婚活」と一緒なんだよなあ・・って思ってやみません。
相性とタイミング、ってこと、ありますし、、
出版したいなら、出版世界の「流儀」を理解した上で動いてほしいよね、ってのが出版社の編集者たちの本音なんです。
編集者は「本のことなんも理解してないで、わがままばっか言うな〜」
「著者の言うとおりにして本にしてみたけど、全然売れないんだよね。だから次はこのコンテンツは書籍化する流れで動きたくない」
・・・これが現場の「本音」です。
この心情に配慮しながら、出版活動を行うことが大事でしょう。
何よりも出版社の編集者を味方につけなければ、
出版社の編集者が「あなたに描いてほしい!」と言って、膝を屈してもらえなければ商業本は出せないのですから・・・。
なお動画内で言ってる「フリーランスの編集者が勧めている」みたいな発言だけど・・私のことかな(笑?
別にいいですけど(苦笑。
ただ私は、「同様の企画あります」の企画書に対して悪い気をさほどしないタイプだったから、、そういうのさほど気にしないタイプの編集者の人もいると思うので、、そういう人にご縁があればいいなーって感じです。
まあ、その辺も「タイミング」と「相性」じゃない??
その確率を上げていくための企画と企画書の作成をゴリゴリやっていくだけですよ。
ということで・・・本日は以上です。
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