商業出版する方法#51〜ベストセラーの秘密は「意外とみんな悩んでる」。
元KADOKAWAのビジネス・実用書出版コンサルタント、渡邉です。
よく聞かれることがあります。
「売れる本の特徴ってなんですか?」という話。
色々考えるのですけど、最近の結論としてはタイトルにもあるように・・・
「意外とみんな悩んでいる」を浮き上がらせ、解決できる本、だなあ〜と。
最近売れている3つのジャンルからみていきましょう。
1)意外とみんな「エクセルの使い方で悩んでいる」
Excelの本が売れています。
え?!と思う方もいるかもしれませんが、WORDやPowerPointの本はそうでもないのに、Excelの使い方に触れた本はヒットします。
中には10万部を超えるベストセラー本も出ています。
帯にもあるように、まさに「歴史を塗り替えた」本といっていいでしょう。
Excelに関する本は、たくさん出ていますし、売れている本も多いです。
どういうことか、っていうと・・・
「みんな意外とExcelの使い方で悩んでいる」
という課題を抱えていた!んですよね。
Excelを初めて使うけど、どうやって使えばいい?ではなくて、
”生産性を上げるためにExcelをどう使いこなすか!?”
を知りたい!という「潜在ニーズ」にフィットしたのです。
Wordやパワポ以上に、Excelの方がニーズが高かった、、という結果でもあります。
でも確かにわかります。
Excelって、ちょっとイライラさせられるんですよね。
私はほとんど仕事で使わないのですが、それでもちょっと弄る時は、Word・パワポ以上に「手間だなあ〜」と思わされることも多い。
Excelを縦横に使いこなせるようになると、「資料作り」にも生かせて、生産性も上がりやすくなる!というものです。
そうそう、話は少し伸びますが、日本人は「資料」が大好きなんで、延長線上として「資料作り」に関する本も売れてるんですよ。
これも「資料作りを一から学ぶ」というより「いかに生産性の高い資料、相手を納得させられる資料、資料で効率性高く売上に繋げられるか!」というニーズがあって、さらにいえば「そんな効果的な資料作りの方法、知れないかな〜」という潜在ニーズに対する解決本として、受け入れられているワケです。
このように、仕事の現場で「意外にみんな悩んでいる」ニーズをいかに上手に汲み取って、解決できるか。そんな本がロングセラー(定番書)にもなりやすいですね。
2)意外にみんな「心理的」に悩んでいる
社会不安や天変地異(災害)、そしてコロナ禍。
この煽りも受けて、「メンタル」に関する本もすごく売れています。
ここでも特徴的なのが「あ!意外とこれってみんな悩んでたことなんだ」「私だけじゃなかったんだ!」ってことを取り上げた本が注目もされています。まず代表的なのが、こちら
ついに50万を突破しましたかー!発売された時から、じわじわと注目されていましたが、爆誕&確変状態。テレビにも取り上げられてベストセラーまっしぐら!ですね。
ここも、「あー、意外とみんな悩んでた」という課題を表面化させ、その解決法を示唆した本が売れている、という現象です。
HSPというのは、病名というより「傾向」に近いものですが、だからこそ「あれ、私もしかしてHSP?」と意識せざるを得ない人を取り込みやすいです。そいや「発達障害」に関するほんも売れましたよね?あれも同じような感じで、「意外とみんな悩んでた」ことだったんです。
個人的にはHSPは、日本の人は潜在的に多数派に入ると思います。地理・歴史・文化・慣習的に、HSPを生み出しやすい土壌だと容易に考えられますので。
そしてこの本も爆誕したテーマの一つですね。
「自己肯定感」です。自己肯定感の低さ、というのも日本人らしい傾向だと考えますが、これまで「自己肯定感」を真正面から捉えた本が、”意外とありませんでした”。しかしこの本は、そんな「意外とみんな悩んでた」という点を「自己肯定感が原因」ということフォーカスして、世に出した。
そしてその予見は見事に当たりました。「やっぱりみんな自己肯定感で悩んでたのね」が証明されました。
他にもメンタルに言及した本はたくさんあり、今よく売れているジャンルの一つです。時代的にも社会的にも、メンタルがやられやすいです。元気であった人でも、なぜか突如メンタル疾患に陥ってしまう!という時代に入っています。
だからこそ、傾向や現象、医療的に具体的な症状を解明し、生活や人生においてどのように受け入れ・解決し・健康に過ごすかを導く本が、持て囃されているでしょう。
ただ、ここでも重要なのが「あー、意外とみんな悩んでたのね」なのです。
3)意外とみんな、「自己理解」に悩んでた。
最近新しいジャンルの本が売れています。
それが「自己理解」に関する本。
自分とは何か?自分は一体何者なのか?自分は一体何がしたいのか?自分が向いていること・やった方がいいこととは?何をすれば、充実した人生が送れるのか・・
そんな問いに対して解決に導くのがこの本です。
私も独立してビジネスを行うようになってから、知ったのですが、世の中には「何がしたいのか」「何がやりたいのか」がわからない!って人が多いんですよね。
どちらかといえば、男性より女性の方が日本の場合はその傾向が多くみられるんじゃないか、、とSNSを見渡しまくっている渡邉からしたら思うのですが、私も出版コンサルのさい、女性のライフコーチをされている人から「何がしたいのか、やりたいことがわからない、見つからない、って人は、、クライアントの7割ほどなんですよ」っと話を聞いたことさえあります。
この場合は女性なんですが、思わず「えーー」って思いました。
どういうことかというと、日本人はこれまで「敷いたレール」が設定されてあって、その通りに歩めばそれなりに「幸せや成功」を享受できたんです。
しかし、時代の変化や社会の変化、天変地異やコロナ禍なども襲ってきて、もはや大企業でさえ「副業」「Wワーク」を認めています。
「可能性を発揮してなんでも自分の好きにやっていいよ!」って聞こえはいいでしょう。でも突き詰めれば「もう、全部が全部面倒はみれないよ。自立して」って会社が突きつけているってことです。
敷いたレールに当てはまって生きているだけでは、幸せや成功が享受できなくなり「本当の意味で、自分で自立していくことが強いられ」るようにさえなっています。
幼い頃の教育で「自主自立」的な考えで育てられた人は、割と「したいこと」「やりたいこと」を見つけられやすいと思いますが、「規範・レールに従うことが幸せの近道!」として「〜しなさい」「〜やるべき」の中で育てられてしまうと、意外に「〜したい」「〜やりたい」の感情と意思が抑圧され抹殺されてしまう人も多いようです。
ゆえに「え。自分のしたいことしなさい、って言われても、、、そんなのわかんない!」みたいになる人も多いでしょう。
いっぽうで、「〜したい」「〜やりたい」できてた人でも、時折「あれ・・自分のやりたいことって、本当にこれだっけ・・」と迷いにかられることだってあります。
そういう人たちも、この本を使えば「自分のやりたいこと再認識」に繋がって、よりよい道筋を選べる。その意味でも、読者の層も広がります。
社会人であっても、学生であっても、すでに現役世代を引退しても・・誰でも「自分って何やりたいんだっけ」にぶつかるときはある。
そうした「意外とみんな悩んでいる」に、上手にフォーカスして市場投入した良い例と言えるでしょう。
ということで、お分かりになりましたでしょうか。
キーワードは「意外にみんな悩んでいる」です。
ただこれも、著者自身がご自身の体験やビジネスの中で「あれ、みんな意外と悩んでいるんだな」ということに気づいて、それぞれの専門分野で実績をつんだ結果から生まれていることも見逃せないです。
要は、ちゃんとマーケティングしているし、著者自身がビジネス活動の中で「意外とみんな悩んでいる」を体感し、アウトプットしてきたことで、出版企画として立ち上がっています。
決して「机上論」だけで、本の企画はなりたたなくて、まさに「仮説」があってそれを「検証」した結果をすでに著者たちがビジネスや活動の中から導き出していて、それが出版企画の元になっています。
よって、「〜で意外にみんな悩んでいると”思う”」「悩んでいる”はず”」だけでは、企画にはなりませんし、出版社へのプレゼンもうまくいきません。
実証して、その結果を出版社に公表してください。
それを見せてもらえれば、あなたとあなたの企画への信頼感は高まり、商業出版実現率はどんどん高くなっていくでしょう。
熱意や情熱やアツい訴えだけでは、商業出版は実現しません。出版社もビジネス活動をしています。
これは、ビジネスとして成り立つ・・!と思える人と企画にしか投資をしませんので、そのことをよく心において出版活動して欲しいと思います。
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