商業出版する方法#52〜集客のための出版は有効か?
元KADOKAWAのビジネス・実用書出版コンサルタントの渡邉理香です。
これまでビジネス書や実用書の編集者としてやってきて、かねてより疑問に思ったことがあります。
なんで、、みなさんそんなに「本出したいの!?」ってことですね。
経営者や起業家・個人のビジネスパーソン方々・・。
>本をださなくったって、ビジネスで稼げばいいわけだし。
>伝えたいことがあれば「ブログ」などSNSやって拡散させればいい。
>出版業界って、業界不振・出版不況って言われて久しく、、
成長産業では決してない。
でも、本を出したい!と思っている人は後を絶ちません。
まさか印税欲しい!?とかではないですよね・・・。
はっきりいいますがビジネス書や実用書の場合、印税なんかより、ビジネスやってたほうがふつーに稼げます。
(今や文芸の作家でさえ、印税よりも講演料の方が割がいい!と言ってる始末です)
そしてでてくるのが、、おきまりの
ブランディング。
っでしょうか。
ブランディングのための出版って・・・この言葉じたい抽象的で、出版業界からすれば、なにがなんだかわからない概念なのですけどね・・・。
あと多いのは、、、「多くの人に伝えたい」ですね。
ただ、あえて申し上げますが、多くの人に伝えたいなら、、
SNSでいいことないですか?
ブログ・facebookやツィッターとかやれば、拡散にはつながりますよ。
そしてそっちやったほうが、稼げます。
ただ、私もいろいろ考えてみたわけです。
前にも書いたかもしれませんが、やっぱり以下でしょうかね・・・
1)社会的信頼の向上
→本を出している人!って「先生」と言われるから、信頼度があがる。
たしかに出版社が「いいですね」「あなたとあなたの企画に投資させてください」って支援されて本は出るから、第三者からお墨付きになる、ということを世にアピールできますよね。
2)認知度アップ
→1)と同じような理由もあるが、編集者をふくめた出版のプロが手がけて「商品」として日本全国、そして全世界に向けてコンテンツを発信していくので、SNSをやっていない人でもあなたやあなたのコンテンツを知ってもらえる。
まあ、これが一番の目的かもしれませんね。
「SNSで有名でも、リアル社会ではタダの人」ってよく言われたりもしますしね。
3)権威性の獲得
→歴史と伝統があるので、著者は「先生」「オピニオンリーダー」となってしまう。
かつ、本は有益情報を人々に提供して、ときとして読者の問題や課題を解決したり、救ったりする役割をになう商品でもあったりするので、権威性がつきやすい。
ようは「人のうえに立てる」テイを保てるので「偉い人」になれる
4)社会貢献
→自分のメソッドやスキルを世に広く提供できる(そんなパッケージ商品を作れてしまう)ので、広範囲的に社会の人の「役に立つ」。
その意味でも「貢献」性が生まれる
これの最終系として紐付いてくるのが…
5)集客力
になってくるのでしょう。
確かに、私も最近の「実感値」として、本を出している人とそうでない人では「集客力」の差があるなあ!と思えた経験が最近ありました。
著者はとにかく
>集客できる
し・・・、
>集客しやすい
ゾーンにますますはいっていくなあ…と思います。
本一冊だけで、あなたの代わりにあなたが言いたいことを代弁してくれるし、本一冊だけで、自然とあなたのビジネスを動かしてくれます。
ブログなどのSNSだと「自分目線」だから「怪しく」感じられることがあるかもしれないが、本は「出版社」(編集者など)という「第三者の視点」が入り、第三者・それも社会的信用力のある企業が後押ししてくれるものでもあるから、よけいに「お墨付き」を得られるから、かっこうの「広告物」でもあるわけですよね。
そりゃあ、オイシイですよね。
その気持ちは、わかります。
が!
出版社はそういう”思い”とは完全に裏腹で動きます。
180度視点が違った形で出版活動・企業活動をしているので、そこはきちんと理解しておいてもらわないといけないですよね。。。
出版社からお墨付きをもらいたいのであれば、、、「どういう人間が・どんな経営者(起業家)ならお墨付きをもらえるのか」この本質を考えて動いてもらえると、最短で商業出版はできます。
あなた自身は「集客のため」に本を出したい!でもいいですよ。
認められたい!私をみて!私ここにいるっ!っていう「承認欲求」の強さが動機につながることも、そりゃ結構でございます。
あるいは、自己実現の一環として、「夢」として本を出したい。書きたい。てのあってもいいでしょう。
ただその場合も、日本人は「夢」を「ゆめまぼろし」の夢に置き換わりやすいので、目標設定段階でマインド面を整理しておかないと、うまくいきづらいですけどね。
ただですね、、、一つだけ申し上げることとして・・・。
出版社は、そして編集者たちは、そういうあなたの思いに寄り添ったり・ケアしてくれたりは一切やりません。
コンサルでもカウンセラーでもありません。
あくまでも「ビジネスパーソン」であり、ビジネスとしてのお付き合いです。そこだけはきちんと割り切っておいてください。
まあ、だからこそ本を出したい!作家として活動したい!人はごまんといるんけど、結局は「一部の人だけが享受できる世界」になりやすいのだろうな〜とも思ったりするのですが。
散文的になりましたが、本日は以上です。