商業出版する方法#57〜出版社から合格通知的連絡が来るわけではない、って件。
元KADOKAWAの編集者で、ビジネス・実用書出版プロデューサーの渡邉です。
本を出したい!と思っているビジネスパーソンが割と勘違いしがちなイメージがこれ。
>出版企画書を送ったら、出版の合否通知が来るのでは!?
えー、そんなことないでしょ、と思っている人も多いですが、意外にこのイメージをもっている方も結構な数いらっしゃいます。
出版が決定するまでの肯定は簡単にいうと以下です。
1)出版企画書を出版社に送付する
2)編集部や編集者で閲覧・回覧され「会社として商業本として出していきたい」「企画として採用したい」そう思ったら、「一度詳しくお話しさせてもらえませんか」とメール等で編集者が連絡する。
3)打ち合わせを行う。ZOOMや対面(今は出版社もリモートワークが多いので、ZOOMがほとんどです)。
4)企画会議に諮りたいので、再度著者候補に企画書を修正してもらって、それを提出いただくか、打ち合わせでヒアリングしたことを中心に編集者が独自に出版企画書を作って、企画会議にのぞむ。
5)企画会議にはかる。会社の規模によっては、1回で決まるところもあれば、3回くらい行って、稟議決裁となる。1週間で出すか出さないかが決まることもあれば、1ヶ月〜3ヶ月くらいかかることもある
6)その後、企画会議によって「企画通過」→出版決定か、企画却下か、もう一度練り直して出し直し、再度企画通過にはかる・・という道筋を辿る。
これが、平均的な「ビジネス・実用書」の出版決定までの流れです。
小さな出版社だと、スタッフの人数が少なかったりもするので、いちいち畏まった企画会議などが行われない場合もあります。
それこそ、担当編集者が編集長だったりもするので、打ち合わせですぐに決定する場合もありますよ。
で、ここで大事なのは、いきなり「合格通知」みたいに、連絡が来るわけではない、ってことです。
そして商業出版の活動でとても大事なるのは「現場の出版社の編集者と打ち合わせをする」という行為です。
この行為が実は一番のキモであるし、まずは突破するべきフェーズです。
実際編集者と一度も会うことなく、いきなり企画書提出して出版決まったー!ってことは事例がとっても稀少です。
なぜか。
編集者もわが出版社の著者候補として、「どんな人なのか」を会って確かめたいためです。直にお話しして、著者として迎えるに本当に良いのかどうか・・なども確認するためです。
だから出版活動して「決まらない」人ほど、編集者に会うことができない状態であることが9割以上ですね。
逆に「編集者に会って話しをする」ことができている人は、商業出版に至りやすい、と渡邉も確信しています。
やはり「現場の声」をダイレクトに受けとめることができるので、意識が変わっていくからです。
打ち合わせを行った上で出版する著者は、ここで意識がモーレツに変化し、より出版市場に合わせた本作り・本の企画・構成案作りを行えるようになります。それと共に、自らの企画や本のアイデアが、実は狭小な視野でしか考えられていなかった、ということを突きつけられる方なんかもいて、本活の姿勢がガラリと変わってきます。
出版企画書は、あくまでも「参考資料」でしかない存在でもあります。出版企画書通りに、商業出版できることはほぼ100%の確率でありません。出版企画書通りに出版できるケースは、もう0,1%の確率・・みたいな程度です。往々にして、著者候補が出す企画書を基にして、もう一度出版社の編集者が企画を考え、逆提案してくる、、というケースも圧倒的です。
ということでお分かりでしょう。
商業出版をするまでの道のりは、そんなに「単純」ではないのです。
そして出版って、結局は「人と人とのお付き合い」が大事になる世界です。
編集者と二人三脚で約半年〜1年、作業を行っていかないといけません。
単に「受かった落ちた!」みたいな、合否のような感じで、出版の世界は成り立っていません。
実に綿密な流れで、一つの商品を生み出すためのルートがあり、その中でさまざまな利害が渦巻きながら、進めていっているのが常套なのです。