ブログ7回目:保険と贈与税の「いちばん新しい情報」〜結論:専門家への相談をおすすめします♪
こんにちは、FP萩尾璃香です。成人式シーズンですね。海辺の小さな町では、ご家族が海岸で記念写真を撮る晴れ姿があちこちに見られて、いっそう華やかな雰囲気になっています。そんな中、ママ友さんたちとも偶然お会いして、「あ! 璃香さん、ちょっと教えてほしいことがあるの」と、立ち話になりました。
ご質問は主に2つ。
1つ目は、「子どもが成人して独立したら、保険の契約者を親から子どもに切り替えた方がいいのか? 保険料は引き続き親が払うつもりだけど…」
2つ目は「祖父母から孫へ少しずつお金を渡したいと言われ、保険屋さんから積立保険を勧められている。母親である私が契約者になるよう言われたけど…?」
という内容です。
どちらも立ち話で済ませるには少し複雑そう。そこで、「今度Zoomで詳しくお話ししましょう」とお約束したのですが、実はこうしたケースは、安易に答えてしまうと後から想定外の税金トラブルに発展することもあります。
私としては、しっかりヒアリングしてからアドバイスしたいところです。
なぜなら、保険契約や税務手続きは、ご家族の年齢や資産状況・保険商品の種類によって大きく異なるから。
「これなら大丈夫!」と思っていても、実際には税法改正や家族構成の変化で想定外の課税が発生することもあるんですよね。
そんなときは、税理士や独立系FPなどの専門家と一緒に、最適解を探すことを強くおすすめします。
今回はそれとは別に、“個々のケースは一旦おいて” 保険と贈与税に関するルールを一通り整理してみました。
特例税率や相続時精算課税制度など、2024年1月以降の改正点も踏まえて、少しでも皆さんのお役に立てば嬉しいです。
1. 特例税率のポイント:受贈者は“18歳以上”に注意
特例税率と一般税率
• 特例税率:直系尊属(父母・祖父母)→ 18歳以上の子・孫への贈与(2022年4月1日以降)
• 一般税率:それ以外の場合
「20歳以上が対象」というイメージをお持ちの方もいますが、民法改正で成年年齢が18歳になったことで、18歳以上がキーワードになっています。
たとえば、2023年に高校卒業したばかりの子に保険契約を切り替え+保険料を贈与するケースで、特例税率が適用されることもあり得るのです。
2. 相続時精算課税制度:贈与者60歳以上・受贈者18歳以上
基本ルール
1. 贈与者:60歳以上の父母または祖父母
2. 受贈者:18歳以上の子や孫(2022年4月1日以降の贈与)
3. 累計2,500万円まで贈与税が一時的に0円(非課税)
4. 将来、贈与者が亡くなった時点で、贈与額を相続財産に合算し相続税を再計算
2,500万円超え分は一律20%
もし2,500万円を超える贈与をすると、超過額に対して20%の贈与税がかかります。
また、一度この制度を選ぶと従来の「毎年110万円基礎控除」には戻れないので慎重にご検討ください。
3. 2024年1月以降の改正:年間110万円の基礎控除が別枠に
2024年1月1日以降に相続時精算課税制度を選択した場合、毎年110万円の基礎控除が新たに認められます。
• 110万円までは即時非課税かつ将来の相続財産に加算されない
• 110万円を超えた贈与分については、2,500万円枠を消費 or 超過分に20%の贈与税
この改正により、相続時精算課税を利用する際の選択肢が増え、より柔軟な贈与ができる可能性があります。
4. 契約者変更で「経済的利益」が生じる場合
保険の名義変更だけでは贈与税はかからない?
保険契約の契約者変更自体には基本的に贈与税はかかりません。
ただし、高額な解約返戻金や将来の保険金がどのように扱われるかによっては、経済的利益の移転とみなされる可能性があります。
解約返戻金相当額が基準に
• 契約者変更時点の解約返戻金が300万円ある場合
• 子ども(または孫)が「いつでも解約して300万円を得られる権利」を手にした、と判断されることも。
• 名義変更後も親が保険料を負担し、将来の保険金受取人を子どもに設定している
• 親からの贈与額が年間110万円を超えれば、贈与税申告義務が生じるリスクあり。
5. 年間110万円を超える贈与 = 贈与税申告が必要
1年間(1/1〜12/31)に110万円を超える贈与を受けた場合、受け取った本人が翌年2月1日〜3月15日に贈与税の申告を行う義務があります。
金額の大小にかかわらず、110万円超なら申告が原則。
申告せずに放置しておくと、後から税務署に指摘されて追徴課税や加算税がかかる可能性がありますので要注意です。
まとめ:家族構成・保険商品・年齢要件を総合的に確認!
• 特例税率(18歳以上の子や孫への贈与)か一般税率か?
• 相続時精算課税制度(贈与者60歳以上×受贴者18歳以上)を使うときのメリット・デメリット
• 2024年改正で年間110万円の基礎控除が相続財産に加算されない点
• 契約者変更時の解約返戻金相当額をどう見るか
これらを踏まえつつ、「うちの場合はどうなる?」が分からない方は、ぜひ専門家に早めに相談してください。
編集後記:税務は複雑!
わたし自身、税法改正のたびに「また新しいルールが…!」と驚くことがよくあります。
保険は一度契約すると“そのまま放置”になりがちですが、契約形態によっては、受け取る時や変更する時に税金の計算もガラッと変わるもの。
「迷ったらプロに相談」を合言葉に、ご自身のライフプランに合ったベストな選択をしていただけたら嬉しいです。
FP萩尾 璃香
「Go!Go!加齢! 華麗に目指す120歳