
冬の楽しみ「柚子仕事」
今年も庭の柚子の木に黄色い実がなった。
去年は3,4個しかならなくて、だいぶ寂しかった。
しかし、今年はたくさんなって、それだけでほくほくする。
思えば「柚子の実がなったなあ」なんて思ったのはここ2年くらいのことで、その前は柚子がなっても「ふうん」という感じだった。
それくらい余裕がなかった。
昔、母はよく柚子を採っていた。
バケツ2,3個にいっぱいの柚子を収穫し、
「ほら、こんなに採れたんだよ」
とうれしそうに見せてくれた。
私はもらったいくつかをお風呂に入れて柚子湯にした。
母は、その採れた柚子を使ってよく柚子茶を作ってくれた。
タッパーにいっぱい詰めて。
おいしかったなあ。
私はやっぱり手作りのものって好き。
美味しいし、なにより元気が出る。
母の愛情がいっぱい詰まっていたんだなあと思う。
母は勤め人だったので、ずっと仕事第一だったのだけれど、退職してからは柚子以外にも庭で採れた梅で梅ジャムとか、梅ジュースとかをよく作るようになった。
きっとずっとそういうことがしたかったんだろうと思う。
数年前から母の認知症の症状が少しずつ出てきて、ここ3,4年は柚子茶を作らなくなった。
というか、作れなくなった。
だから、手作りの柚子茶からも遠のいていた。
ふと、柚子を使って何かを作ってみようと思ったのは昨年の冬のこと。
ネットを見ながら見様見真似で柚子ジャムを作ってみた。
といっても3,4個しか採れなかったので、ほんのわずかだけれど。
それでも作る過程が楽しくて、ジャム作りにはまる人の気持ちがわかった。
柚子ジャムは砂糖の量が多かったのかなんなのかちょっと硬くなってしまい、まあ、来年に期待かなという感じだった。
私が庭で採れた柚子でジャムを作るなんて、少し前までは考えられなかった。
仕事や小さかった子供たちの世話でてんてこまいだったし、作ろうと思ったこともなかったと思う。
さて、今年は柚子の実がたくさんなった。
さて、何を作ろうか。
やっぱり、柚子茶は欠かせない。
そして、リベンジじゃないけど柚子ジャムも作りたい!
ということで、今年は柚子茶と柚子ジャムに挑戦。
どちらも本当に簡単にできるのだ。
まず、柚子をよく洗う。
次に柚子を4等分に切って種を出す。
皮が付いたままぎゅっと絞って汁をボールに入れる。
皮をはがして、皮を端から刻む。
実はそのまま使う。
刻んだ皮と実と砂糖とハチミツをよく混ぜる。
半日くらい置くと、ハイ、できあがり!

なんと簡単なのでしょう!
柚子を切ったり種を出したりぎゅっとしぼったり皮を刻んだり。
無心になって取り組む濃密な時間。
私はこういうことが好きだし、そういうことをしている自分も好き。
ということに今さらながらに気付く。
柚子ジャムはわたを取ったり、煮込んだりするという工程が加わる。
さて、待つこと半日。
さっそく味見をしてみよう。
柚子の皮と実と蜜をたっぷりカップに入れて熱々のお湯を注と、柚子茶のできあがり!
もうそのおいしいこととと言ったら!
柚子の清々しい香りと甘酸っぱさが口いっぱいに広がって、じんわりと体が温まっていく。
ふうっと体の力が抜けていく。
今年も冬の楽しみ「柚子仕事」ができて満足!
~後日談~
柚子ジャムをパウンドケーキに入れて作ってみたらすごくおいしくできたので、施設に入居している母のところへ持って行った。
柚子茶と共に出すと、「おいしい」と言って喜んでくれた。
庭の柚子のこと、思い出してくれたかな。