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アリオ仙台泉閉店に寄せて
仙台市地下鉄南北線の起点であり、仙台都市圏の北のターミナル、泉中央駅。ここには地下鉄と共に開業し、以来30年以上にわたって愛されたショッピングモールがありました。2024年1月に惜しまれながらその幕を下ろしたお店の名前は、アリオ仙台泉。今回は写真と共にその歴史を振り返っていきましょう。
○出典を書いていない写真は投稿主の撮影したものを使用しています。
イトーヨーカドー仙台泉店
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画像:Wikipedia
1992年7月1日、当時八乙女が終点だった地下鉄南北線が泉中央駅に延伸することに先がけ、イトーヨーカドー仙台泉店として誕生しました。同年7月15日に地下鉄が延伸開業すると、同店は駅ビルのような役割を果たし、多くの買い物客で賑わいを見せます。その後1997年には現在のJリーグベガルタ仙台の本拠地である仙台スタジアム、1999年には隣接するファッションビルのセルバが開業し、徐々に泉中央地区の拠点性が向上していきます。それに伴い同店の売上も上がっていき、イトーヨーカドーは泉中央の顔として欠かせないお店となりました。
売上の低迷と閉店
しかしながら1996年をピークに売上高は年々減少し、2009年にはピーク時から半減するなど低迷を続けます。女性向けファッションや無印良品など集客力の高い店舗が隣のセルバに集まったこと、さらに仙台都心部や、対をなす副都心の長町エリアの再開発が進むなかで、泉中央エリア全体が人口減少に見舞われます。こうした状況からイトーヨーカドーは、賃貸借契約が満了となる2012年6月を目処に閉店する方針が決定しました。
東日本大震災からの復活
このような状況下の2011年3月11日、宮城県沖を震源とする東日本大震災が発生します。宮城を中心に東北地方の太平洋側が大きな被害に見舞われる中、泉区も例外ではなく同店も長期休業を余儀なくされます。比較的被害が少なかった下層階の食品、日用品売場などの一部フロアのみ発災翌日の3月12日から営業を再開することができ、物資の不足に苦しむ地域に大きく貢献します。2011年には震災による被害があったものの、震災後に大きく売上が回復したことや、賃貸借契約の減免交渉がまとまったことにより閉店が撤回。営業が継続されることになり、翌2012年には全館の大規模改装が行われることとなりました。
アリオ仙台泉として再出発
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イトーヨーカドー仙台泉店からのリニューアルを経て、2013年3月、アリオ仙台泉として開業を果たします。従来のイトーヨーカドー直営売り場の大半をテナントスペースとし、1階化粧品売り場を「7美のガーデン」としたほか、上層階を中心にゲームセンターのナムコ、日用雑貨を扱うロフト、CDメディアのタワーミニ、ベビー用品の赤ちゃん本舗など集客が見込める大型店舗を次々とテナントとして入居させ、さらには東北初となる西武百貨店の小型店もオープンするなど、運営会社が同店にいかに力を入れていたかをうかがい知ることができます。2014年にはアリオ4階とセルバ5階を結ぶ連絡通路が整備、2015年にはアリオ西側にセルバの新棟であるセルバテラスが開業するなど、駅前の大型店としてアリオ、セルバ一体での集客に奮闘します。
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タワーレコードはヨーカドーの関連会社である。
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奥に見えるのが「7美のガーデン」
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震災を乗り越え、一時は閉店を取りやめ、リニューアルも果たすなど好調に見えたアリオ仙台泉。しかし、終わりは突然にやってきました。
アリオ仙台泉、閉店へ。
2023年夏頃から「アリオ仙台泉が来年閉店見込み」というネットニュースが散見されます。近隣には既にイオンモール富谷やアクロスプラザ市名坂、仙台泉プレミアムアウトレットという大型店が集い、さらに2021年にイオンモール新利府が開業するなど泉中央エリアの集客力不足感は否めず、さらに運営会社のイトーヨーカドーの経営方針から地方店舗の撤退、閉鎖が進んでいた時期の報道でもありました。
イトーヨーカドー自体が総合スーパーという業態に限界が見えつつある中で、地方の店舗は軒並み赤字という状況が続き、ヨーカドー本社は店舗を首都圏に固める方針を固めます。お隣の福島県では福島店、郡山店の2店舗が運営されていますが、既に24年5月末での閉店が決まっており、地方店舗の厳しい状況がわかります。
宮城県内では石巻市にもヨーカドーの店舗はありますが、ヨーカドー本社ではなく地元資本のスーパーである(株)サンエーが運営しており、現状閉店の話は出ていません。ニュース報道に続く形でヨーカドーから閉店の正式発表がなされ、ついに31年続いたイトーヨーカドー仙台泉店、アリオ仙台泉は2024年1月31日が最後の営業となりました。
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今後の土地活用について
この記事を書いている2月7日時点で既にアリオは閉店しており、跡地の活用は未定となっています。私個人として今後期待したいことは、近隣のイオンタウン仙台泉大沢の移転です。
イオンタウン泉大沢は泉中央駅から北に約3キロ進んだ住宅街に立地しています。東北自動車道泉インターからも近い場所ですが、イオンモール富谷や泉中央エリアとは至近距離にあることから、近年は店舗の流出が続いており、核店舗のザ・ビッグこそ買い物客で賑わっていますが、専門店街は空きテナントが目立つ状況です。そこでアリオが去った泉中央駅前への移転です。立地を駅前とすることで、これまでほとんど車でしか行くことの出来なかった部分をカバーし、鉄道が日常の足である学生や地域の車のない高齢者層の需要を取り込めます。さらに周辺の大型店舗と距離を置くことで集客力を高めることが出来ます。
売り場面積に関しても地上5階、地下1階の6階層と広大なためスペースに困ることはないでしょう。これらを踏まえ、今後の泉中央の賑わい創出のためにもイオンタウンの移転をするべきだと考えます。
ギャラリー
最後に、もう見ることのできない、営業していた頃のアリオの写真です。
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これからの泉中央や仙台都市圏がどのような未来を辿るのか、誰にもわかりませんが、寂しさを乗り越え、ここにアリオ、そしてイトーヨーカドーがあったことを忘れずにいましょう。
それでは今回はここまでとします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。