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【ザ・ロックvsストーンコールド】煽りVTRの最高到達点
2001年4月1日
テキサス州ヒューストンのアストロドームで行われたWWE (当時WWF)最大の祭典レッスルマニア
1年で最も注目される大会であり、開催地は毎年レッスルマニアウィークとして町を挙げたお祭り騒ぎが行われます。
その大会メインイベントで行われたのは
WWF王座戦
ザ・ロックvsストーンコールド・スティーブ・オースチン
ザ・ロックと言えば現在ハリウッドで大活躍のドゥエイン・ジョンソンが皆さんの記憶には新しいかと思います。
ですが私の中ではザ・ロックであり、皆の王者であり、唯一無二のメガスターなのです。
この試合の後ロックはハリウッドに挑戦、ハムナプトラ2への出演、スコーピオン・キングでの主演が大ヒットし(もちろん映画館で観ました)彼は晴れてハリウッドスターの仲間入りを果たしました。
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対するはストーンコールド・スティーブ・オースチン。
ニックネームは【テキサスのガラガラ蛇(Texas Rattlesnake)】
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団体内では『D.T.A(Don't Trust Anybody)』を掲げ一匹狼で誰も信用しない反体制派として活躍していました。
自らの信念に従い、 例え上司だろうが仲間だろうが社長だろうが気に入らなければぶっ飛ばす!そんな選手です。
元々は金髪のイケメンでしたがスキンヘッドの荒くれ者にキャラチェンジ。
更には聖書の『ヨハネ伝3章16節』を引用し相手を小馬鹿にしたことから『オースチン3:16』がムーブメントになり社会現象にまで発展しました(もちろんTシャツ買いました)
試合に至るまで
WWEでは毎年1月にロイヤルランブルという試合が行われます。
試合形式は30人の選手が時間差でリングに入り最後の1人になるまで戦い続けるという過酷なもの。決着方法はオーバー・ザ・トップロープといいロープの一番上を越えて場外に落ちたら失格というルールのみ。
この試合に出場し最後まで残り優勝したのがこのストーンコールドでした。
そして勝者は祭典レッスルマニアで王座に挑戦する権利を手にします。
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そしてこの時の王者は【金メダリスト】カート・アングル。
アトランタ五輪レスリング金メダリストでありながらWWEで数々の功績を残した彼もまた偉大なレスラーです。
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ストーンコールドvsカート・アングルがレッスルマニア17のメインイベントかと思われた矢先、そこに出てきたのがザ・ロック。
レッスルマニアの1ヶ月前に王者カート・アングルを倒し、見事WWF王者に君臨しました。
この結果により両者の対決が実現する運びとなったのです。
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白熱するライバルストーリー
2人はかつてレッスルマニア15のメインイベントでも対戦しています。
当時はザ・ロックはヒール(悪役)でありストーンコールドはベビーフェイス(善玉)
試合はストーンコールドが勝利しました。
そして今回は2人ともベビーフェイス。
ですが互いをライバル視しており、行動そのものはベビーでもヒールでもない1人の男として真っ向から向かい合います。
ロックがストーンコールドを罵倒すれば、ストーンコールドがロックをぶん殴る。逆も然りで2人の遺恨は激しくなるばかりでした。
レッスルマニアに向けて両者が熱い舌戦を繰り広げる中、当時の社長であるビンス・マクマホンがまさかの命令を下しました。
それはストーンコールドの妻デボラをロックのマネージャーにするというもの。
デボラをマネージャーにつけたロックはカート・アングルと対戦。
ロックが勝利するものの、カートの奇襲によりダウン。そしてカートはデボラにまで手をかけようとします。
そこで現れたのが夫であるストーンコールド。カートを一蹴し、ロックに必殺技であるスタナーを炸裂させてしまうのです。
『俺の妻をこんな目に合わせやがって不甲斐ない奴め』と言わんばかりの荒々しいメッセージにロックは倒されてしまうのです。
ストーンコールドが攻撃すればロックがやり返す
ロックがやればストーンコールドがやり返す
何周にも渡りレッスルマニアも直前に迫った頃、2人が爆発寸前になったところでストーンコールドがある提案をします
『試合前に乾杯と行こう』
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ストーンコールドがロックに缶ビールを持たせ、激しく乾杯。ロックの顔面がピリつきます。
アルコールをガブ飲みするストーンコールドから缶ビールを奪い取り、お返しとばかりに乾杯。ビールがリングに飛び散り一瞬の静寂。
すかさずストーンコールドの鉄拳がロックの顔面を襲います。
やっぱり2人に和解なんて無理だったのです。
結局乱闘になり放送は終了。
2人の遺恨が爆発してレッスルマニア17当日を迎えました。
さて以上のことを踏まえた上で
もう一度煽りVTRをご覧ください!
テーマ曲はリンプビズキットのMy way
これがまたかっこいいんだぁ
個人的な話になりますが私は3歳の頃からプロレスにハマっていました。
ですが小学校に入ってからは友達とミニ四駆や遊戯王に鞍替えをし、すっかりプロレスの熱を失ってしまいました。
そんな私を再びプロレス沼に引きずり込んだのがこのレッスルマニア17のメインイベントでした。
当時大阪にあったプロレスショップの通販で手に入れたレッスルマニア17のVHS、海外製なので字幕もなし。
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でもなぜだかパッケージに心惹かれて購入しました。
結果、この大会は全試合通して神興行だったのです。
オープニングからエンディングまで無駄のない、初めてターミネーター2を見たような衝撃。何より印象に残っているのがこの煽りVTR。
英語もまだよくわからなかった中学1年生のリジェー少年が『プロレスってこんなことまでするんだ!』という衝撃に見舞われ、あっという間にアメプロの虜になってしまったのです。
結局どんな試合になったのか
ここまで盛り上がっておいて、試合で尻すぼみになってしまっては意味がありません。
試合結果はまさかの結末。ストーンコールドがヒールターン(善玉が悪役にひっくり返ること)をしたのち、ロックから勝利。
WWF王座を奪い取ったのです。
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試合形式は反則なしの何でもあり。
凶器も飛び出しながら互いのプライドがぶつかり合う試合中、突如現れたのは当時の社長であるビンス・マクマホン。
ロックもストーンコールドもビンスとは対立しているはず。なのにビンスはストーンコールドにイスを差し出しました。
そのイスを手に取りロックを殴打、殴打、殴打!
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最後は必殺技じゃなくイス攻撃に倒れたロックから3カウントを奪い、王座ベルトも奪い取ったのです。悪のオーナーに魂を売った一匹狼ストーンコールド・スティーブ・オースチン。
祭典が超バッドエンドで終わった…
こんなことあっていいのか…
でも煽りVTRではあんなにプライドを賭けた試合になることを推していたはずなのに…
ハッ!!!!
そうか。そうだ。
ここまでが作品なのだ。
煽りVTRに伏線を張り、試合で回収する。
試合を取り巻く全ての事象にさえ意味を持たせる。
これはプロレスという作品なのだと。
リジェー少年は気づいてしまったのです。
2人がどういう経緯で試合を行うのか
そしてどんな思想が絡み合っているのか
周りの環境はどう変化していったのか
歴史をどう紡いでいこうとしているのか
ここまでパーフェクトな煽りVTRは個人的には無いと思っています。
それほどまでに見事でした。
今でも思い返してはレッスルマニア17を見ています。
自分に何か大きな印象を残したもの、それが何なのか。なぜそれが心に残ったのか。
その前後で何を思ったのか。
どう人生を変えたのか。
そう考えたとき、私を生涯プロレスファンへのスタートラインに立たせてくれたのは間違いなくこの煽りVTRでした。
皆さんの好きな煽りVTRも是非聞かせていただければと思います。
次回は新日本プロレスの煽りVTRの紹介をします!
それではまた!
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