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ラストマイルがささりまくった件

 映画・ラストマイルを観てきました。
 考察や本筋に絡むネタバレはしないようにしましたが、情報入れたくない方はそっとお戻りいただければと思います。


 アンナチュラルとMIU404と同一世界線の、シェアードユニバース作品。アンナチュラルとMIUが大好きな私に「観ない」という選択肢は無く。
 ただ、いつ行こうとだらだら考えている間に「見逃す」可能性はあったので、公開直後、早々に時間を作って映画館に向かいました。
 今年三回目の映画館です。これは自分的にすごいことで、映画館の独特の感覚というか、映画が終わってさあ動こうとすると膝が痛くなっているのですよね、私。100%。この独特の痛みが苦手で映画館に行くのを躊躇いがちでして、おかげで今年始めに行った映画(閉ざされた雪の山荘で)自体が数年ぶりだったりしたわけで、その前に映画館で観たのは一体何だったか……

 とまぁこんな並々ならぬ覚悟を持って向かった映画館。僭越ながら感想を述べさせていただきますと「面白かった」。とにかくこれ。
 色々あります。言いたいこと、語りたいこと、どちらも同じですが色々あります。
 それらを飛び越えてこの一言。面白かった。
 何せこんな「膝が痛くなるの苦手やねん……」という理由で映画館にあまり近づかないようにしているわたくしが、まさかの二週間後に二度目の映画館に向かったのですから。


 結論。
 やっぱり面白い。


 私も物流業界に身を置いており、割と身近な話題が描かれております。その上でなのですが、物流センターとか集配センターとかって、とてもかなりものすごーく裏方の世界で、スポットライトが当たることなんて無いと思い込んでいたわけで、まぁ私の職場はこんなに大きな――それこそフリーロケーションやらベルトコンベアーやらが登場するほどの規模ではないですが、それでも同職の世界が描かれた映画は、それだけで誇らしく感じてしまったわけです。
 しかもこの座組で。
 喜びひとしお。

 物流業界(の端っこの方)にいるから頷ける部分も端々にあって、「荷物を止めない」という部分は、胸にぐっとくるものがありました。

 止めない。
 止めちゃいけない。
 どれだけ物量が増えても、イレギュラーな事が起こっても、知恵と経験を振り絞って出荷する。

 多少の無理無茶はしても、臨機応変に荷物を送り出す描写が散りばめられているのですが――映画は多少と表現して差し障りがないか微妙というか問題ありそうですが――ああ、私がずっと大切にしていたことを言語化してくれた映画だなぁ……、と何だかすごく嬉しくなり、誇らしくなり。
 ありがとうラストマイル。

 今でこそ「ラストマイル」とすんなり言えるようになりましたが、発表された直後は「ラストスマイル」と誤読してしまい、また誤読がインプットされてしまって、ラストスマイルとラストマイルどちらご正しいのか分からなくなること多々でした。
 ええ、物流業界(の端っこの方)にいると言いながら、ラストマイルという単語を知らなかったのです。知らないまま観に行ったので、終盤で八木さんが不意に「ラストマイル」と言って……胸が打たれました。
 八木さんあなた……あなた素敵な人だよ。
 途中から「頑張れ八木! 負けるな八木!」ひたすら八木さんを応援ムーブ。何だかんだ言いながら手と頭と人を動かす八木さん大好き。犬岡さんと熊田さんも凄く美味しいスパイス効かせてくれて絶妙な塩梅。

 そう。良い塩梅なのですよ!!
 例えば登場人物。
 アンナチュラルとMIUのキャラの塩梅がとにかく良い。
 出張組でメインで出てくるアンナチュラルの毛利さんとMIUの刈谷さん。所轄と警視庁のコンビがとても自然にラストマイルに馴染んでいて、これがもうラストマイルのキャラですと言っても過言では無いほど。片や主役級の方々は各々が各々の主戦場で良い塩梅で出続ける。
 無理が無く、重要なポイントのスイッチを押してくれる。
 書いてて気づきました。そう、無理に出しゃばらないのです。主役の仕事を取らない。
 血の通っていない言い方になりますが、一人ひとりのキャラクターや細かな設定が歯車となり、ラストマイルを形成している。
 もっと良い表現方法があると思うのですが、上手く言葉で表現できません。くそぅ。

 まあ……他にもあんなキャラやこんなキャラも観たかった!! はあります。ただ、全員出すのは無理な話だろうし……
 個人的には、木林さんねじ込んでくれてありがとうございます!!!! が強いです。登場の瞬間、あまりのテンションぶち上がり具合に声が出そうになったほどです。
 木林さんに会いたかった。めちゃくちゃ会いたかった!! ありがとうございます!!

 こんな感じで、ラストマイルって登場キャラクターが多い割に、一人ひとりがとても大きな役割を持っていて、一つとして外せる歯車が無いわけです。
 特にシングル母子なんか、序盤からちらっ、ちらっ、チララッと徐々に少しずつ存在感を増していき、最後の最後に超重要なワンピースに繋がる、そのワンピースを形成するのに超重要なアイテムが序盤に登場している……



 胸熱!



 あと、何と言っても佐野親子。
 エレナと孔が表主人公なら、裏主人公は佐野親子だと思うのです。私の中では裏主人公。
 五十嵐&山崎もある意味裏主人公ポジと言っても良い気がしなくもないけど――と言いますか、みんなが裏主人公に入れる作品のような気が凄くする。してしまう。
 憤りとか、やるせなさとか、不平不満はあってもこなさないといけない部分とか、その中で幸せや達成感を求める姿は、観てる私もうんうん分かる分かる分かるよおおおおお! って感情移入しまくりです。毎日これです。犬岡さん達の最後のあれ、私もやってみたい。勇気はない(無いよ……出ないよ……)

 ラストマイルが描いている世界って、表と裏が色々な所で描かれていて、矛盾していることも多々あって、でもちゃんと向き合わないといけない問題で、ここを可視化したところがさすがの座組。さすがすぎる座組。
 その上でメッセージが直線的ではない。
 がっつり殴りかかってくるのではなく、緩やかに近づいてくる感覚がすごく現実的で。
 片や日常が破壊される瞬間はダイレクトで、一瞬で変わる世界が非現実的すぎて、すぐに受け入れる事が出来なくて、逆にリアリティーを強く感じました。
 誰もが日常があんな風に破壊されるなんて思っていない。
 壊れる時は一瞬。
 そして日常が壊れても、時間は変わらず時を刻んでいく。
 いかんなく発揮される正常性バイアス。
 えげつない焦燥感。
 未来が少し明るく見えたような気がした次の瞬間、じわじわ迫る「次」の足音。
 ただで終わらないところが、ほら! ほらこの人達こーゆーことやるんだよ!!

 二回目の視聴の際、最初のロッカーが開けられる映像にハッとしました。
 ここを語りだすと考察が始まるので、そろそろお開きにします。


 ちなみに、木林さんねじ込んでくれてありがとう!! と叫びましたが、一番好きなキャラは東海林です。

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