畑違いの人間が女性声優のオタクになるまで

「初めまして〜!」とオタクさんと挨拶をさせて頂くと、話題になりがちなのが「どこきっかけでここの世界へ来られたの?」ということ。


アニメや、ゲーム関連、ゲーム実況…大体ここの内の何処かからですか?と選択肢を提示してもらうのですが、私はちょっとズレたところから来たオタクです。
その為、いつも回答に困っておりました。
なのでここに残しておきます。今後は口で説明できるようにする為にも。


オタクとしてのホームを転々と変えていた人間なので、アニメにハマった時期もなかった訳ではありません。

ただタイミング的に学生の一番忙しい時期だった為、声優さんをガッツリ追うオタクにはなりませんでした。
周りの声優さんネタに着いていく為に、知識だけは身につけていましたが、イベントは地元の大学に小林ゆうさんがトークショーでいらしたのを見に行ったきりです。


その後は地上アイドル、ロックバンド、KPOPアイドル、地下アイドル……1〜2年ほど熱狂的にハマっては飽きる、を繰り返すオタクライフを過ごしていました。


とある地下アイドルのオタクになった時、私は推しに恐ろしい程依存していました。
その推しは人気メンバーではなく、チェキ列が途切れることもしばしば。
こうなるとオタクは「私が支えなければ」と思うのです。

地方の人間だというのに2週間に1回は東京にいる生活。正気ではいられないので、酒を飲んで錯乱した状態で回すチェキ列。気がついたら無くなる給料。推しと会えたはずなのに何も得られていない事に気づく帰路。

会って話すその一瞬が楽しいだけで、その分色んなものがすり減り無くなるオタ活、というものに疲れ、暫く何かを推すという行為を辞めてしまうくらいしんどくなりました。


その後コロナ禍を機にKPOPアイドルの意識の高いパフォーマンスに心打たれ、無事オタク復帰し、モリモリとCDを積みサイン会に参加するオタクになったのですが、どうしても言葉に壁があり、応援している意思が上手く伝わらずもどかしい気持ちになる事が多かったです。
どれだけ日本語が上手い相手でも言葉が上滑りしていく感じがしました。
私が韓国語で話すにしても拙すぎて全然伝わりませんし。

あと、KPOPアイドルは活動が活発になる期間(カムバック期間という言い方をします)がかなり限定的で、約1ヶ月程度です。
その間はメンバーも私たちオタクもアホほど忙しいし、金銭面でもゴリゴリ削られるのですが、その後どれくらいで次があるのか全く読めない部分もあり、次を待つ間に気持ちが冷めてしまうこともしばしばありました。
ない時は公式からなんの声明もないまま、永久に来ない時もありますしね。(しれっと契約切れて蒸発パターン)(何度か経験あり)(もう心がボキボキに折れます)


もう20代も後半に差し掛かった頃に気づいたのです。「しんどいオタク活動はもう嫌だ!」と。気づくのが遅い。


推しの存在を知ったのは、地下ドルオタク時代の友人のTwitterでのRTがきっかけ。
その時は「なんか様子がおかしい美人さんやなぁ… あれ、この人多田李衣菜ちゃんの声の人か〜 フォローしとこ!ポチー」という感じでした。
モバマスを触っていたことがあった(ハマりはしなかった)ので、多田李衣菜の存在は知っていましたが、声優さんまで把握しておらず悠久の時を経て一致した訳です。


その時、私は丁度一人暮らしをはじめたばかりで、毎日慣れないながら作った不味い飯をひとり寂しく食べることに心が折れかけていた頃でした。
仕事も上手くいかず、徐々に会社に行けなくなり始めていたのと同時期です。
心も身体ももうボロボロでした。


そんな時に目に入ったのが、「推しが実写で晩御飯を食べる生配信」の配信ツイートでした。丁度私も晩御飯を作り終えた頃。

それを見てふと、テレビの大画面に推しが晩御飯を食べながら楽しそうに話している配信を流し、一緒のタイミングでご飯を食べはじめました。

家にはひとり、私しかいないはずなのに何故だかあまり寂しくないのです。

推しの配信を見ながら食べるご飯は誰かと一緒に楽しく話しながら食べたご飯に近い味がして、深く落ち込んでいた心が少しずつ癒されていきました。
その日から私は配信をつけながらご飯を食べるようになりました。日常に推しが徐々に溶け込んでいくような。


私のガールズとしてのはじまりはそこからだったように思います。


今、私がこうやって楽しくオタク活動出来ているのは、推しのオタクとの距離感の取り方が絶妙だからだと思っています。
頻繁に配信してくれたり、最近ではnoteをはじめてくれていたりと近いようで、線引きはキッチリしてくれている。
何より媚びない。無理強いやお願いされることがあまりないように思います。
(デレパ物販の時に絶対買えって言ってた? 気の所為でしょう)

お願いされると絶対受けてしまう人間って居ますよね、私がそれです。 アイドルに「CD買って♡」とか「来て欲しいな♡」と言われると、それが営業だとしても、私が経済的に困窮していても、体調崩しまくってても、Yes!と応えて飛んでいってしまいます。 なにせ否定が苦手なのです。

しかし推しはよく言います、「自分を大事にしろ」「無理はするな」と。
しんどくならないように推しから忠告してくれている。「来ないと寂しい!」なんていう人より余程優しい。
オタクを理解っている。それがオタクにとって何より有難いことだと思っています。


お顔が綺麗。スタイル抜群。手足が長い。
勿論、外見的な部分も当たり前に大好きです。

内面も見ていて飽きが来ることなく面白いし、日々尊敬できるところを発掘出来る凄い人だなと思っています。


なにより活動スタンスが私の無理のないオタクライフ形成にドンピシャにハマった、というのが大きかったように思います。

依存はし過ぎず、ただ日常にそっと寄り添うようにあり続ける推しを求めていた私に、運命的な人が現れたのだな、と感じています。