私が見えているからといって、あなたにも見えているとは限らない

　最近ずっと気になっていることがある。

　上司の鼻からがっしりとした白髪が一本、力強く伸びているのだ。
　私が気づいて一週間は確実に経過している。
　それ以上前のことはもう思い出せない。

 

　みなさんはこういう時どうしていますか？

　私はいまだに正解を見つけられずにいます。

 

　私個人の経験としては、

・女友達に「出ているよ」と伝えたことが１回

・家族から「出てる」と指摘されたことが１回

・父親に指摘したことは幾数回

　こういった配分になっております。

　一度だけある、女友達に「出ているよ」と伝えた時は
「嘘でしょ？！　もっと早く言ってよ！！」
と言われて
「ごめんごめん、今気づいたから」
と返したのですが、それは正直、嘘でした。

　カフェで喋りながら『出ているか、出ていないかで判断すると……ギリギリ出ている！　いや、もう完全に出ている！』と、ジャッジに迷い、友達がトイレに行くタイミングで気づくかもと思い、祈るように願っていたのですが、帰ってきてもまだ駄目だったので、悩みに悩んで、カフェを出てからそっと教えたのでした。

　もしも、私だったら。
　私だったら、やっぱり教えてほしいと思うのです。
　ただ、大勢の前で出ていることを指摘されるのは恥ずかしい。
　ワガママかもしれないけれど、誰にも聞こえない声で、こっそり優しく「出てるから鏡で確認しておいで」と言ってほしい。
　ワガママかも……しれないけれど……！

　でも、これは私の正解であって、国民の正解ではないと思うんですよね。それならそれで、大多数の最適解は抑えておきたい。
　それを実際、参考にするかはともかく。

　昔、友達４人でお茶しているときに「もしもそんな場面に出くわしたら伝える？　伝えない？」と投げかけたら私以外の全員が「伝えない」と答えたので「がーん！　なんで！　私は教えてほしいよ？！」とお願いしておきました。
　まあ、それでも教えてくれなそうな雰囲気だったけれども……。

　しかし“伝える派”の私であっても、友達ではなく上司の場合はどうしようと悩むわけです。

　上司の右の鼻から出ている白髪……。
　しっかりとがっしりと力強い白髪……。

　これからどうなるんだろう。
　やっぱり誰にも教えてもらえないまま、週明けもその存在感を主張してくるのだろうか。

　葛藤は続く──

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