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なんでもない、かえりみち

昨日の帰り道のことを書こう。

安全確認のために通勤に利用しているJRが上下線ともに止まっていて、復旧の目途が立っていないという。仕方なく、私鉄とバスを利用することにした。

細かい雨が降り続けている。久しぶりに違う方面に来たので、街の景色もなんだか新鮮だ。歌舞伎のポスターを眺めたりしながらバス停へ急ぐ。

雨の影響かバスは混んでいた。立ちっぱなしでバスに揺られる。
この時間は学生たちもたくさんバスに乗っていて、受験勉強用のテキストを広げて読んだりしているので、私もラジオ英会話のテキストをちょっと広げてみたりした。

途中の道が渋滞していて15分遅れで家に一番近いバス停まで到着した。参道沿いのバス停なのだけれど、道に沿って並んでいるクスノキに出迎えられると、帰って来たんだなぁといつもほっとする。遠くへ出かけたり、今日みたいにいつもと違う帰りみちだったときは特にそうだ。

横断歩道を渡って坂道を登ってゆく。
もう雨はほとんど降っていない。
空気に含まれた水滴が肌に触れてしっとりする。

とても静かで、安らかな時間が流れていた。
私以外、誰もいない。住宅街の中だけれど、
どこかで鳥のさえずりも聴こえる。
鳥さんたちはどこで雨をしのいでいるんだろう。

ふと、「は、は、は」と、息を吐くように、歌うように、ハミングするようにかすかに声を出してみた。
鳥さんたちもハミングしているのかもしれない。

ふん、ふん、は、は、は・・・

小声でハミングしながら坂道をゆっくりゆっくり登って、
やわらかい空気を楽しむ。
まだ少し夏の暑さが残るこんな日に、しとしと降る雨が好きだ。

坂を登りきって、突き当りを曲がったら赤い車が二台並んでいる。
そこが私のおうち。
安心できる居場所。

今日はちいさな二人がもうあの中で待っている。
テレビみているかな。お風呂に入っているかな。

ただいま。

音でも届けてみます。
まったりとどうぞ😊


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