オリンピックと温暖化
アスリートたちの活躍に、毎日どきどきわくわくがとまらない、東京オリンピック。一方で、感染対策やSNSでの誹謗中傷等、批判の声も多く報道されています。中でも気になったのは、最近のこのニュース。
「五輪が開催される東京の夏は温暖で、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候です」。東京大会の招致委員会が2013年、国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルでこう説明していたことに、現在、海外メディアから批判の声が相次いでいる。というのも、開催中の東京五輪では、酷暑に苦しむ選手の姿が目立っているからだ。(朝日新聞デジタル 笠原真 2021年7月30日 16時26分)
東京で育った私からすると、確かに、「理想的な気候」というのは首をかしげるところがあります。しかし、言い過ぎではあったかもしれないけれど、悪意のある「うそ」ではなかったとも思います。
私が子どものころは「熱中症」という言葉も聞かなかったし、炎天下の運動が駄目ということはありませんでした。雨ばっかりの梅雨が明けた初夏の時期は、「すがすがしく、外に出て元気一杯活動する季節」というイメージは、多くの(特にそれほど若くない世代の)日本人が抱いているのではないでしょうか。それが、この10年くらいの間に、梅雨が明けたとたん猛暑が始まり、35度以上の猛暑日が連続して起こるようになりました。
明らかに、東京の夏は、最近になって暑さを増したのです。
もちろん、暑くなったのは、東京だけではありません。
そして地球温暖化の進行に伴い、もっともっと暑くなっていきます。
ニュージーランドの研究者チームによると、温暖化により予測されている気温上昇を勘案すると、北半球の645の都市のうち、2088年の夏のオリンピックが安全に(日陰のWBGTが26度以下と仮定)実施できるのは、たったの33都市(5%)しかなかった、という研究結果がでています。
Smith et al., 2016. The last Summer Olympics? Climate change, health, and work outdoors
東京だけでなく、2020年の開催地候補となっていたマドリッドやイスタンブール、そして時期オリンピック開催地のパリもアウト、です。
ちなみに、WBGTは、Wet Bulb Globe Temperatureの略語で、日本語では「湿球黒球温度」と言います。気温・湿度・輻射熱・風速を考慮した暑さの指数のことです。WBGTは、今年から日本全国で実施されている「熱中症警戒アラート」にも使われています。熱中症の発生率はWBGTが28度以上で急増するため、熱中症警戒アラートでは、
28度~30度 厳重警戒(激しい運動は中止)
31度以上 危険 (運動は原則禁止)
とカテゴリ分けされています。
今朝9時の段階で、既に東京のほぼ全域が「厳重警戒」になっていました。
確かに暑いです。
できるなら、選手の健康を守るために、炎天下の競技は時間をずらして対応して欲しいですね。
そして、今後世界各地がもっともっと暑くなっていくことを考えると、夏の間ずっと室内でエアコン使って過ごすわけにもいかないので、炎天下でどう運動や生活を行うのか、考えていかなくてはいけません。室内でマラソンやトライアスロンをやる日も来るのでしょうか。
同時に、ずっと室内で過ごすのが嫌だったら、
これ以上温暖化を進行させないためにどうしたらいいのか
この夏の暑いオリンピックを契機に、みんなで考えていくことができたら、と思ったりしています。
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