RightSight#001|知られざるジャカルタのカフェ事情
RightDesignによるポッドキャスト「RightSight」がスタートしました。このポッドキャストはリサーチやコンセプト策定からクリエイティブディレクション、デザイン、プロモーション施策まで、一気通貫でブランディングを手掛けるRightDesignのメンバーがさまざまな視野(sight)からデザインと社会や文化の関係性について考えていくものです。
ポッドキャストに登場するのは、RightDesign代表でありクリエイティブディレクターの小川、UI/UXデザイナーの山道、コンテンツディレクターの石神。それぞれ異なる専門領域をもつ3人が、日々RightDesignが取り組むプロジェクトを通じて得たインサイトを共有していきます。
noteの記事では、会話のなかで名前の挙がったブランドやプロダクト、サービスを簡単にご紹介していきます。ぜひポッドキャストと合わせてお楽しみください!
インドネシアでカフェをオープン
記念すべき#001のテーマは「カフェ」。実はいま、RightDesignはインドネシアにネットワークをもち世界各国へコーヒー豆を販売している「VARION COFFEE」と共同でジャカルタで新たにカフェをオープンさせようとしています。
今夏のオープンを目指しデザインやリサーチを進めているRightDesignのメンバーは、2月にジャカルタで視察を行ってきたばかり。今回のポッドキャストでは、インドネシアはもちろんのこと、世界各国のカフェに関するリサーチを行うなかで得られた知見をご紹介していきます。
というのも、日頃からRightDesignはリサーチを重視しながらさまざまなプロジェクトに取り組んでいるからです。デスクトップサーチを通じて世界中の事例を掘り下げていくこともあれば、サービスやプロダクトの現場へ趣きそこでどんな体験が生まれているのか身をもって調査することも多いのですが、当たり前ながらリサーチのすべてがアウトプットに反映されるわけではありません。このポッドキャスト「RightSight」は、リサーチを通じて得られた世界中の興味深い取り組みをより多くの人々と共有すべく始まったものでもあるのです。
日本的ミニマリズムへの注目
2月にジャカルタを訪れた小川と山道がまず紹介したのは、現地でも人気カフェとして知られる「Arabica Coffee」と「Kurasu Kissa」。実は2つのカフェは、どちらも日本から誕生したものでもあります。とくにArabica Coffeeは中国や韓国にも店舗を展開しており、一見日本のブランドとは思えないかもしれません。
しかし、小川はこの2つのブランドにこそ現代の日本的な美意識が反映されていると語ります。そのキーワードは「ミニマリズム」。かつては日本の文化というといかにも和風なインテリアや「ゲイシャ」「フジヤマ」のような記号が扱われることも多かったかもしれませんが、そのイメージは変わりつつあるようです。
インテリアが体験をつくる
2つのカフェを振り返りながら、UI/UXを専門とする山道はインテリアが体験に及ぼす影響を指摘します。
白を基調に構成されミニマルなイメージを感じさせるArabica Coffeeと暖かみのある雰囲気を特徴とするKurasu Kissa、両者のインテリアがもつイメージはまったく異なっていますが、果たしてその差異はUXにどんな効果をもたらしているのでしょうか。
SNSで“誤訳”が減った?
ジャカルタをはじめとする東南アジアの都市について考えるとき、どこか粗野で猥雑なイメージをもつ人も少なくないでしょう。たしかに日本と比べればインフラや交通環境も整備されていないことも多いですし、日本にはない騒がしさや活気がジャカルタやバンコク、ホーチミンといった都市の魅力のひとつであることも事実です。
しかし、むしろ東南アジア諸国の中心地は日本よりも先端的だと石神は指摘します。事実、近年開発が急速に進む都市部は実験的な建築やインテリアも多く、なおかつ流行のサイクルも速いため、日々その風景は変わっています。
こうした状況は、「誤訳」の低減にもつながります。かつては前述した日本的記号が喜ばれたかもしれませんが、むしろいまは東京でいま流行っているデザインがジャカルタでも当たり前に見られるもの。東南アジアはどこかいなたくて野暮ったいなんてことはなく、むしろグローバルなトレンドが直接的に表れているのが東南アジアの都市なのかもしれません。
ぼくらは「情報」を食べている
とりわけ、カフェのようにインテリアやデザインによって差別化が図られることの多い領域においては、こうした環境の変化がダイレクトに表れるものと言えるかもしれません。
コーヒーや食事のクオリティが重要なことはもちろん、現代のカフェを考えるうえでは、インテリアやデザイン、UXが問われるもの。とくに近年はInstagramやXといったSNSでの広がりを考えて体験を設計することが必須にでもあるでしょう。
換言すれば、私たちがカフェを訪れるとき、単にコーヒーを楽しむだけでなく、そのカフェに紐づいた「情報」を重視してもいるのかもしれません。食事やドリンクの味を無視してインスタ映えだけを重視することはときに批判の対象にもなりますが、私たちは大なり小なり、情報を消費してもいます。そんな情報の消費も含めて体験を設計することが、これからのカフェには求められるのかもしれません。
RightSightでは、毎月テーマを設定しながら4本のポッドキャストを公開していきます。次回#002では、具体的なローカルカフェブランドをご紹介しながら、ジャカルタにおけるカフェカルチャーを考えていきます。
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