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地域の魅力を詰め込んだイベントづくり|京丹波町GREEN GREEN MARKET

RightDesignInc.のnoteでは、これまで弊社が携わってきたプロジェクト事例を紹介していきます。今回ご紹介するのは、京都府・京丹波町のタウンプロモーションの一環として行ったイベント「GREEN GREEN MARKET」。私たちが開催・運営に大きく携わった本イベントの意義や狙い、内容を紹介していきます。

GREEN GREEN MARKET開催の意義

私たちは、京丹波町のタウンプロモーションに携わるにあたり、この先10年、20年と町が自走するための仕組みづくりに取り組んできました。まずは官民連携組織「京丹波イノベーションラボ」を立ち上げ、ディスカッションやプロトタイピングを行いながら策定した京丹波町のプロモーション方針が「GREEN GREEN」です。
京丹波町タウンプロモーションについての記事はこちら↓


現在はこのプロモーション方針のもと、さまざまな施策が進行しています。ブランドロゴや「5つのVALUE」の設定、町から生まれるモノ・コトをひとつのブランドへと集約する「FROM京丹波」や、京丹波のファンを増やすコミュニティプログラム「CLUB京丹波」の設立、さらに、採用プロモーション映像やコンセプト映像の制作といった広義の”デザイン”を用いて、京丹波町の魅力を町外に打ち出していく土台づくりに取り組んでいます。
これらのプロジェクトを通じて私たちが重視しているのは「町民を巻き込む」ことです。単に優れたデザインの制作物をつくるだけではなく、住民の方々と京丹波町の魅力を共有し“自分ごと”として共にプロモーション施策に取り組んでもらえる環境をつくろうとしています。

イベント① 冬を彩る「京丹波Christmas Market 2023」

さらにGREEN GREENを広げていくために、京丹波町では「GREEN GREEN MARKET」と題し定期的に大型イベントを開催しています。第1回目となるGREEN GREEN MARKETは、2023年12月9日に開催された「京丹波Christmas Market」。京丹波町の冬に大きなイベントがないことから、町内外の交流の場を作ろうという想いで、「京丹波イノベーションラボ」で企画した初めてのイベントでした。
京丹波町のモチーフとして使われる波線とクリスマスカラーを使用したKVを作成し、「京丹波にクリスマスがやってくる」というシンプルかつストレートなコンセプトで表現しました。
前例となる素材がない中で、人々が賑わう様子を表現するために会場イメージを描いたイラストも制作しました。このイラストは、役場などに大きく印刷して掲示し、効果的な宣伝ツールとして活用しました。

京丹波Christmas Market2023 キービジュアル
京丹波Christmas Market2023 プロモーション用イラスト

もう一つ、会場装飾で特にこだわったのが、京丹波町の木材を使用し、1つ1つに「GREENGREEN」の文字を焼き印して作られたオリジナルの木箱とテーブルです。地元の素材を活かすことで、地域らしさと温かみのある空間を演出しました。この木箱は、会場装飾では焚き火を囲むウォールとクリスマスツリー、会場サイン、スツールなど様々な用途で活用され、またイベントが終わっても公共施設で椅子や棚として使うことができるように設計しました。
さらに、それらの空間を照らすために、2,000個の手作り紙コップランタンも設置されました。このランタンの制作には、京丹波イノベーションラボだけでなく、事前に地元の子どもたちや京丹波町と官学連携を行う一橋大学データ・デザイン・プログラムの学生など、さまざまな人々が関わりました。この取り組みにより、多くの人々が協力して作り上げた、まさに「みんなで作りあげたイベント」となりました。

オリジナルの木箱を活用した会場装飾
木箱とLED電球を用いたクリスマスツリー
手作りランタンづくりのワークショップ

そのほかにも売上の一部が京丹波町に寄付されるイベント専用チケットのような仕組みづくりなど、コンテンツ部分でもイベントと町のつながりを生み出していくことで、イベントには累計3,000人以上が来場し、類を見ない盛況を博しました。会場で京丹波町に長くお住まいの来場者の方とお話しする中で、「何十年もこの町に住んでいますが、この夜の時間帯にこれほど多くの人が一堂に会する光景は初めて見ました。」といったお言葉もいただき、地域にとって新たな可能性や驚きを生み出せた実感がありました。

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京丹波町PodCast 「GREEN GREEN RADIO」イベントの舞台裏を話した回

イベント② 食にフォーカスをした「京丹波GREEN GREEN MARKET 2024」

続く第2回のイベントとなったのは、2024年5月に開催した「京丹波GREEN GREEN MARKET」。「GREEN GREEN」を体現する場として最適の日であるみどりの日(5月3日)に決まりました。
今回は、会場の装飾としてこどもの日に合わせた鯉のぼりを2,000匹制作しました。これは京丹波Christmas Marketの紙コップ製ランタンと同様、「町民を巻き込む」ことを実現すべく、町内の3つのこども園の子どもたちや町内外の関係者たちと協力しながら完成したものです。

みんなの手でつくったクラフト感を表現したキービジュアル
2000匹の手作り鯉のぼり

今回のテーマは、「京の都の食糧庫」とも呼ばれる京丹波町の魅力のひとつである「食」。実際に足を運んでもらうオフラインイベントであるからこそ、来場者の方々が五感を通じて京丹波の魅力を体感できる場の設計を心がけていきました。京丹波町内やその周辺の飲食店に出店いただき、京丹波の食材を活かしたり、お店と地元の農家さんでコラボしたり、緑をテーマにしたスイーツなど当日限定のオリジナルメニューを販売していただきました。

前回のクリスマスマーケットでは、町の持続可能性を目指して掲げた「GREEN GREEN」という考え方や指針を十分に伝えきれない課題がありました。そこで今回は、プロモーション戦略をイラストでわかりやすく伝える展示を行い、京丹波町のコンセプトブックを配布するなど、想いの共有を強化しました。

プロモーション戦略の展示と無料配布したコンセプトブック

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イベント③ 先日行われた2度目の「京丹波Christmas Market 2024」

2024年12月に開催された京丹波町のクリスマスマーケットは、これまで同様の盛り上がりを生み出すだけでなく、さらにイベントを発展させ新たな体験を提供する必要がありました。そこで今年のイベントは「京丹波らしさ」を追求しつつも、新しい挑戦や創意工夫を随所に取り入れていくこととなりました。

今年のChristmas Marketの様子

地域との共創がもたらした独自性

今年のクリスマスマーケットでは、官民連携組織の京丹波イノベーションラボをはじめとして、京丹波町役場や会場関係者との連携をさらに深めていきました。「一緒につくる」意識を共有することで、より地域密着型のイベントへと成長できると考えたからです。
例えば、会場の入り口には、国道9号線からも目に入るように灯籠やのぼりを設置。これは会場の丹波自然運動公園の方から提案を受け、実現したものです。また、ランタンづくりを子どもたちと一緒に行う企画は協力いただく場を増やし、地域住民が主体となって参加できる機会の醸成に努めました。こうした灯篭やランタンは、夜には幻想的な雰囲気を演出し、訪れる人々の心を温めてくれました。

灯籠とのぼりの動線設計 / 今年も増加した手作りランタン

音と空間のこだわり

会場のサウンドスケープの設計にあたっては、一般的なクリスマスイベントで耳にするクリスマスソングを流すのではなく、会場内でラジオ番組の生放送を実施しました。2023年5月のGREEN GREEN MARKETでも実施したこのラジオには、京丹波町長からふるさとの納税の京都担当の方、経済産業省の方、来場者の方まで、さまざまな方に出演いただいています。こうして実現したトークは、京丹波を軸とした横の広がりが実現したことを実感する場面でもありました。

GREEN GREEN RADIOの様子

さらに、2024年のクリスマスマーケットでは、音響設計にも工夫を凝らしました。今年はスピーカーを円形に設置し、会場全体の統一感を向上。音楽と空間が一体となった心地よい環境をつくっていきました。

加えて、京丹波町に関わるアーティストによるライブは、昼と夜それぞれ異なる演目が実現し、賑やかな昼とムーディーな夜、まったく異なる雰囲気を楽しむことができる仕掛けが来場者を魅了しました。

キービジュアルをはじめとしたデザインについては、昨年好評だったグラフィックデザインをもとにしつつ、新たに10種類のパターンを作成。今年は会場を彩る装飾のひとつとしてのぼりを採用し、役場や公園での再利用も可能な設計を意識しました。また、アーティストの背景にも京丹波のロゴや新たなパターングラフィックを反映させ、統一感のあるビジュアル表現を徹底。これにより、写真映えするフォトスポットとしても機能しました。

去年の波線のグラフィックをパターンとして拡張

飲食と物販を交互に配置することで、時間帯による混雑を緩和。再利用している木箱は、高さや配置を工夫することで、焚き火を囲む空間がより開放的かつ視覚的にも温かみのあるものとなりました。「京丹波であたたまろう」をテーマに、象徴的な焚き火のエリアは訪れた人々の癒しの場となりました。

地域のファンを増やす取り組み

本イベントの成功には、協力者の増加も大きく寄与しました。昨年感動した地元の建設会社が家族ぐるみで参加くださったり、他地域のクリエイターがデザイン面で貢献したりと、京丹波の魅力に賛同する人々が集まりました。このような「京丹波のファン」を増やす取り組みが、イベントの継続性や地域活性化につながっています。

今年の来場者数は約4,700人、今後は「風物詩」として継続しつつも、さらに新しさを取り入れることを目指していきます。地域とのコラボレーションを深化させ、京丹波らしさを追求した限定企画や、外部のコミュニティとも連携するキッチンカーの導入など、次回へ向けた動きもすでに動き出しています。

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これからはもっと町の外側へ

本記事でご紹介した、京丹波町で実施しているマーケットは、タウンプロモーションの方針を体現し、町内・町外からその認知・理解を得ることを目的としています。もちろん上記3回の開催で完結することはなく、今後も定期的に開催していくことが予定されています。今後は町外に向けたイベントも拡充していくかもしれません。

さまざまな体験や情報をオンライン上で得られるからこそ、こうしたオフラインイベントの重要性も高まっています。京丹波町内に限らずさまざまな場所で、そうした情緒的価値の伝播を人と人との直接的な関わりを通して可能にするものとして、私たちは引き続きオフラインの場のデザインにも取り組んでいく予定です。

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