ビーチ・カントリー・マン・ダイアリー(32)「島ぞうりとUGG…」
日常履きは何を履いているだろうと考えていました。数年前までの平日は東京・赤坂の会社に毎日通勤し、休日は自宅近くの下北沢界隈をふらつくのが日常で、近場であればクロックス、少し歩くならニューバランスだったかと思います。
一年前に湘南・片瀬海岸に引っ越してきてからは、どうだったか…。そろそろ衣替えの季節も迫ってきたので、スマートフォンに残したこの一年間の写真をチェックしていたところ、私の日常履きは、島ぞうりとUGGばかりでした。もちろん、キャンプなどではクロックスや冬用ブーツの写真も残っていましたが、日常履きとしては、島ぞうりとUGGのみでした。
季節が四季ではなく二季のようになったせいもあるでしょうが、昨年10月から12月下旬、そして今年の3月からいま現在までは、基本的に島ぞうりで、今年の1月と2月はUGGばかりでした。
その理由ですが、大きなものの一つは浜辺の散歩が日常化したのがあります。砂浜を歩くと砂が飛び散り、通常のスニーカーだと砂が確実に靴の中に入ります。ではどうすれば良いかというと、くるぶしまで覆うブーツ状のものが最適です。となると、ブーツを日常履きできる寒い季節に限られ、この一年では1月と2月に当たりました。ブーツならなんでも良いかというとそうでもなく、靴紐で結ぶようなものは、足の甲にあたるところに「舌」というものがありそのすき間から細かな砂がなかに入りこんできますから、やはり寸胴状と言えば良いのか、つまりUGG状のが一番適しています。さらに、砂浜を歩く感触としてもUGGはとても歩きやすいわけです。UGGの公式ホームページを見てみると、UGGが最初に開発された経緯が次のように書かれていました。
「1970年代後半、ブライアン・スミスは、オーストラリアで会計を熱心に学びながら、サーフィンと音楽、メディテーションに深い情熱を傾けていました。ある日、ラジオから流れてきた内省的な曲を聞いた彼は、人生を変えようと思い立ち、会社でのキャリアを捨て、カリフォルニアへと旅立ちました。南カリフォルニアに到着した彼は、その自由な雰囲気とカウンターカルチャーとしてのサーフシーンに刺激を受けます。オーストラリアとは違い、寒い朝のサーフセッション後にシープスキンブーツを履いているサーファー仲間がいないことに気付いた彼は、UGG®ブランドを設立するというアイデアを思いつきます。ブライアンは、その大胆で独創的なアイデアを実現するため、たゆまぬ努力を続けました。初めてブーツの売り込みに行った彼は、南カリフォルニアの150以上の店舗を1軒1軒訪ねました。しかし、どの店もビーチサンダルやボードショーツの隣に彼の商品を置いても絶対に売れないと言って、相手にしてくれませんでした。 それでもブライアンは諦めませんでした。マリブ・ポイント・ビーチで自らブーツを履きつつ、自分のバンの後ろにブーツを並べ、ポップアップスタイルでの販売を開始したのです。彼のアプローチは、草の根的でシンプルなものでしたが、やがて口コミで噂が広まり、カリフォルニアの太陽の下の彼の店には、人々が列をなすようになりました。」
つまり、創始者のブライアン・スミスはサーフィン好きで、会計士をやっていたオーストラリアから南カリフォルニアにやって来て、オーストラリアとは異なり寒い朝のサーフセッション後にシープスキンブーツを履いているサーファー仲間がいないことに彼は気づき、UGG®ブランドを設立するというアイデアを思いついたわけですね。
この経緯をなんとなく知ってはいましたが、湘南・片瀬海岸というビーチでも、シープスキンブーツがピタリと合うのを身をもって実感していたのには驚きました。もちろん、真冬の1月と2月に限りますが。
そして、島ぞうりです。
noteのどこかで綴ったと思いますが、わが人生で納得のゆくビーサンには出会ったことがないまま、昨年10月に湘南・片瀬海岸に引っ越してきました。引っ越し荷物の整理も終わり、浜辺散歩が日課になるにつけ、納得のいくビーサンを探し買い求め、実際に履いてはため息をつく日々が続いていたのですが、Googleで検索していると引っかかったのが島ぞうりでした。沖縄のビールといえばOrionビールですが、このOrionビールのホームページに島ぞうりの歴史が次のように書かれていました。
「亜熱帯の沖縄地方では、昔からヤシやアダンの葉などで編まれた草履(ぞうり)が日常的な履き物でした。時が流れ、戦後~1950年代頃になると、がれきなどから足を守るため、廃棄された米軍車両のタイヤを再利用し、ゴム製の草履を製造するようになり、1960年代頃には沖縄県内での流通が盛んになりました。これが島ぞうりの原型といわれています(諸説あり)。」
さて、この島ぞうりです。
一足千円に満たない価格なのですが、鼻緒が色とりどりなのもあり、評価も高いようなのであるショッピングサイトで購入しました。
結果、鼻緒のスレもなく軽くて、すぐに惚れこみ、今や八種類の島ぞうりを玄関に並べています。昨年の10月から履きはじめ、温暖化ということもあってか気づけば12月になっても島ぞうり男として浜辺を散歩していました。
やがて、木枯らしも強く冷たくなるや、日によってはUGGを履きはじめ、年があけてUGGでは足が蒸れるような気がしてくると再び島ぞうりを履くことになりました。
季節が順当に四季になっても、これからは暖かければ島ぞうり、寒ければUGGという、二択だけの履き物文化のままなのだろうと思っています。たまに、電車に乗って東京へ行くようなことがあると、ニューバランスのシューズやワークブーツなどを履くのですが、日常履きはやはりこの二択です。シンプルと言えばシンプルな生活が、履き物ひとつとっても、ビーチ・カントリーにはあるものです。中嶋雷太