飲食業界における商品開発の仕事とは?必要なスキル#1 分析スキル:ポジショニングマップ
飲食業界における商品開発の仕事内容とは?
商品開発は、新しい商品を開発したり、
既存の商品を改良したりする仕事です。
商品を作成し、販売するまでには下記図のような一連の流れがあります。
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仕事の流れ
商品を作成する前に図の1~9までの業務があります。
詳細をみていきましょう。
1.市場調査と分析
現在流行っているものを調査し、情報収集します。
インターネット検索が主な方法です。
競合他社、コンビニエンスストア、SNSで流行っている商品など幅広く調査します。話題のお店に実際に足を運んだり、商品を取り寄せたりして、実地調査を行うこともあります。客層やセールスポイントを目で確かめ、実際に商品を食して、味を確かめることで、消費者の目線になって分析することも重要な情報収集です。
そして調査・分析おいて大事なのは、市場など外部の情報だけでなく、自社の商品が競合他社と比較した際、『強みが何か』を把握することです。
自社の分析を行うことで、強みが明確化し、ターゲットも明確になります。
2.アイディア提案
市場調査と分析から得た情報から商品アイディアを多数提案します。
3.開発計画・立案
アイディアをもとに商品開発計画を立てます。
販売日から逆算してスケジューリングします。数回に渡るプレゼンテーションがあり、商品の味・見た目の改善などに時間を要したり、他部署との連携も必要なため、余裕のあるスケジュール管理が必要となります。
最低でも3ヶ月前に商品内容が決定している必要があります。
4.材料の選定と試作品作成
使用する材料は現在販売中の商品と同じものを使用したり、新たに仕入れたりするものもあります。商品によっては材料だけでなく、食器やカトラリー、梱包材など選定するものが多数あります。試作品は、材料のg単位の調整で味や食感の調整をしたり、見た目に工夫を凝らしたりして、完成度を高めていきます。販売価格に対する商品価値が見合っているか消費者目線で作成し、数パターン提案する場合もあります。
5.プレゼンテーションと商品改善
社内プレゼンテーションを行い、承認をもらうまで味・見た目の改善や原価率などの調整を行います。また商品名や魅力的な商品説明を考案します。
6.生産準備
プレゼンテーションでの承認後、安定した商品の販売のための準備を進めます。材料の確保やネーミングのチェック、菌検査の実施を通して安全性を確認したりと、他部署との連携が多くなってきます。
7.販売促進ツール作成のための商品撮影
販売促進ツールと呼ばれるメニュー、チラシ、ポスター、HP掲載などに使用する写真撮影を行います。
8.商品の販売開始
商品を販売します。
事前に商品の詳細を販売店舗にアナウンスし、販売スケジュールを共有します。販売戦略によってはプレスリリース(メディアに一部情報解禁)をし、事前にメディアを活用して、反響を高めることもあります。
9.フィードバックと改善
商品販売後、売れ行きを分析し、評価をして改善点を見つけていきます。
SNSや口コミでの評価を分析します。その際、商品に改善が必要なのか、販売戦略の改善が必要なのか、何が要因なのかを冷静に判断することが求められます。
上記のような一連の流れで商品開発業務を進めていくわけですが
今回は始めの業務である市場調査・分析こちらにフォーカスしていきます。
必要スキルを身につけることで
商品開発における企画力アップや、商品提案時のストーリーに繋がります。
分析スキル『ポジショニングマップ』を学んでいきましょう。
ポジショニングマップとは?
『ポジショニングマップ』とは、
市場において自社と競合他社の立ち位置を図として表す、
共通認識に活用できるツールです。
なぜ、ポジティブマップ作成が必要なスキルなのか?
それは商品開発において
競合他社と自社の比較をすることが必要不可欠だからです。
自社と競合他社の立ち位置をはっきり理解していることで、
3つのメリットがあります。
・自社の強みを見える化できる
・共通認識することができる
・販売戦略、ターゲットの設定が明確化できる
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これは、縦軸に「高価格と低価格」、横軸に「メニュー数多いとメニュー数少ない」という4つの要素を、自社と競合他社を位置づけしたものです。
自社と競合他社の立ち位置をなんとなく、理解している場合もあるかと思います。
しかし、市場調査・分析で得た情報を使い、頭の中で自社と競合他社の差を明確にしたり、販売戦略を考えたり、差別化した商品を開発することは難しいです。
ポジショニングマップは、「頭の中にある市場マップを図にしたもの」です。自社と競合他社の立ち位置をよりはっきりと理解できるため、自社の強みを見える化でき、そして思考の整理や判断に役立ちます。チーム内での共通認識として確認することもできます。そして立ち位置がはっきりしたことで、ターゲットを明確化することができます。
ポジショニングマップの作り方
自社と競合他社の立ち位置を明確にできるポジショニングマップの作り方を紹介します。
ポジショニングマップは「軸決め」が重要である
ポジショニングマップを作る上で一番重要なことは、「軸決め」です。
先ほどのマップでは、「高価格と低価格」「メニュー数多いとメニュー数少ない」という2セット4要素を軸にして自社と競合他社を位置づけしています。
この軸決めがなぜ重要かというと、縦軸と横軸のどれかひとつを少し変えただけでマップが大きく変化するからです。
言い換えれば「縦軸と横軸にどんな要素を置くか?」により分析できる事柄が変わり、その結果に応じてターゲットや販売戦略が変わるということになります。
そのためポジショニングマップでは、自社と競合他社の立ち位置を正確に再現できる要素を慎重に選ばなければなりません。
1.自社と競合他社の比較表を作る
情報収集をし整理したら、自社と競合他社の情報をまとめて比較表を作ります。
配置付けを行うにあたって、競合他社の情報収集が欠かせません。
情報収集のやり方は市場調査と同様で、「実地調査」と「インターネット調査」があります。実地調査ではインターネットで得た情報との違いがないか、現場でないと確認できない新商品ラインナップ等々を確認します。インターネットやSNS上で膨大な量の情報が生まれているため、効率的に情報を収集してください。
下記はコーヒーチェーン店の4社の情報を比較表にした際の一例です。
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比較表以外にもアンケート調査・比較調査の結果を参考にしてもよいでしょう。
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2. ポジショニングマップの軸を決める
比較表ができたら、ポジショニングマップの軸になる要素を決めます。
ターゲットを明確にした上で、軸の選定を行います。
ポジショニングマップで価格を軸に入れると、「より安く提供する」または「より品質を高める」の選択に陥りがちです。
すでに説明したように、ポジショニングマップでは軸決めが重要です。
情報収集をもとに、軸決めをしていきましょう。
軸決めは自身で判断するだけでなく、多数の意見を取り入れたりすることで
必要な要素は何かが明確化したり
軸のワード選択にも幅が広がります。
3. 自社と競合他社の特徴を配置する
最後に、自社と競合他社の特徴を配置します。
配置したら、その配置場所が適切かチームで協議し、
自社のターゲットと強みを共通キーワードとして認識します。
ポジショニングマップを作る際の注意点
優先度の低い項目を軸にしない
ポジショニングマップ作りで最も注意すべき点は、優先度の低い要素は軸として選ばないことです。
優先度の低い要素を軸にしてもポジションマップは作成できますし、一見すると自社と競合他社の立ち位置がはっきりして販売戦略に役立ちそうに感じられます。しかし、必要なマップかどうかがわかりづらいです。
まず情報収集の際に、事前に要素の項目表などを作成しておくと、優先順位の高い必要情報が絞れて、膨大な情報の収集に時間を取られずに進められるでしょう。
ポジショニングマップは複数作る
1つのポジショニングマップに設定できるのは2つのみです。そのため、1枚のマップだけで自社と競合他社の立ち位置を分析するのは難しいでしょう。ポジショニングマップを作る際は、必ず複数作ることをおすすめします。
3枚のマップを作れば6つの要素を軸にした情報分析が行えます。
ただし、先程もご説明したように、要素を絞ることは必要です。
要素の文言をチームや商品企画担当と相談することで、より共通認識をしやすいものに仕上がるはずです。
以上飲食業界における商品開発の仕事で必要なスキル
ポジショニニングマップ作成方法の手順と注意点でした。