見出し画像

【疑う力・創る力】大学生の大切な生文字に未来を重ねる

シャーペン、鉛筆で、大学生たちが原稿用紙に書いた期末試験の解答の文字。一つ一つの文字は、実に個性にあふれています。普段、提出されるミニレポートなどはオンライン上の文字、文章のやり取りだったので、初めて見る学生たちの生の姿です。世界中に1つしかない文字、文章。

濃くて、大きくて、読みやすい字。薄くて小さい文字には目を近づけて読み込みます。消しゴムで何度も消したあとがうかがえます。端っこがよじれた原稿用紙があります。限られた試験時間の中で、懸命に書いてくれた授業の成果。それらを見ていると、どこか大切な宝物のように思えてきます。
 
大学の講義のタイトルは「疑う力・創る力」。フェイク情報があふれるこの社会で、事実をどうやって見極めるか。社会の仕組みが壊れ、再構築が進むであろうこの社会で、どう社会創生をするか。そうしたテーマで、学生たちとやり取りをしてきました。後期の講義を終え、私が期末試験で出した問題は「自らが最も懸念する社会課題を1つ取り上げ、その解決策を自考して自由に大胆に書く」という内容です。戦争、貧困、高齢者の孤独、ジェンダー問題、自殺、フェイク…。各人が自分なりの課題を見つけ、自分なりの解決策を見いだそうとしていました。

「インタ―ネット上に答えはない。答えは、みなさんの心と頭の中にある」。「自考して、オリジナルな、大胆な、大バカな発想をしよう」。講義でそう投げかけてきました。でも、ちゃんと伝えることができたのかどうか。さほど自信はありません。
 
解答を採点しながら、思わず吹き出してしまう面白い発想がありました。さすがです。固定観念からまだ抜け出し切れていない解答の中にも、変化の兆しを感じ取れるものがありました。学生が自分で考え抜いたオリジナルの解答に、本当は点数など付けられない。そう思いつつも、独創性などを基準に、採点していきます。
 
10年後、20年後、世界は、日本は、どんな社会に変容しているのでしょうか。日本は、今より厳しい状況になっているかもしれません。その時、学生たちは、どんな場所で、どんな仕事をしているでしょうか。私にたくさんの学びを与えてくれた学生たちが、自考しながら、奮闘している姿を今から思い浮かべています。

#自考 #大胆 #大バカ #疑う力 #創る力 #社会創生 #大学 #フェイク


いいなと思ったら応援しよう!