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【疑う力・創る力】あまりにも遅い、あまりにも小さい、日本の政治
103万円の壁、賃上げ、高校無償化…。与野党の国会議員のみなさんは、こうした小さい政策に、どれだけの時間を費やしているのでしょうか。日本はどんどん衰退し、「途上国化が進んでいる」という指摘さえ出るようになりました。にもかかわらず、日本の政治は、あまりにも遅く、あまりにも小さいと感じています。
日本人の貧困化が進んでいます。経済格差が広がっています。中低所得層の国民は、買いたいものが買えず、買う量を減らし、買う品物の質を落としています。大勢の人たちの生活水準がダウンしています。危機が目に見えるようになってきました。
103万円の壁の課題解決は必要かもしれませんが、ポピュリズムにつながりかねない矮小化された議論にとどまっていないでしょうか。ここで肝心なのは、国会議員のみなさんが先送りしてきた「社会保障と税の抜本的な一体改革」に早急に着手することです。「弱き人を助けるのは、強き人の役目」という言葉があります。「社会保障と税の抜本的な一体改革」では、担税力が高い人、富裕層の方々に、相応の負担をお願いする議論を進められないかと私は考えます。
賃上げの恩恵は、大手企業など一部の人にとどまっています。円安などを背景に物価高が進み、賃上げは追いついていません。日本の政策は、限られた小さい余力の中で、限られた狭い範囲の中で、近視眼的な作業に明け暮れているように見えます。大きな視野で、大きな変革を進める時です。
「私の政権は就任してから4週間で、従来のほとんどの政権が4年間で達成した以上のことを成し遂げた。最高の4週間だ」。こう自画自賛するのは、アメリカのトランプ大統領です。トランプ政権が発足して1カ月が過ぎました。矢継ぎ早に70本以上の大統領令を打ち出しました。その内容には批判も伴っていますが、自国の現状を変えようという強い意志が反映しています。
例えば、対外援助を担うアメリカの国際開発庁(USAID)は、不透明で、無駄遣いが多いという理由をあげ、閉鎖し、政府支出を削減しようとしています。各国から批判が噴出している他国への高関税政策は、アメリカの貿易赤字を減らそうという狙いです。トランプ政権は、自国の大きな問題である双子の赤字、「財政赤字」と「貿易赤字」の現状を改善しようと、ものすごいスピードで、流れを転換しようとしているのです。
日本はどうでしょうか。小さな政策に時間を費やしています。国会議員は、懸命の努力を怠り、財政に依存する体質から脱却しようとしていません。今後、日本の金利上昇が進む中、財政規律を軽視し続ければ、財政破綻状態に陥り、困窮する人たちがあふれる事態が現実になる恐れもあると考えます。
日本の経済や社会の仕組みのパイを、土俵を、大きく強くする国家構想を打ち出す時です。例えば、新たな産業の創出。例えば、イノベーションを生み出すための人と社会の創生。これらに直結する教育制度の抜本的な変革。これまでの常識にとらわれず、こうした創生策を大胆に実行する時です。手遅れになる前に、目を覚まさなければなりません。
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