「変化の反動」-ツエーゲン金沢-

J3リーグ ツエーゲン金沢が苦労しています。
J2リーグ昇格を目標としているチームが開幕して3戦全敗。
しかも、3得点の12失点と木っ端みじん。

試合を見て私が感じること、SNSでよく目にすることは、
「(昨シーズンと比べて)守備に強度がなくなった」
「守備が緩すぎる」
だから、勝てないという認識です。

昨シーズン、J2リーグで戦っていた選手が多く残留したにもかかわらず、なぜこのような認識に陥るのでしょうか。サポーターではなく、ここでは選手視点で考察したいと思います。

私自身、似たような実体験があります。
ただし、サッカーではなく、フルコンタクト空手において。
私は空手では競技者として真面目(w)で、(地獄のような)練習環境に恵まれたおかげもあり、ある程度結果を残すことができました。
また、スポーツは、どの競技も根底では繋がっている!と感じていますので、競技の違いに関してはご容赦をお願いたいと思います。

さて、空手の大会では…自分の体格(約70㎏)は小柄でしたが、練習環境に恵まれていたので、ほどほどに勝てるようになっていました。

転機の訪れは思いがけず、ある先輩と二人で朝練をするようになり、アドバイスされた一言からでした。
「パンチは力を抜け」と。
???…力を抜いて?…今までそんな指導受けたことありませんでした。
でも、その先輩は体格が大きくないのに、衝撃的に凄いパンチを打つのは確かです。
とりあえず、朝練ではその先輩に指導を仰ぐことにしました。

そして朝練で、ほんの少しずつですが感覚をつかもうと励んでいたところ、たくさんの選手が集まる夜の稽古では、練習しているパンチが全く通用しませんでした。
このため、自分が弱くなったのは明らかでした。
さらには、弱くなったどころか、周りからやる気がないと見られるようになってしまいました。当然、自分の不甲斐なさには、その先輩も擁護はしません。
そうなると、はめていたグローブを床に叩きつけて泣きました。二十歳を過ぎたいい大人が。ホント迷惑な話です。
もう、「以前のスタイルに戻そう!」と。

夜の稽古では、以前のスタイル(パンチの打ち方)に戻すことにしましたけれど、先輩の打つパンチに憧れがありましたので、朝練では「力を抜くパンチ」の練習を続けました。
そうしているとあるとき、ようやくパンチは「アキレス腱で打つんだ!」と自分なりの感覚に辿り着きます。(頭がおかしくなった(w)のでは決してなく、一生懸命ことばにすると自分の場合はこうなります)。
確かに、腕に力は感じないけれど、当たった衝撃は凄く感じられます。以前のパンチとは“質”が全く違う訳です。

ここまでくると以前にも増して空手が強くなり、何より楽しくなりました。「空手って奥が深くて、まだまだ強くなれる」と。

ツエーゲン金沢の選手視点に話を戻しますと、選手は、伊藤監督のスタイルに魅力を感じ、キャンプなど練習に取り組んできたと思います。
しかし結果が出ず、いまは昨シーズンより弱くなったと感じているかもしれません。
また、第3節のFC大阪戦で木っ端みじんに負けたこと、サポーターに見捨てられそうになったことは、精神的に相当堪えているものと推測されます。
そして、主力選手のなかには「昨シーズンまでのスタイルに戻そう!」と、いまは望んでいる人もいるかもしれません。

おそらく、昨シーズンと今シーズンのスタイルは、サッカーの“質”が全く違うのだと感じます。
どちらが優劣という訳ではありません。
全く違うというところが肝心です。

これからもチーム、選手の練習、試合は続いていきます。
私は今シーズン、選手に「(伊藤監督の)サッカーは楽しいですか?」と聞きたいと思っています。
いつの日か「楽しいですよ!」と返答があることを祈りつつ。

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