殺意は1秒、許すは永遠

僕は歩いていた
ただ歩いていた

ぼんやり滲む雲
雨の匂いに急かされる人混みを掻き分け
極めて静寂な今日の中
ただ歩いていた

駅の改札を抜けた

-その時-

背後から迫り来る
不穏な足音

嫌な予感を噛み締める。

ぶつかる肩と肩
ねじれる上半身に
右足の膝が地面と抱き合う

女だ
見知らぬ女だ

えらく急いでいる様子の
その女が僕に言ったんだ

その言葉は・・


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