高温ガス炉を用いた新型原子力システムで全ての人に安価で安定した持続可能なエネルギーを届ける【株式会社Blossom Energy】
二酸化炭素を排出しない原子力エネルギーは、地球環境を保護するうえで重要な選択肢です。
燃料コストの大きな変動がなく、安定的にエネルギーを供給できるため、資源に乏しくエネルギー自給率の低い日本では特に化石燃料に依存しないエネルギー生成法として重視されています。
そんな優れた面がある一方で、事故時の影響の大きさから、否定的な意見が多くあるのも実情です。
そんな中、株式会社Blossom Energy(以下Blossom Energy)では第四世代原子炉である高温ガス炉を用いた、革新的に安全、かつ経済性を犠牲にしない新型原子炉の開発に取り組んでいます。
なぜやっているか
産業用熱エネルギーの脱炭素化
木材の燃焼に始まり、石炭、石油、天然ガスというように、社会の発展と共にエネルギーの使用量は増加してきました。
それに伴って、森林資源の減少や化石燃料の枯渇などを経て、急速に進む地球温暖化は私たちが直面している喫緊の課題です。
太陽光・風力発電の導入拡大により電力エネルギーの脱炭素化は進んでいるものの、熱エネルギーに関しては未だ化石燃料に依存しています。
これからの社会の発達のため、今、世界では安定安価なカーボンフリーの熱が求められているのです。
さらに、熱エネルギーの約5割は産業用途として使われており、そのうち化石燃料による生成が7割。
産業用の熱エネルギーから脱炭素化を進めていくことは課題解決のために大きなインパクトを与えることができると考えられます。
Blossom Energyは産業用熱エネルギーに対応できる原子力システムの開発を行っています。
どうやっているか
大口の熱需要家に適したクラスタ型高温ガス炉の開発
石油精製工場や化学工場などの大口の熱需要家には過酷事故(シビアアクシデント)の心配がない高温ガス炉を提案。
特許技術を活用したクラスタ型*高温ガス炉は枯れた技術(=広く使われることで信頼性が高くなった技術のこと)で構成され、ローコストかつ安全に運用することが可能で、安定的にクリーンな高温蒸気を供給します。
小口の需要家には熱エネルギー貯蔵技術を活用
一方、工場や地域の暖房などの小口かつ大多数の需要家には、捨てられている電気や排熱を貯蔵できる蓄熱システムからのエネルギー供給を提案。
従来では重油や天然ガス、石炭を主なエネルギー源としているところを、本来廃棄せざるを得なかった電気や熱などの再生可能エネルギーに代替することで輸入資源に頼らず、カーボンフリーな熱の提供を目指します。
たけはらDXでの取り組み内容
Blossom Energyは黒鉛蓄熱システム開発を行う国内唯一のスタートアップ企業としての側面も持っており、今回のたけはらDXでは前述のクラスタ型高温ガス炉の設計思想を適用した黒鉛蓄熱装置の実証事業を行います。
主な実証内容としては下記の3つです。
熱エネルギー貯蔵装置の開発
装置の設計および部品を選定することで基本設計を行い、内製化のための施策を検討します。
また、設計案に基づくシミュレーションを用いた性能評価を行い、設計を確定。最終的には上記の設計を元に試験機を製作し、動作テストを元に性能評価を行っていきます。
竹原市内産業との協業の可能性の検証
地元企業とタッグを組み、蓄熱材のブロック製造の試作を進め、量産を行う工場の設置を検討します。
蓄熱材の性能のうち熱容量を向上させるため、金属粒子を黒鉛に混合する手法をテスト。そこで従来廃棄されるような金属の活用が出来るかを、調達量や物性の安定性などを評価した上で検証していきます。
広島商船高専との技術課題の取組み
蒸気ボイラと蒸気タービンの試験施設に、蓄熱式ボイラの接続が可能かどうか、担当教官および学生と議論した上で、実際に蓄熱式ボイラの作動試験を共同で行います。
同時に、蓄熱槽を大型化し、船舶に積載して輸送すること等、将来の蓄熱式ボイラを発展させる方法について議論を進めていく予定です。
Blossom Energyと竹原がコラボレーションする本プロジェクトの進捗は今後もこちらのnoteで紹介していきます。乞うご期待!!
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