Climate Tech企業特集① 気候変動重視の個人投資家向け投資アプリClim8編
みなさんこんにちは!サイバーエージェント・キャピタル🌏担当の安藤と申します!先日日本政府が電気自動車やハイブリッド車向けの急速充電器を2030年をめどに現在の約4倍の3万基まで増やすことを発表しました。燃料電池車向けの水素ステーションも25年に20年の2倍の320カ所程度にするとのことです。35年までに乗用車の新車販売をすべて電動車にする目標の実現に向け、本格的にインフラが整えられます。全国に約3万カ所あるガソリンスタンド並みですね!この発表を受けての日本におけるEV市場の拡大に期待大です!!!
Twitter: https://twitter.com/cac_ando
さて、エシカル投資はかなりカオスな様相を呈しており、多くのグリーンウォッシングも発生しております。英国のスタートアップ企業であるClim8は、個人投資家向けのアプリとプラットフォームをローンチすることで、この問題を解決しようと試みています!
Clim8 概要
Invest sustainably to fight climate change
Make an impact with your savings. Sustainable investing without compromising on returns
ソーシャル・インパクト・プロジェクトへの投資を促進するために構築されたオンライン・クラウドファンディングおよび金融プラットフォームの運営会社です。スマートモビリティ、リサイクル、クリーンウォーター、サステイナブルフード、クリーンテクノロジーなどの環境分野にインパクトを与える企業に投資することができ、ユーザーは最小限の資本リスクで持続可能な開発を促進することができます。サステイナブル投資ファンドの情報開示に関するEUの新しい高いルールを活用しており、フィルタリングを通過した企業が登録されています。ユーザーは株式型ISA(2万ポンド、約300万円まで)、または課税対象となる一般投資口座のいずれかを選択することができます。
・直近の資金調達状況
2021年4月12日、British Business Bank、7percent Ventures、その他11名の投資家から800万ドル(約8億8000万円)のベンチャー資金を調達しています。
・CEO
Duncan Grierson氏
・資金調達状況
ベンチャーキャピタル支援
・設立年
2019
・拠点
英国
・社員数
49(2020年時は18でした。一年間で31名正規社員が増えています。)
・競合
ロンドンのTickr(Ada Venturesから300万ドル、約3億3000万円を調達)
パリのHelios
チューリッヒのYova
近いうちに競合4社を比較したnote記事を出そうと思います!ご期待ください!
創業チーム CEOについて
CEO Duncan Grierson氏
Linkedin
Twitter
クリーンテック起業家およびベンチャー投資家として20年以上のキャリアを持っており、創業者CEOとして、ゴールドマン・サックスやフィデリティなどから1億ドル以上調達し(Clim8とは別の以前の会社の話です!)、廃棄物からバイオ燃料への転換、プラスチックのリサイクル、太陽電池貯蔵、風力タービン複合材などのクリーンテック企業を設立したほか、エネルギー転換のためのデジタルソリューションを中心に多くの企業に投資してきました。さらにEY Entrepreneur of Year Cleantech Awardを受賞しています。
ケンブリッジ大学を卒業後、ロンドン、シリコンバレー、パリを拠点とするトップクラスのベンチャーファンドTCVCでキャピタル業務に携わった後、世界トップクラスのビジネススクールであるINSEADでMBAを取得されています。テニスが凄まじくお得意とのことです…!!!
職歴
Clim8 Invest CEO & Founder
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Gresham House plc
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Smart Planet Ventures/Founder
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Smart Planet Ventures
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7percent Ventures/Co-Founder
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Lirica
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Iona Capital Ltd
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PlasRecycle-CEO, Founder
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Sterecycle-CEO, Founder
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Lake Capital
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TCVC, Thompson Clive & Partners
Vincent Gilles氏 Chief Investment Officer
Alice Leguay氏 Chief Commercial Officer
Adriana Landaverde氏 Chief Product Officer
Michael Barry氏 Advisor
そのほかのメンバーはこちら!Google出身などマーケターなど優秀なメンバーが勢揃いです。
ファイナンス
⑤VCからの調達(アーリーステージ)
日付:2021年4月12日
調達額:$8.00M(約8億8000億円)
7pc Ventures(Facebookに買収されたOculusの初期の支援者)、British Business Bank Future Fund、そしてMoneseのMarcus Exall氏、N26のMarcus Mosen氏、Lego DigitalとMcKinseyのPaul Willmott氏、RedbrainのDoug Scott氏、Thought MachineのMatt Wilkins氏、SkyscannerのAndrew Cocker氏、RedbrainのSteve Thomson氏、NeyberとGoldman SachsのMonica Kalia氏、AdzunaのDoug Monro氏、LimejumpのErik Nygard氏ら数多くのテクノロジー起業家やエグゼクティブから800万ドル(約8億8000万円)を調達。
④
エクイティークラウドファンディングでの調達
日付:2020年11月13日
調達額:$3.35M
プレバリュエーション $12.47M
ポストバリュエーション $15.82M
③
エクイティークラウドファンディングでの調達
日付:2020年5月19日
調達額:$1.85M
プレバリュエーション:$4.18M
ポストバリュエーション:$5.78M
②
VCからの調達(アーリーステージ)
①
VCからの調達(シードラウンド)
日付:2019年12月17日
調達額:$0.83M
プレバリュエーション:$3.91M
ポストバリュエーション:$4.74M
なぜ今Clim8が伸びているのか
CEOをはじめ、チームの実績や能力が非常に高いということもありますが、Duncan Grierson CEOが「2020年は投資家が気候関連の投資機会に目を向けていたため、環境に焦点を当てた投資にとって例外的な年でした。新型コロナウイルス(COVID-19)の危機以降も持続可能な投資は市場を上回る成果を上げており、今後も継続すると考えています」と述べている通り、今ESG投資、そしてソーシャルビジネスにはとても強い追い風が吹いています。Clim8には常に追い風が吹き荒れていると思います。
また、普段ESG投資を一歩離れた位置で捉えてしまっていた個人投資家、投資に触れたことのない人たちにとってこのプロダクトの出現はまさに直接ESG投資に関わり直接ESGビジネスを推進する企業を応援したいという人々に梯子をかけたものであると感じます。ここまで手軽にESG投資をできるということはこのご時世もう盛り上がって当然ですね!!!
まさに(超個人的意見ですが)英国らしいビジネスであると強く感じます。
①ESG潮流を抑えている、ESG投資に対する潜在的ニーズの掌握ができている。
②その時流に乗れるだけのプロダクトの質、創業チームの練度が高い。
③世界三大金融都市の一つロンドン発であり、初期ユーザーも金融リテラシーの素地が高い。
今後の展望と個人的な考察
中学生の頃からのワンタップバイ(現在のpaypay証券)ヘビーユーザーの私からするとはやく日本にも欲しいアプリです!(現在IOS、Androidアプリ共に日本のVPNを使用したままだとダウンロードすることはできません。)
実は日本初のエコファンドは2週間で230億円の資金を集めましたが、その投資家の99%は個人の投資家であり、女性と若者が大半をしめていたとのことです。日本においてESG投資の先陣を切ったのは機関投資家ではなく女性や若者を中心とした個人投資家たちでした。そんな日本でこのプロダクトは横展開の可能性に満ち溢れているのではないでしょうか?
ぜひご興味ある方はディスカッションしましょう!!!
いかがでしたでしょうか。環境問題に関心がある方にとっては非常に魅力的な会社だと思います。今世界中で気候変動や環境問題解決に注力する新興企業が誕生しています。今後も続々とフォーカスして紹介していきたいと思います。 Twitterにおいても色々投稿しているのでフォローいただけますと嬉しいです!DMも大歓迎です!
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