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Climate Tech企業特集② 炭素会計と管理のプラットフォームサービスPersefoni編

みなさんこんにちは!サイバーエージェント・キャピタル🌏担当の安藤と申します!先日キャシー松井さん、村上由美子さん、関美和さんによって日本初のESG重視型グローバル・ベンチャーキャピタル・ファンドが設立されましたね…!!!激熱すぎます。投資チームが全員女性なのもかっこいい…!!
MPower Partners Fund L.P.は、社会的課題をテクノロジーの力で解決しようとする起業家を支援し、ESG(Environment, Social, Governance)を戦略に組み入れることで持続的な成長を促すことを目的としているそうです!
ファンド総額は160億円を予定しているそうで、LPはSOMPOホールディングス株式会社、第一生命保険株式会社、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社でどれもESG/SDGsに積極的な企業ばかりで素敵です!!日本、そして世界におけるESGビジネスの拡大に期待大です!!!

https://www.mpower-partners.com/


Twitter: https://twitter.com/cac_ando

さて、今回ご紹介する米国のスタートアップ企業Persefoniは、組織の二酸化炭素排出量を収集し、計算し、管理し、報告するツールを提供している企業です。4月に970万ドル(約10億6000万円)の資金調達を行ったということもありご存知の方も多いかと思います。


Persefoni 概要

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2020年1月に設立されたばかりのPersefoniは、組織の二酸化炭素排出量を収集し、計算し、管理し、報告するツールを提供しています。資源計画ソフトウェアに相当するものを企業に提供し、確立されたガイドラインに基づいてカーボンレポーティングの範囲を設定し、その企業の排出量プロファイルを見える化しています。

Persefoniのソフトウェアはスコープ1から3の排出量(企業の直接操業、電力の購入、およびサプライヤーの排出によって発生する排出量)をリアルタイムで報告することができます!

Persefoniの顧問にはSustainability Accounting Standards Boardの創設者であるRobert G. Eccles氏が就任し、同社の環境・社会・コーポレート・ガバナンスへの貢献が期待されています。

Persefoniには現状問題があります。Persefoniは標準化された報告基準を使用していますが、そのソフトウェアは企業が設定した基準に基づいてしか報告ができません。企業がどのように排出量プロファイルを測定するかを決定し、実際にどのようなデータを測定に含めているかということに関する透明性がなければ、このような自己報告の仕組みは、不明瞭になる可能性があります。

「Persefoniが目指すのは、すべての企業で財務報告がほぼ義務化されているように、将来はカーボンフットプリントの調査や報告を、どの企業にとっても当たり前のものにすることだ。財務のためのERPシステムは何十年も前に財務データに関して標準化と義務化を普及させたが、炭素インベントリと取引を管理する必要性が企業にも育ちつつある」とカワモリ氏は述べています。

・直近の資金調達状況
2021年4月22日、970万ドル(約10億6000万円)の資金を追加調達しました。リードしたのはRice Investment Groupで、NGP ETPが参加しています。NGPは石油・ガス・電力にフォーカスした投資ファンドの、電力、再生可能エネルギー、持続可能性に特化した投資部門です。NGPが8月にローンチしてからわずか6カ月後の調達となりました。
・CEO
Kentaro Kawamori(ケンタロウ・カワモリ)氏
・資金調達状況
ベンチャーキャピタル支援
・設立年
2020
・拠点
米国アリゾナ州 (Tempe, AZ)
・社員数
39(2020年時は31名でした。1年間で8名正規社員が増えています。)
・競合
SINAI
ClimateSeed
Patch
ClearTrace
CoClear


創業チーム CEOについて


CEO Kentaro Kawamori(ケンタロウ・カワモリ)氏
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大企業の炭素排出量報告を簡易化するPersefoniの創業者であるKentaro Kawamori氏はAccentureやInsight、SoftwareONE、Major League Gamingなどでそれぞれ2年ほど過ごし、オクラホマシティのエネルギー企業であるChesapeake Energyのチーフデジタルオフィサー(CDO)として同社の米国内での石油や天然ガスの世界でトップの地位を獲得するのに貢献しました。なんとバックグラウンドは正反対の石油/天然ガス会社だったんですね、、、!Chesapeake EnergyはKawamori氏が退社した1年後に倒産しています。

現在日本、そして世界の石油会社で勤務されている方の一つのロールモデルなのではないでしょうか?

職歴
Persefoni



:CEO & Co-Founder



Umbrage

:
Board Member & Co-Founder



Partner

Rice Investment Group








Chesapeake Energy






 :Chief Digital Officer

Accenture



:Cloud Advisory Lead - CMT, Southwest (US)



SoftwareONE



:Director, Publisher Strategy & Solutions (NA)





Insight

:Senior Manager, Product Management (Software & Services)

  Gears of War (GameBattles.com)
:Head of Ladder Operations (eSports)

いつの日か一緒にCODプレイしたいです、、、

Jason Offerman氏 Co-Founder, Chief Operating Officer & Board Member 

Tim Mohin氏 Chief Sustainability Officer & Executive Vice President 

Jonathan Strand氏 Chief Design Officer & Vice President 

Russell Mitchell氏 Executive Vice President of Corporate Strategy 

Kim Stroh氏 Co-Founder & Vice President of Product

Rice Investment Groupの共同創業者でパートナーのDaniel Rice氏(かつてRice Energyの石油と天然ガス担当役員、プライベート・エクイティ・ファームTPGのプリンシパルであるGreg Lyons氏が取締役会に就任しています。

そのほかのメンバーはこちら!CSO、Chief Sustainability Officeがいるのはまさに世界最先端の企業という感じがしますね!!!

ファイナンス


Early Stage VC (Series A)での調達
日付:2021年4月22日
調達額:$13.48M
プレバリュエーション:$20.00M
ポストバリュエーション:$33.48M
TPGのようなプライベート・エクイティ・ファームが参加している

Seed Roundでの調達
日付:2020年8月18日
調達額:$3.50M
プレバリュエーション:$12.00M
ポストバリュエーション: $14.12M
リードしたのはRice Investment Groupとそれに参加したCarnrite Ventures

Angel (individual) での調達
日付:2020年2月13日


なぜ今Persefoniが伸びているのか

世界中の金融規制当局が炭素および気候に関する開示要件を導入しており、全世界で企業の二酸化炭素排出量の算定/削減の施策を打つことが求められています。今日では世界中の政府、資産運用会社、および組織がネット・ゼロを宣言しています。財務のためのERPシステムは何十年も前に財務データに関して標準化と義務化を普及していますが、炭素インベントリと取引を管理する必要性が企業にも育ちつつあります。

持続可能性に関連する報告要件は日に日に厳しくなっており、機関投資家だけでなく、EUがプライバシーに関する必須事項をまとめたGDPRと同様の厳しい規制を設け、炭素排出量に関する明確な報告を義務づけるようになるだろうと予想されます。

これまでも同様のプロダクトを提供する企業はたくさんありましたが、多くの企業が環境への影響を無視できると信じていたため、売り込みに苦労してきました。しかし今日のようビジネス環境では、もはやそのような態度はもはや受け入れられるものではなくなってきているのです。テスラの例を見てもそうですが、環境ビジネスにはタイミングが非常に非常に重要になってきます。米国ではベンチャーおよびソフトウェア投資家のコミュニティがSarbanes Oxley法の導入以来、最大の規制コンプライアンス・ソフトウェア市場の形成に取り組んでおり、Persefoniには追い風が吹き荒れています。

Persefoniの問題の企業が設定した基準に基づいてしか報告ができないという問題点も、ある捉え方をすれば広がりに一役買っているところがあると思います、、

将来の話ではなく、今でも機関投資家たちは企業が持続可能性に関する指標を必ず公表せよと迫る流れをダイレクトに受けている企業がPersefoniのようなサービスを求めるのは必然であると思います。

①国際的な規制や開示要請が起こっており、タイミングが非常に良かった。
②創業チームのバックグラウンドが石油/自然エネルギー会社ということもあり、炭素排出量の開示プラットフォームへの知見は卓越したものがあった。


今後の展望と個人的な考察

持続可能性に関連する報告要件が厳しくなっているのは、米国やEU圏だけでなく日本でも同じです。日本は2030年の温室効果ガス削減目標を46%に上方修正しており、今後より一層企業への炭素排出量に関する明確な報告と削減の取り組みが求められるようになるでしょう。

Persefoniに企業が設定した基準に基づいてしか報告ができないという問題点があるのは、今はあえて緩くしておいて顧客を多く獲得しておき、さらに規制が厳しくなったタイミングでアップデートすることを想定しているからかもしれません。政策と合わせてビジネスを展開していくことは環境ビジネスにおいては必ずと言っていいほど求められることです。日本でもそこの感覚をうまく掴めればPersefoni横展開の高い可能性が満ち溢れていると思います。


ぜひこういった領域にご興味ある方はディスカッションしましょう!!!


いかがでしたでしょうか。環境問題に関心がある方にとっては非常に魅力的な会社だと思います。今世界中で気候変動や環境問題解決に注力する新興企業が誕生しています。今後も続々とフォーカスして紹介していきたいと思います。 Twitterにおいても色々投稿しているのでフォローいただけますと嬉しいです!DMも大歓迎です!

Twitter: https://twitter.com/cac_ando

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