Googleアシスタント的なAI仲人に、現実の仲人が仕事を奪われる未来は起り得るか?
AI = 映画「ターミネーター」の世界ではない
少し古い話なのですが、婚活業界にもAIが導入されるという話が出た時、長年の実績がある古株の方々を中心に、一部の仲人からは、
「AIが仲人に取って替わるつもりか!?AIに何が分かるっていうねん!」
という強い拒否反応が出た、という話を聞いたことがあります。
おそらく、映画「ターミネーター」のロボットに支配された世界や、将棋ロボットが対局で将棋名人を打ち負かしたというニュースから、仲人業もかつての工場労働者のようにAIに取って替わられる、と飛躍して考えてしまったのかも知れません。
そんなわけは絶対に無いと思いつつ、実際、どの部分にAIが使われているのだろうと気になったので、ネットの情報から日本結婚相談所連盟(IBJ)が提供している「AIマッチング」というサービスを調べてみました。
現状は利用者の利便性向上にとどまる
調べたところ現状は、
お相手のプロフィールから貴方の好みのお顔をピックアップ
お相手のプロフィールから貴方と相性が良さそうな方をピックアップ
の2つの機能だそうです。つまり現状は、プロフィールからお見合いを申し込むお相手を選ぶ際の「おすすめ表示」が充実しているのにとどまっています。
その他、別の婚活サービスのAI(追記:Kマリアージュ)では、お互いの居住地などの情報をもとに、お見合いに適した場所と時間帯をお勧めしてくれるという機能を搭載しているものもあるそうです。土日祝日は場所決めだけでも苦労するのでこれは便利です。
結局、現状は利用者が効率的に活動するための補助的な機能であり、仲人が仲人としての仕事をAIに奪われるというような危機感にはほど遠いと考えられます。ご安心下さい。
「OK,Google.」みたいなAI仲人もいずれ現れる?
とは言え、そんな風に油断しているうちに、いずれ「OK,Google.」や「Hey,Shiri!」と同じような感覚で、音声による会話で答えを引き出せるAI仲人みたいなのができあがるかも知れません。
最初の方はそれこそ「AIに何が分かるねん」と笑いのネタにされる程度の精度かも知れませんが、精度が上がって実用に足るようになってくれば、徐々に仲人の仕事は奪われる可能性も捨てきれません。どんなことでも起り得ます。
「仲人さん、相談です。」(起動の合言葉)
「はい、何でしょう?」(スマホからの微妙に機械っぽい音声)
「明日、3回目のデートなんですけど、真剣交際に進みたいと告白すべきでしょうか?」
「分析した結果、お勧めできません。過去2回のデートの感想を、貴方はとても盛り上がり楽しかったと書いておられるのに比べ、お相手の方は、『自分の話ばかりされて少し退屈だった。次のデートでも変わらなければ終了させよう。』という趣旨の内容を書かれております。」
「えっ…。だったら明日は、聞き役になるよう心掛けるから。それに明日は、あべのハルカスの展望台から夜景を見下ろしてムード満点のところで告白するんやから、その雰囲気で良い感じになれば、きっと…。」
「お相手は軽度の高所恐怖症の傾向が見られるデータがあります。計画の再考をお勧めします。」
「そんな、チケット予約してるのに…!じゃあ、アレだ、映画だ!いま大ヒット中の、例の感動超大作が…!いいムードになった時に手をつなげば…。」
「SNSの書き込みによると、お相手はその映画を既に2回観ておられます。1回目は感動したけど、2回目は事前に知らされず連れていかれて、『いくら名作でもそんな短期間に2回はいらないわ』と書かれていました。3回目となると映画館に入る前にお断りされる可能性が高いです。」
「2回目って、それは男なのか!?他の交際相手なのか!?」
「規則違反になるのでお答えできません。なお、現時点で手をつなぐのは悪い結果になる可能性が極めて高く、お勧めできません。」
「いや、ちょ、待てって!あの、その…。それやったら、お勧めのデートプランが何なのか教えてくれや!AIなんやから完璧なプランを作ってくれるんやろうな!」
「申し訳ございません。うまく聞き取れませんでした。もう一度はっきりと仰って下さい。」
「ああもう、うっとうしい!」
「うまく聞き取れませんでした。もう一度…。」
「うっさいっちゅうねん!AIなんて役に立たんのじゃ!」
「あんた!そんなんやったら一生結婚でけへんで!」
「こんなもの!」(アンインストール)
情報収集の速さと網羅性ではAIにはとうてい勝てませんが、人間の仲人の方が良いと思う人も多いと思います。過剰に警戒する必要は無いのではないでしょうか。