東京での訪問介護の同行を通して
私は老人ホームでの高齢者介護にしか従事したことがなく訪問介護の役割、介護士の仕事を一度見て学びたいと思い東京都府中市にある訪問介護事業所様にて4件のご自宅への訪問介護への同行をさせていただきました。
訪問介護の移動
運良く陽射しの強くない曇り空の下での電動自転車での移動。こちらの事業所さまでは訪問先へは車ではなく自転車での移動が基本。訪問先の自宅と次の訪問先までの間は電動自転車でも約10分〜20分程。そして同行をさせてもらったスタッフの自転車は電動ではない人もいますし、そしてもちろん雨の日もあるわけですが訪問介護の移動の時間は訪問時間、料金には含まれません。訪問する時間は決められているため訪問と訪問の間の時間調整をしなければいけない時間も存在します。
自宅で暮らす高齢者
全国的に単身者、単身世帯数が増えているという統計が出ています。この日も独り暮らしの方への訪問が2件ありました。こちらの訪問介護事業所様での独り暮らしの高齢者は家族が都内に在中している方もいればは県外にいる方。そして全く身寄りがない方もいらっしゃるということでした。在宅での暮らしを希望している身寄りのない方のいきる(活きる・生きる・逝きる)ための1番の支えとなる存在でもある訪問介護、そして訪問介護士だと同行していて感じてきたことです。この日も独り暮らしの高齢者にとっては特に訪問介護の介護士さんを待ちに待っていたような様子が表情から伺うことができましたし、帰る際に挨拶をすると言葉はなくても手を差し伸べてきたり、手を振られる方もいらっしゃいました。それは訪問介護士の存在を認めている証でもあると思いました。
ある訪問先で
独り暮らしの高齢者。運動もしたいというご本人の希望も踏まえての近くのスーパーまでのお買い物の付き添い。スーパーまで私が歩くと約10分。長距離の歩行はご本人も難しいため車椅子も使いながらの自宅とスーパーまでの移動。スーパー内ではご本人の好きなものをカゴに入れ、足取りも外での歩行よりも幾分軽やかな様子。好物の焼き芋を微笑みながらご自分で選んでいらっしゃいました。訪問介護士さんも熱中症への備えとして飲料水の購入の助言をされており、お年寄りもそれを受け入れていました。これは2人の間に関係性がなければ一方通行なのだと思います。思わず職業柄、後ろから歩き方と足元を観察してしまうのでした。
訪問介護で「できること」と「できないこと」の狭間
4件の同行を終えて私が思ったことは、ここまでは介護保険サービスの訪問介護ではできるけれども、これはできないということへの葛藤。母親を介護していた10〜20代の頃が蘇り、その時も制度や行政等の対応に快く受け入れることができなかった私がいました。きっと今もその違和感というかなんというか自分の中では今は訪問介護はできないのだと思いましたし、どちらかというと介護保険サービスではできないところの暮らしを支えるサポート(介護保険外の自費サービス)のほうが自分がやりたいことなのだと落とし込むことができました。
在宅ケアの魅力
訪問介護の同行をして在宅ケアは改めて楽しいと感じました。(施設が楽しくないとかそういう意味合いではありません。)スタッフのおひとりは「ずっと建物の中で介護士をしてきたけれども今は在宅のほうが楽しいです。」と仰っていました。在宅サービスを取り上げる記事やイベント等は施設と比べると圧倒的に少なく在宅ケアの現状や課題、魅了を伝える場が少ないのも課題のひとつだと思いました。
選択肢は施設だけではない
自宅での暮らしを最期まで続けたい人も世の中には存在します。でも認知症になったら。或いは車椅子になったら施設に入るしか他に方法はないと思っている高齢者も多いのかもしれません。認知症=施設に入らなければならない。車椅子=施設に入らなければいけない。では決してないと思うのです。お元気なシニア世代に向けた地域での健康講座であったり、テレビなどのメディアからの情報もシニアの終活へ向けた意思決定にも影響を及ぼしやすいのかもしれません。
その方が楽しく自由に、幸せだったと思える最期が迎えられるように支える地域で活躍する介護士やそれに近い形の人を担っていく必要はあるのではないかと思いました。
今回お世話になったのは
東京都府中市にある株式会社介護本舗訪問介護事業所なないろ様。スタッフの平均年齢40代の訪問介護事業所としては若い世代、男性介護士も多いのも特徴のひとつの事業所様です。