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遠く離れた博物館にて
娘がまた博物館へ行くために東京へ行った。
そう「また」なのだ。
娘はいわゆる「館もの」が好きだ。
図書館はもちろん(司書も持っている)博物館に至っては、今現在職場として選んでいる。図書館司書が叶わなかったというのもあるけれど。それでも、好きな場所で働けているのは幸せなことなのだろうと思う。
旅先ではその土地の館ものを目指す。
3月に行った九州でも博物館めぐりをしている写真が次々送られてきて、一緒にまわっている現地のお友達は無理して付き合っているのではないだろうかと思うほど連日博物館へ行っていた。
実は6月に一緒に東京へ行ったときも 、旅の最終日に、同じ博物館に寄っている。
職場も博物館なのに旅先にまで来てどうして?と思う。同じようなもの、いつも見ているんじゃないの?もちろんそれぞれの博物館で展示物は違うだろうけれど、非日常が日常になってしまうんじゃない?と、とぼけた質問をして呆れられた。
私も図書館、美術館は好きだが、博物館はあまり馴染みがない。興味も薄かったけれど6月には娘に付き合った。まあ、入ったら入ったで楽しい。
でも、視点が違うのだろう。
私はどうせ来たならば、さらっとでも全て見て回りたい。
娘は、きっとまた来るから、と納得いくまでひとつのものを見ている。
きっとまた来る?
恐竜の骨とか、私は一度見たら十分だけれど、そうなんだ。また見たいんだ。娘にとってはテーマパークなんだな、ここは。
その時は、三種類の展示があって、哺乳類展を出たあと、別行動にした。
私は早足で他2ヶ所を見て回った。娘はゆっくりと1ヵ所のみで、合流。
飛行機の時間が迫る。
なのに、ショップにも寄りたいという。私はショップもさらりと既に見終わっていた。
急いで急いで。
そんなことを思っていたら何やら笑顔で誰かと挨拶をしている。こんな旅先で誰?時間もないのに、話してる場合でもないのに、とハラハラする。
聞くと職場の人とのこと。
は?
確かここは東京で札幌ではない。驚いた。
私たちの日常である娘の職場はここから千キロ以上も遠く離れている。近所のコンビニで偶然会っているわけではないのだ。
旅先で、同じ場所で会うなんて。
娘いわく、結局みんなオタクみたいなものだから、同じ場所に集まっちゃうんだよね。九州でも1日違いで行っててお土産が被ったりした、と。
へえー。
本当に博物館が大好きで働いているんだなあ。
今ごろ遠い旅先で、もしかしたらまた日常の顔に会っているのかしら。と思いを馳せながら、旅先からの報告を待つとしよう。