ひとり旅『舞子VILLA Beach』へ ~千曲と私⑧~
一昨年の9月にひとりで舞子に旅をした。
神戸までは何度も行っているけれど、なかなか舞子まで足を伸ばせていなかった。
歌のタイトルにもなっているこの場所を、単純にどんなところなのか見てみたいという興味から。
彼は、2013年にも神戸新聞に舞子の思い出を綴ったエッセイを書いている。
気になってはいたけれど、誰かと一緒だと、ただ歌の舞台だからと言う理由だけではなかなか足を伸ばせず、何年も過ぎてしまった。
明石海峡大橋のたもとにあるその浜は、既に海水浴シーズンが終わり、そこには人気のないただ静かな海があった。
神戸新聞の記事を読み返して訪れた舞子浜は、そこに書かれている舞子VILLA Beachへの想い、を傍らに引き寄せる。
千里さんとお母様があの日に訪れた舞子。
ひとりで浜を散歩し、休み、散歩し、休み、を繰り返す。
もちろんBGMは「舞子VILLA Beach」
恋愛初期のエピソードが軽いテンポで流れていくその曲。
舞子で聴く「舞子VILLAbeach」は、
北の街で聴くそれとはどこか趣が違って聴こえた。
聴く時期によってもまた違うのだろうが、
この日は穏やかな凪。
対岸に見える淡路島。
瀬戸内の海は不思議と心が静まる。
きっと今日の舞子は、この曲に似合っている。
そう思った。
明石海峡大橋の着工は1986年、開通は1998年。
このアルバム発売は忘れもしない1990年。
この曲を作った頃は完成していないこの橋。
景色から明石海峡大橋を外してみようか、なんて思ったりする。
上手く想像出来ない。
だって日暮れとともに
どんどん存在感を増して
こんなに綺麗。
日が暮れても、ホテルの窓から飽きもせずに、ずっと外を見ていた。
もちろんビール片手に 笑
宿はもちろん舞子VILLA
ROOM802なら完璧だったのに 笑
でもラッキーセブン。
翌日は音なしで歩くことにした。
水音や海鳥の声を近くに聞きながら。
ひとけのない、そして、やはり凪いでいる海。
ここで自撮りしている女性がいたので「撮りましょうか?」と声をかけた。
でもこの女性、日本人ではなかった。お互い身ぶり手振りで写真を撮り、笑って手を振り別れる。
と思ったら、このあと訪れた舞子海上プロムナードの中でまた出会って、照れくさそうに笑ったりして。
こんな些細な会話(通じなくても)や出会いもひとり旅では嬉しかったりする。
念願の地で、潮風の中、心を潤す贅沢な時間を過ごした旅だった。