神無月、ある日ある街で。
親の所用で休みをいただいた。もろもろの手続きのために街から街へと移動する一日。
早朝に郊外へ向かって運転をしていると、隣町に入ったころから尋常ではない濃霧が辺りを包んでいた。視界不良で緊張感が高まる。ハンドルを握っている手に気付くと余計な力が入っていて、その度に必要以上に握りしめてしまっている手の緊張を解く。何度か同じことを繰り返して、ふと客観的になり可笑しくなる。時間に余裕のない自分と重なり、思わず「リラックス」とつぶやいていた。
徐々に霧が晴れてくる。地上から水蒸気が