初MV制作後記「自分の嘘に騙されている
2022年6月30日にMV「海に沈んだ街」を公開しました。公開ページはここから確認できます。
このnoteでは、なぜMVを作ろうと思ったのか、MVで伝えたかったことは何か、作ってみてどうだったか、を含む制作後記を公開します。
初めに:なぜMVを作ろうと思ったのか。
まず最初に「どうしてMVを作ろうと思ったのか」。
きっかけは作曲のレッスンをしていただいている虚無森ホルン。さんのMV作品「話が通じないな」でした。
2022年の初めに、自分が作った曲をどう届けるか、音楽そのものの表現はもちろん、音楽以外の何で表現するか、という課題があり、そこから「MVで届けてみよう」ということになりました。
制作過程
MVコンセプト (2022年1月)
MVのコンセプトは「ここにいるあなたは本当のあなたですか」。
相手の要望に合わせているうちに、他人がどう思うかに合わせているうちに、自分の本音なんて出てこなくなるけど、本当にそれでいいんだっけ?という疑問が元になっています。
楽曲とストーリー(2022年2月)
楽曲は知藤朱里さんの「海に沈んだ街」という曲。
この曲は、作詞作曲の知藤朱里さんが自分で考えた小説を元に考えた曲です。
元のストーリーは、陸で暮らせなくなり、街ごと海の底に棲家を移した人類が、海の中での独特のコミュニケーション方法 (テレパシー) に便利さを感じつつも、陸の上で言葉で表現できる物事の深さや繊細さを懐かしんでいる、というストーリー。
MVでは、これを現代風にアレンジし、情報の海・大都会で暮らす女性が主人公。
ITコンサル企業で働く彼女が、上司やクライアントの要望に120%耳を傾けて身を粉にして働きながら、自分の健康や生活は犠牲にしていく中で、連絡が疎かになっていた親友の現在を知ります。
その親友のニュースにショックを受けて初めて立ち止まり、その親友との思い出を遡っているうちに、自分が喜びを感じることを思い出す、というストーリーです。
ストーリーとしてはよく聞きそうな物語ですが、よく聞きそうな物語だからこそ、普段流してしまう問い。
特に情報や広告の多い都市の中では、何度も自分に問いかけて「これが本当に私のやりたいことだ」と見つけたと思っても、知らないうちに刷り込まれた誰かの価値観だった、ということはよくあって
その中でどれだけ自分が本当に嬉しい時間を持つことができるかな、という問いです。
絵コンテとプロット (2022年3月-4月)
映像を作るにあたり、まず映像の原則を知らなくては、とこの本を読み込みました。
そしてストーリーを元にプロットをかき、プロットを元に取りたい画を、絵コンテに落とし込んでいきます。
撮影準備と小道具たち (2022年5月)
撮影は2日間 4ヶ所で撮影をする予定でした。
夕暮れの中で撮りたいシーン、午前の日が高く登らないうちに撮りたいシーンなどがあったので、香盤表を作って撮影に挑みます。
また、撮影に使う小道具はフォトショップやイラレ、フィグマを駆使して作りました。
撮影、編集、配信そしてプロモーション (2022年5月-6月)
5月末から6月頭にかけて撮影をしました。
演者さんは作曲者の知藤朱里さん、撮影アシスタントに虚無森ホルン。さんを迎えて、お二人のおかげでめちゃくちゃ素敵な動画が撮れる。
動画が良いと、編集の時ノリノリで編集できるのだ、と聞いていたのですが、この意味をすぐに知ることになる(いい意味で)。
だいたいどういうカットをどれくらいの秒数使いたいかをプレミアプロでドラフトを作っていたので、そこに動画や音源、追加の環境音などを入れて詰めていく。
音源編集も合わせて配信準備。二週間のプロモーション期間を経てリリースしました。
最後に:作ってみてどうだったか
作ってみて良かったことは、自分のスキル不足や時間不足を言い訳にしないで「作り切ったこと」と、それによって一番に伝えたかった「無意識に自分の『やってみたい』に我慢の蓋をしている人へ」のメッセージになったこと。
MVを見てくださった人からのフィードバックもひとつひとつがとても嬉しかったし、その結果もあり200あるiTuneのj-pop MVの中から13位にまでPV数が上がった日もあったこと。
逆に悔しかったことは無数にあって、あげるとキリがないのですが、特に編曲のスキルを楽器や楽典の知識を中心にもう少し身につけたいこと、DTMのオートメーションやエクスプレッションなどを活用して音源にもう少しこだわること、それからプロモーション期間をもう少し取ることと、曲名や小道具をコンセプトをもう少し細かく詰められたらなぁ、などです。
まずはMVという形にして世に出せたこと、それをサポートしてくださった知藤さん、虚無森ホルン。さん、そしてTwitterで感想をくださった方、MVを見てくださった方、本当にありがとうございました!
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