今年初めに観た映画 パラサイト

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今年初めに観た映画はパラサイト。

ネトフリにあがってたので、さっそく観る。

今週の金曜ロードショーでやるらしいけど、子どもと一緒には見ない方がいいと思う…。

ポンジュノ監督の映画は「殺人の追憶」はしっかり観た記憶が。

生々しくてゾワっとする感覚で、痛快だったりスッキリする感じはない。

「グエムル」とか私の好きなウォンビンが出ている「母なる証明」とか、気になってはいたけど、「殺人の追憶」の生々しさと重さがよみがえって、結局観なかった。

「パラサイト」もやっぱり、生々しかった。

パラサイトはなんとなくだいぶ昔に見た「静かな家族(クワイエットファミリー)」を思い出した。

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パラサイトにはいろいろなメッセージが込められているが、静かな家族はもっとえげつない感じだったような気がする。

言うなればブラックホラーコメディ。人を死なせるつもりじゃないのに、どんどん死んでいって、どんどん人を埋めていく話。

そこにもソンガンホは出ている。この映画を観た時はわからなかったけど、ナ・ム二、パク・イナンなど有名な脇役の大御所も出ているし、チェ・ミンシクまで出ている。

そして2002年には,<カタクリ家の幸福>というタイトルで三池崇史監督がリメイクまでしていた。ペンションの夫婦役は,沢田研二と松阪慶子だったらしい。びっくり。

しかし、私が見た韓国映画にはソンガンホが1番よく出ているんじゃないかと思う。

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「JSA」「シュリ」「殺人の追憶」「タクシー運転手」「大統領の理髪師」「反則王」「静かな家族」「親切なクムジャさん」…

私の中ではソンガンホといえば「反則王」だけども(笑)

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今回いろいろ調べてみたら、「静かな家族」と「反則王」はどちらもキム・ジウンという同じ監督の作品だった。

さて、パラサイトについて…。

パラサイトの内容は前半は半地下に住む家族が豪邸に住む金持ち家族の家にじわじわと侵入していく物語だ。

半地下、地下室、地下鉄…。

金持ち家族は半地下家族の匂いに気づく。

そしてその匂いは地下鉄の匂いみたいだと、運転手付きの自家用車に乗っている主人が話す。

ソウルに住んでいた時、短期間ではあったけど、半地下に住んでいたことがあった。

きれいにリフォームされていたけど、トイレには便所虫(チョウバエ)が貼り付いていたし、すぐカビになってしまい、暗くて独特の匂いがした。

夜は恋人なんだか夫婦なんだかのどなり声が外からしょっちゅうしていて、結局すぐそこに住まなくなってしまった。

オフィステルという高層ワンルームマンションに住んでいた時、新築のヴィラに住んでいた時と見る風景はたしかに違った。

新築のヴィラに住んでた時は大家さんがステキなレストランに入居者をみんな招待してくれたけど、半地下に住んでた時の大家は、いくら雨漏りすると苦情を言っても、ちっとも直してくれなかった。

日本の駐在員家族が住む一角に遊びに行ったことがあったけど、そこもまた別世界だった。

そして地下鉄。私が住んでいたのは10年以上前だから、今はだいぶ違うかもしれないけど、ソウルの地下鉄はちょっと暗くて、やっぱり独特の匂いがした。

時々急に暗くなったり、障害を負った人が物乞いに車両に現れたりしていた。

韓国に住む韓国人は地下鉄よりバスが好きだと言う人が多い。韓国のバスは路線がたくさんあって、しかも昔はバス停でちゃんと止まってくれず、走ってバスに追いつき、ドアを叩いてやっと乗せてくれる感じだったので、外国人である私にはかなりハードルが高く、私自身は地下鉄を利用することが多かった。でも、韓国の生活に慣れてきて、気晴らしに出かける時には私もバスに乗って街の風景を楽しんだ。バスに乗ってみると、地下鉄よりバスが好きな気持ちがわかる気がした。

映画を見ながらそんなことを思い出した。

映画に出てくるたくさんの高低差、階段、匂いにまつわるシーン。それに加えて、明暗のコントラストも。この映画はモノクロバージョンもあるらしいが、モノクロだとまたそのあたりは違って見えるのだろうか。

いろんなことが「きれい」ではなくて、現実的でちょっと気持ち悪い。自分に肉体があることに気づかされるようなところもある。

ここからはネタバレになってしまうので、映画見た後に読んでください。

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金持ち家族の男の子がモールス信号で「助けて」というメッセージを読み取れたのに、結局何もしなかったのも、なんとなく引っかかった。ボーイスカウト精神は引き継がれず、地下の男は彼にとって怖いオバケのまま。

半地下家族の父子をつなぐモールス信号は、いつか金持ちになって、あの家を買うという息子の手紙で終わっているけれど、ポンジュノ監督によれば、

この映画のエンディングで、長男が言いますよね、「いつかこの家を父のために買おう」と。でも彼自身、それが不可能であることを知っている。脚本を書いているときに試算してみたんですが、彼の平均年収だと、あの家を購入するのに547年かかるんです(笑)

とのことだった。

そう、ファンタジーでは終わらない、なんともキレの悪い、おさまりのつかない映画で、「JSA」や「タクシー運転手」などとはまた違って、自分とも地続きにその気持ち悪さがつながっていく映画だった。

監督はインタビューで
「映画に出てくるお金持ちの家族も、運転や皿洗い、洗濯など貧しい者の労働力に寄生している。」と話している。

確かに映画の中でお金持ちの家族は運転も料理も洗濯も掃除もしない。半地下の家族はどれもやりこなせるが、職を得ることができないでいる。

半地下のお父さんは昔スポーツ選手で賞を取ったことがあり、洪水の時にもその額を持ち出そうとする。車の運転もうまい。でも、半地下暮らし。半地下・地下室のおじさん2人ともチキン屋と台湾カステラやって失敗してるのも、いかにも…という感じ。

洪水のシーンと言えば、水が上から下へざざーっと流れていくシーンは印象的だった。そして避難所を上から撮ったカットも。そして、翌日、晴れた日の金持ち家族の庭の芝生の青さも。

最終的に、地下室の夫婦は2人とも死んでしまう。いたことさえわからない、なかったことにされてしまった人たち。最後のニュースで2人のことは報道されていただろうか。もう一度映画を観ることがあったら、ちゃんと観てみようと思う。(今はもう一度見る気にはならない…)

ポンジュノ監督は社会の中で「寄生」ではなく「共生」していくにはどうすればいいのか考えてもらいたかったとインタビューで話しているけれど、
地上と半地下と地下。そこが自由に行き来できる世界はあるのか。果たして、皆それを望んでいるのか、誰もそれを望んではいないのか。私はどうなんだろうか、それを望むのか。いや、すべての人が地上で暮らす世の中がいいな、と能天気にもそう思う。



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