![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/166026292/rectangle_large_type_2_1905f4b75b395812c78dbcb31dbaa590.png?width=1200)
私がこれを好きな理由100本ノック2/100 「犬」
犬が好きだ。動物全般的に見たり触れ合ったりするのが好きだが、特に犬が好きだ。
幼い頃から、両方の祖父母の家に犬がいた。現代の飼い犬の皆さんとは違い、あたたかい家の中で"家族の一員"として大切にされることはなく、でもいつも愛情を込めてその名前を呼ばれ(ハナ、コロ、ベル、、、といったような名前だ)、人間の足の裏で腹を撫で付けられていたような犬たち。納屋の前やカビ臭いガレージの中でブロックに巻きつけられた針金から伸びる鎖に繋がれた、ねこまんまや鶏の骨や野菜クズなどの残飯を与えられていた、ばさばさしていて煤けた犬たち。
やがて時が経ち、私たち家族が初めて迎えた犬。洋犬と和犬のミックス(おそらく)で毎晩学校から帰ってきた私の話を黙って聞いてくれた。愚痴も涙も黙っていてくれた。一緒に歩くことで父や母とも良い距離を保ちながら色々な話をすることができた。その犬亡き後、私と弟も去った後の静かな実家を明るくかき乱しにやってきたすぐに首を傾げる自分が可愛いとわかっているけれど憎めない犬。
友達んちのラブラドールに、小学生の頃給食のパンをこっそり残して友人と餌付けしていた骨が透けている灰色の犬。ベトナムで私を噛んだ犬(その後狂犬病の暴露後接種のため病院に行き、こいつに噛まれた!とその子の写真を見せた時に医者は"Oh! He's so cute!"と言って私は少しイラっとした。)に、遠く離れた地でよく会う両親の犬にそっくりの犬。元彼の犬にいつも吠えてくる駅前の小さくて臆病な犬。おしっこの長すぎる近所のボルゾイ。極寒の国で私の載ったソリを引っ張ってくれたとげとげの勇ましい犬たち。犬、犬、犬。思い返すと私の人生には犬が溢れている。
今もこの夏から家族となった(私が後から家族に飛び込んだ)犬が火に当たりながらいびきを奏でるのを眺めながら書いている。
自分が犬のことを好きな理由はよくわからない。だけど、犬は愛嬌があって、欠伸している時の口がたまらなく可愛く4本の足も全て死んだダニの香りがして可愛らしい。茶碗をヘルメットのように被って寝ていたり体に変な草をつけて胸を張っていたり自分のおならに驚いて目を見開いたりおじさんのようないびきをかいたりしていつも笑わせてくれる。一緒に寝ると臭いけれどあたたかい。人間の言うことを従順に聞いたり、聞かなかったり。納得いかないときは嫌な顔をしながらゆっくり渋々と座る。それら全ての、犬の犬らしいところがとても愛おしくて、思い出すと大きい鳥肌が立つように肩がきゅーっとなって、それほどに私は犬が好きだ。犬を好きな理由はうまく言語化できないが、人間の言葉で言語化できたってどうせ犬には伝わらないんだからこのままでいい。
また100分の2ですが、好きな理由って難しいよなあ……笑
犬を眺めながら書きました。