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着物stylistへの道③

着付け師となり婚礼などの現場に入る

一人前になるまで10年はかかるといわれていた


平日はOLとして働き、週末はホテル内美容室にて着付け師として活動

「今日はどんなお客様が来るだろう」「どんな着物をお持ちになるだろう」「どんな帯結びを求められるだろう」etc,,,

出かける途中は、ひたすらにイメージトレーニング

現場では、先輩着付け師さんに教えを乞う

体型によって違う補正の仕方、着物のサイズとお客様のサイズによってどう着せるか、帯の硬さ長さによっての帯結び・・・

教科書では学べなかった、現場での営業着付けの難しさにぶつかる

人によって体型は様々

必ずしも体型に合ったサイズの着物をお持ちになるわけではない

年齢やその方の雰囲気に合った襟合わせ・全体の仕上がり

お客様に入る度、問題が現われる

オーナー先生はとても厳しい方だったが、腕も間違いない昔気質の先生

そんな中で鍛えられた先輩着付け師さん

あのピリリとした空気感の現場、今では懐かしい

先輩着付け師さんは何でもよく教えてくれた

見て覚えろ!の美容業界ではあるが、聞けばちゃんと指導してくれた

良き現場に育てられたことには感謝である


自分の技量にある程度の自信がつくまでに続けたこと

一日の仕事を終えノートに書き留める

裾が短めになってしまった、襟の抜き加減が甘かった、帯結びが安定しずらい、襟合わせをもっとゆったりした方がよかった

など、反省や課題を洗い出していく

その課題をもって師匠のところへお稽古にいく

――文字にするとたったこれだけのことだが

それの繰り返しで「何がきても、こわくない!」という自信を身につけた


現場で最初のお客様、私の着付け師としてのデビュー戦

忘れもしない 留袖のお客様

今では、よくあることなんだとわかるが

新郎のお母様 50代くらいだろうか。体型はふくよかで、、、

持っていらした留袖は、お嫁に来るときに持たされたらしいもの

サイズは小さく、上前を合わせると下前は左足にかかるのがやっと

焦りながらもなんとか着せなければと奮闘

身幅が足りないと、裾はなんとか見られるように整えても

襟合わせが難しい 大きく開いてしまう

もう これが 限界 です と、言わんばかりの仕上がりにしかならなかった


気が付けば、10年を過ぎていた

「一人前」

プロとしてやってはいるが、満足のいく完璧な着付けと自負できたことはないかもしれない

いつも どこかに反省点が残る

技術の世界は これがあってこそ なのだ とも思う。

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