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起きても夢でも…

1,2年ほど前から注目している女優さんがいた。絶世の美女ではないけれど、あどけなさが残る初々しいその笑顔をテレビで見るだけで、ピュアだったころの自分に一瞬だけ戻れる気がした。ナチュラルで澄んだ感性が演技にも反映されていてテレビで見るたび惹きつけられた。

しかし彼女はある過ちをおかし、メディアから消えた。

マスコミは彼女をこれでもかというくらい叩いた。彼女を庇う人まで叩かれた。

私の若いころを思い返してみる

彼女はまだ22歳。私は22歳のころの自分を思い出してみる。人の愛し方さえよく分からず、傷だらけになりながら日々苦しみもがいていたあのころ。

冷静になんて、理性的になんてなれず、火が付いたら即行動。衝動的で情熱的。思い返しても恥ずかしいほど稚拙な恋愛しかできなかった。

でも、だからこそ純粋だったあのころ。

幸いなことに、私の目の前には見惚れるほどハンサムで、才能あふれる魅力的な既婚者は現れなかった。

だけど、もしも、そんな人が恋愛の免疫の少ない無邪気で無防備なあの時の私の前に現れていたら…。

そして憧れてしまうほど素敵なその人が自分に好意を示してくれたら…。

断言できる。私は恋に落ちてしまっただろう。あっという間に。

愛することは止められない

私の周囲にも彼女のような恋をしている人がいた。悩み苦しみ傷つきながらも真剣に誰かを愛していた。

当然彼女たちは自分のしていることが、だれかを傷つけることだということは理解していて、だからこそ悩み苦しんでいた。

不倫を擁護するつもりは全くない。法律に反する行為だし、誰かを裏切り傷つけることに加担することは罪だと思う。

それでもやっぱり恋に落ちてしまったら、誰かを愛してしまったら、簡単にその状態から抜け出すことは難しいと思う。

異国の地での恋愛事情

外国に住んでいたある時、私は友人の一人と恋に落ちた。彼は既婚者ではなかったが、自国に恋人を残してきていた。

彼と恋に落ちることは想像もしていないことだった。第一彼は全く私の好みじゃなかった。

けれど、自分の国から遠く離れて住むさみしさからか、外国に住んでいる気分の高揚からか、ある時雷に打たれたように突然私たちは恋に落ちた。

何度も会うのはやめようと思った。彼は彼女を愛していたし、自分の手に入らない人だとわかっていた。

けれど不毛な恋をなかなかやめることができなかった。

そのうち状況に我慢ができなくなり、私は彼に彼女との別れを迫った。私たちの関係はだんだんぎくしゃくし始め、やがて疎遠になった。これでいいのだと思いながらも、心にとげが刺さったような痛みがいつまでも続いた。

当事者は許さなくて当然だけど

反対に自分が愛する誰かに裏切られたら?想像を絶するほど辛くて苦しい経験だと思う。

当事者は自分を裏切ったパートナーやその相手を許せなくて当然だと思う。

だけどやっぱり第三者が責めるのには違和感を感じる。

誰だってだれかを傷つけたことは一度くらいあるのだから。

恋はタイミング次第で突然やってくる

恋とは衝動的なもの。頭で思っていることと全く違うことをしてしまうことがある。予測不能で荒馬に乗るようなもの。

年齢を重ねれば、経験を重ねれば、その荒馬を乗りこなせるようになるかもしれない。

タイミング次第で思ってもない人と恋に落ちてしまい、誰かを傷つけてしまうことは誰にでも起こりえるはず。

またいつか彼女を見たい

キャリアも浅くまだ若いときに、才能あふれる素敵な俳優さんと一緒に観客をうっとりさせるような恋愛映画を一緒に創ったら…ぼーっとなって理性が飛んでしまう気持ちは理解できる。

もし、もっと成熟していたら、もっとキャリアを積んでいたら、彼女は憧れを憧れのまま留めていたかもしれない。先のことを予測して誘惑に打ち勝っていたかもしれない。

タイミングが悪かった。ただそう思う。

彼女のピュアで純粋な可愛らしさは魅力的で、澄んだその感性は今後もっと美しく花開くことだと思う。可能性のある一人の素敵な女優さんが消えてしまうのはとても残念。

彼女の演技をまたいつか見たいと思う。


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