谷家旅行⑥ 2022春 種子島 中編 

3  4月3日(日)のつづき
13時半には 種子島宇宙センター博物館前の駐車場に到着。社員食堂を目指して歩き出した。まあまあキツイ上り坂、距離も結構ある。管理棟ということもあり道路には防犯カメラが、がっつり。管理棟の駐車場を抜け、やっと食堂が見えところで気付く、なんか暗いぞー、と。
とその時、一台の車が近づいてきた。
「どうかしましたか?」黄色いパトランプの乗用車。
「食堂に来ました」
「今日は日曜でお休みですよ」
そりゃそうだ、博物館が月曜定休だから 勝手に食堂も月曜休みと思っていた。日曜は所員さんも休みだよな、と今になれば思う。それより、もしかして防犯カメラに我々3人、不審者として映ったから追いかけてきた?って考えると 恥ずかしいやら気まずいやら。なのに空腹ゆえ「おじさん達、お願いだからその車で駐車場まで乗せてくれないかなー」なんて思ってしまった。
頑張って登った坂道を下り、車に戻る。子供たちは空港で買った黒糖蒸しパンのようなもので空腹をしのいで、気を取り直し宇宙科学技術館へ。ツアーは前もって電話予約しておいたから、それまで館内を見学して ショップでTシャツやお土産を購入。アイス(地元のジェラート)で血糖値を維持。
15時発の無料のガイドツアー。楽しい。宇宙やロケットに詳しくない私でも十分面白い。万が一、夫と再訪することがあったらまた申し込もう。
とにかく広くて、どこを切り取っても景色が絵になる種子島宇宙センター。4月ということで 敷地の花々もとてもきれいだった。

ツアーは16時半前に終了。翌朝の高速船が8時だからと港から徒歩圏内に宿を確保したせいで 島の南西端から北東の西之表まで50㎞以上、1.5時間で移動しなければならないことに。空港から門倉岬までは国道58号を一直線だったが 復路はナビによれば西海岸→中種子町→東海岸経由で西之表まで、到着予想時刻は18時ギリギリになっていた。
東海岸の海水浴場は素敵だった。熊野浦の熊野海水浴場、手つかず?の景色、夏にもう一度訪れたいくらい。車窓から一瞬マングローブ?も見えて 南の島に来たと実感して、中種子町の市街地(娘はマツキヨや100均があったことに驚いていたけど)を抜けると 西海岸沿いの道に出た。徐々に日が暮れてきて海面がキラキラとこちらも絶景。海上に島が見えて、
「お母さん、あの島は?」と娘
「屋久島にしてはぺったんこだよねー、屋久島は標高の高い山があるはず、私運転中だから 調べてよ」
娘によれば 馬毛島、住人が去って無人島になったところを国が買い取り、 今は米軍が訓練に使用しているという。道沿いに「馬毛島の米軍使用反対」の看板もあって、門倉岬の慰霊碑に続いて自分の無知さを知る。と同時に 実際来てみないとわからないことって沢山あるよな、私が旅をする理由 旅が好きな理由のひとつ。

高速船待合室内のオリックスレンタカーで清算手続きして、徒歩でホテルニュー種子島に。これまた2食付き1人8900円とお値打ち。高速船乗り場には日曜の夕方だったからか、横断幕を持った人たちが・・。テレビで見たことあるやつ。離島で何十年も続いてきたであろう風習。
ホテルは元々4人で6畳和室を2部屋とる予定だった。夫がキャンセルになり 6畳間に布団3枚でキツキツ。でも喫煙OKだし 窓からは港が見えるオーシャンビューだった。夕食を遅らせてもらい 先に入浴することに。ここもサウナと水風呂あり(サウナー夫のために)。浴槽もサウナも小さいが清潔でとても気持ちが良かった。
夕食は最上階のレストランで和食。ちょうどサンセットタイムでこれまた絶景だった。刺身や煮物など品数多く郷土料理と思われ、どれも美味しかった。ただ高校生の息子にはややボリューム不足だったよう(お値打ちだから仕方なし、私には十分量)。タバコを買いがてら フロントで教えてもらった近くのコンビニ?(のようなスーパーのような)で夜食を探すことに。私は浴衣にサンダル、「私も行く!」と付いてきた娘はスリッパ(フロントの人が苦笑でそのままどうぞ、と言っていたけど・・・)。さっさと買い物してホテルに戻るつもりが 島の何でも屋のようで ペット用品から日用品もあり、地元のお菓子やパンなどなどに目移りしてしまった。

4  種子島について
念願の種子島、本当にいいところだった。
もしかしてバブル時やコロナ以前はもっと観光地化していたのだろうか。いわさきホテルくらいで 全国チェーンのホテルもない。サーフインと海水浴の島なのだろうか。サトウキビや安納いも、畜産 漁業あたりが産業の中心か。すでに田植えが終わっていて、頑張れば二期作できたりして?なんて考えたが、台風があるから難しいんだろうな。
島の方には申し訳ないが このまま変わらないで欲しいと思ってしまう。過去15年で8回沖縄の旅をしたが その間に恩納村に続々とホテルが建って 私にはなんかうれしいような寂しいような・・・だったから。
種子島いいところ、私なりの理由を考えてみる。私の地元、バブル期にゴルフ場開発に失敗(会員権を売りすぎて全国ニュースになったやつ)、イトーヨーカドーは撤退、工場は閉鎖され太陽光パネルに、などを経て人口は減り続け、シャッター商店街を通り越して もはやゴーストタウンのような地元を 母は情けないと繰り返すけど、私には日本の近未来に見えていたりする。うまく言えないが イオンもコストコもないけれど 実は地元でほとんどのことが完結できて住みやすのでは?と最近は思えてきていて。年を取ったせいなのは間違いないけど。
種子島も 若い人には情けなく見えるのかもしれないけれど これからも農業、畜産、漁業、第一次産業中心の静かな島だといいな、なんて考えた。
その上、なんてったって唯一無二の種子島宇宙センター、なんとかH3?打ち上げを成功させて 是非とも存続してほしいと思う。

5  4月4日(月)
天気は良好。早起きして荷造りしてから朝食会場へ。朝食バイキングは豪華で、9000円弱が申し訳ないくらい。夕食時に頑張ってドリンクを注文したけど、夫がいないから大した金額にもならず・・・だった。
前日レンタカーを返却した西之表港へ。予約した高速船は当日座席指定だったらしく、窓側の2人席は無いから真ん中の5人席にと言われる。朝食が美味しくて子供がお替りしたせいだから仕方ない(私はその間にチェックアウト)。
4月の月曜日ということで船内に観光客は少なく 地元の人が多いようだった。定刻に鹿児島港に向け出港。
そういえば昨日、浴場の番台のおばあさんが
「明日は船が揺れないからいいね」って言っていたな。神社の御利益だったか・・・

つづきます。







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