Mへ
わたしはあなたに腹を立てている。
もう、本当に怒っている。
こんな風にちょっかいを出してくるのはやめてほしいの。ねぇ、聞いてる?
そうだね、ちょっとくらいならいいよって許したのが間違いだったんだ。
でもね、昨日は本当にショックだった。
痛かった。泣くかと思った。
数えたら6箇所も跡が残ってるの。
あなたのせいよ。いまでもまだ赤く腫れてて、薬を塗っても冷やしてみてもぜんぜん引かないのよ。
明日出かけるんだけど、結構目立つから恥ずかしい。どうしてくれるの。
それにしても、一度にあんなに刺すなんてびっくりだった。そんなに飢えてたのかしら。
血なら少し分けてあげてもいいよって前から言ってるじゃない。ただし、体液は置いていかないでって何度言ったら分かるの?
そのせいでこんなに腫れて、こんなに赤くなって、かゆくて、かゆくてたまらないんだから。
痒くさせたり、変なウイルスや虫を置いていったりするからあなたは嫌われて、追いかけられて、叩かれるのよ。そのせいで共存が難しくなるって分かってないでしょ。
血なら少し分けてあげてもいいのよ、嫌なことさえしなければ。
でも、もうこれ以上あなたに振り回されたくない。眠れない夜はあったけれど、思い出そうとしても、あなたとの幸せな思い出なんて全然出てこないし、変な跡が残るのも嫌だもの。
お願い、もうわたしに構わないで。
明日はスプレー買いに行ってくるつもり。煙が出るお香タイプもあった方がいいかしら。
最後に、Mへ。痛みを教えてくれてありがとう。でももう、無理。
さようなら、Mosquito
さようなら、Zanzara
さようなら、蚊