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【起業日記②】布おむつの開発(2011)

前回のお話はこちら

東日本大震災をきっかけに布おむつの素晴らしさに気づき、また想定市場規模8億円という男性がまず狙わないであろうニッチなマーケットに可能性を感じたことから、布おむつの製品化に乗り出しました。

既存の布おむつに感じた「不」

当時、日本で主に流通していた布おむつは【輪おむつ】とそれをカバーする【おむつカバー】の2種類です。輪おむつを10枚ほど使ったところで、この商品の持つ致命的な欠陥に気がつきました。それは、「洗濯機で絡まる」ということです。

輪おむつは薄い素材で長いため、何度洗っても洗濯機で絡まるのです。そして、我が家で使っているドラム式洗濯機では絡まると、けたたましいエラー音が鳴り響きます。せっかく寝かしつけた息子が洗濯機のエラー音で起きてしまうのです。「またか・・・」と思うほどの頻度で勃発します。これは何とかならないものかと、いつも思っていました。
 
そしてもう一つ、輪おむつがずれないように装着するためのおむつカバーは、当時サイズ別で展開されていました。70、75、80…とサイズ展開が細かく、成長する赤ちゃんに合わせてこまめな買い替えが必要です。そこまでお安い物でもないので、ワンサイズで長期間使えるものはないか探していたところ、オーストラリアのエコな会社から販売されている布おむつを見つけました。

日本の洗濯文化に合う、布おむつ開発

オーストラリア発の布おむつは、日本で言う輪おむつにあたる「おむつ本体」と「おむつカバー」が一体化したものでした。また成長による買い替え負担がないよう、おむつカバーにはスナップボタンがたくさんついていて、サイズに合わせて融通が利く作りになっています。結果として生地とボタンはずっしりと重く、生後間もない赤ちゃんに履かせるには腰への負担が気になります。
 
また、よくよく調べてみるとオーストラリアは乾燥機文化で洗濯物を干しません。一方の日本は洗濯物を干す文化なので、分厚いものは乾きが悪く嫌厭されてしまいます。そもそもおむつ本体とおむつカバーは別々の方が、汚れた本体のみを洗濯し、おむつカバーは繰り返し使うことで家事負担は軽減されます。
 
洗濯機に絡まることのないおむつ本体と、サイズ調整可能なおむつカバー。この二つを作ることができれば日本でも受け入れられるのではないか。そう思い、早速工場探しを始めました。

布おむつをいろいろ試して上機嫌の息子。

布おむつを縫ってくれる工場を求めて

2011年の夏は、ひたすら工場に電話がけをする毎日でした。リクルートでもマクロミルでも、新規開拓営業をしていたので架電には慣れています。縫製工場をリストアップしては「布おむつを縫ってくれませんか?」と電話をし続けました。
 
「布おむつ?うちでは無理だよ」「昔は縫っていたんだけどね…」一体何件断られたのか、記憶もないほどに掛け続ける中で、「縫えますよ」と答えてくれる会社に出会いました。韓国で、縫製を専門にする貿易会社でした。しかも、話を聞くと韓国で流通している布おむつを縫っているとのこと。これは一刻も早く行くしかない。0歳の息子を抱え、最低限必要な韓国語は話せるようにと準備したメモを持って韓国に飛び立ちました。季節はもう秋になっていました。
 
次回へ続く。

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