エンジニアあるある?「人が増えても速くならない」 倉貫義人さんのトークイベントを通じて感じたこと
先日、「人が増えても速くならない~変化を抱擁せよ~」出版記念 倉貫義人×仲山進也 公開 ザッソウラジオというイベントに参加しました!
倉貫義人さんは、元エンジニアで現経営者。
「納品のない受託開発」として、月額定額&成果契約で顧問プログラマを提供するという一風変わったシステム開発をされている、株式会社ソニックガーデンの創業者です。
今回、「人が増えても速くならない~変化を抱擁せよ~」という書籍の出版記念ということで、書籍の内容とも関連したお話を伺うことができました。
書籍の内容と、トークイベントでのお話などを、感想ベースで紹介しようと思います♪
エンジニアという仕事の難しさ
実はクリエイティブ!
私もIT企業に勤めていることもあり、ソフトウェア開発の経験はありますが、なかなか奥深い仕事だと思っています。
仕事を始める前は、特にコーディングの行程は、指定された内容に沿って淡々と作業をするイメージがありました。
家づくりに例えると、上流工程の人が建築士や設計者のようなポジションで、プログラマは大工さん、と漠然と思っていたことがありましたが、
トークイベント中に「プログラマも設計者。大工にあたるのはコンピュータ」という言葉があり、ハッとしました。
エンジニアは仕様を満たすような設計を考えて、できるだけシンプルに、できるだけ美しく、設計書を書くクリエイティブな仕事なのです。
エンジニアの仕事に対する誤解
たとえばこんな誤解、ないでしょうか?
私も実務に入る前は、情報試験などの教科書的な知識として、下記のようなことを考えていたことがあります。
進捗が遅れたら人員をあてがうことで、開発スピードがあがる。
分業すれば、早く終わる。
適切に見積もれば正しい工数を出すことができる。
実際にはこれらはかなり難しいということを、今は身に染みて実感しています。
「エンジニアはクリエイティブな仕事なので、本を書くとか楽曲をつくる、などの仕事に似ている。
なかなか本が書けずに困っている作家に対して、お手伝いさんを派遣したたとしても、本を書くスピードは上がらないし、ましてや早く本が書けるわけがない」
という倉貫さんの言葉に、たしかに!と納得しました。
実際にはこうです。
人員が増えたからと言って、新しいメンバーへのフォローや、今まで以上のコミュニケーションが必要になり、かえって工数が増える。
タスクを分解するにも限界があり、そんなことをしているよりも一人でやってしまったほうが効率がいい。
起きうるリスクや不完全性は完全に想定することは難しく、あらゆることを考慮しようと思うととんでもないリスクを見積もることになってしまう。
特に私も見積もり、工数出しには苦手意識がありましたが、
「ただリスクとして積んでいて、問題が起きなかったときは速くできることもあるといった振れ幅があるため、誠実な人ほど見積もりが苦手に感じる人が多い」との記述があり
やっぱりそうだよね?と少し嬉しくなりました(笑)
じゃあどうしたらいいの?
この本には、「うまくいかないパターン」が 8 章に分けて書いてあります。
1.完成しても終わりではない
2.人を増やしても速く作れるわけではない
3.たくさん作っても、生産性が高いとは言えない
4.人に依存せず同じ品質で作ることはできない
5.プレッシャーをかけても生産性はあがらない
6.見積もりを求めるほどに絶望感は増す
7.一度に大きく作れば、得に見えて損をする
8.工程を分業しても、効率化につながらない
でも、「こうしたらうまくいく」のパターンは書かれていません。
試行錯誤あるのみ
これはソフトウェア開発の仕事だけではないと思いますが、変化が大きい現代、どうすればよいか?に正解はなくなってきています。
これからの時代は、ひたすら試行錯誤することが重要だ、とトーク会でもお話がありました。
「これはNGという道を避けながら、OBゾーンをひたすら歩いてみる。そのうえでよさそうかも?という方向に向けてチューニングする。これの繰り返しこそが試行錯誤。」
失敗を失敗と思わず、成功するまでやり続けることが大事とのことです。
これが結構骨が折れそうですね・・・
「結果にコミットしない。プロセスにコミットする」という言葉も印象的でした。
「ある成果を約束すると、そこで思考が止まってしまう。
わからないことはわからないままでやってみる、というやり方によって現代の変化の波を乗り越えられるのではないか」。
分業から、一気通貫の考え方へ
事業側とエンジニア側に分業の意識が強いと、お互いの仕事内容への理解ができず、任せて終わりになってしまいます。
これまでの人類の歴史では、分業によって世界がより豊かになった、というのは下記の書籍で読んだことがあります。
ですが現代においては、あなたの仕事はここまで、私の仕事はここまで、というのではなく、事業側の人間とエンジニアがワンチームになっていくことが必要であると述べられています。
「時代や環境の変化を予め想定し、あるがまま受け入れたほうがいい。その変化に対応するためにはワンチームで一気通貫で仕事をすることで、試行錯誤が生まれて、よりよい価値が生まれる」
これからの時代の働き方に対する考え方にワクワクしました!!
書籍についても、エンジニアの方が読むと「うんうん、そうだよね。わかる~」となることは間違いないですし
非エンジニアの方にとっても「エンジニアってこういう仕事なんだ!」という発見があると思います!
かなり読みやすい本だったので、興味ある方はぜひ読んでみてください♪