ここ数年のカラチ市政に関するゴタゴタ
前の記事に書いたように、パキスタンは地方分権です。
現在の連邦政府は、"政党A" が政権を持っており、カラチ市のあるシンド州政府は "政党B" が政権を持っています。
そして、2016〜2020年8月末まで、カラチ市長は "政党A" と仲が良く、"政党B"と仲の悪い "政党C" の政治家が就任していました。
カラチ市政の予算は、シンド州からは職員の給料、病院や道路、公園、図書館などのメンテナンスなど、市の運営に関するお金が、連邦政府からは主に新規で作るインフラに関するお金が入ってきます。
この当時の政治家市長さん、就任直後に諸々のことで逮捕、刑務所へ収監されていたこともあり、スタートからどうなるのかなと思っていたところ、自分たちの政党支持者、仲良し政党の支持者をカラチ市の幽霊職員にして、仲の悪いシンド州政府からの予算を全部ばら撒いてしまう。
そして、仲の良い政党である連邦政府には「シンド州政府が予算をくれないのでなんとかして」とレターをしたためる。
さらに、これは彼らが指示したのか支持者たちが勝手にしたのかなんとも言えませんが「シンド州政府は何も仕事をしない!」と市民に印象づけるために、政党Aと政党Cは、道路のレンガを剥がしたり、水道管に木材やプラスティックなどを詰めて水が届かないようにしたりと、街を壊していろいろ妨害をしていました。(ここに住むいち市民として、もう、本当にただの迷惑)
幽霊職員ではない真面目な職員たちは、年単位で給料が未払いだったので、リキシャ(三輪オート)ドライバーやチャイ屋などでアルバイトをして生計を立てていたこと、市民を守るために業務で使用する車両のガソリン代や維持費が全部、職員のポケットマネーで賄われていたことが市長退任後に発覚。
確か2019年のデータでは、パキスタンの税収の65%、シンド州も95%がカラチからの税収に頼っており、それらを支えるパキスタン最大の商都は、真面目な職員たちの「善意」で支えられていたわけです...。
今までは、カラチ市もその下の各自治体も、市長・副市長、会長・副会長がいて、政治家がその職にいたのですが、2020年9月からは「国勢調査が終わって次の選挙が行われるまで」という条件付きで国家公務員/地方公務員の官僚たちがそのトップに就任しました。
で。
彼らは政治家と違って多方面を気にせず、裁判所の命令と法律に沿ってサクサク仕事をしていくもので、新体制になってから、まだわずか1ヶ月半ほどですが、体感で明らかに市内が綺麗になってきました。
壊れていた街灯が再び点き、時計台の時計がやっと動き、道路の陥没は修復舗装され、違法建築は撤去され、街中からゴミ山が消え(←逆に今までこんなだったので、それは治安も悪かったわけです)当然今まで予算が全く回っていなかった公園やスポーツ施設、動物園、図書館、病院、学校、食肉処理場など公共施設はメンテナンスをされ、清掃局や消防署などもようやく予算が適切に届くようになった。
今回発表されたKarachi Packageのおかげで、今までの「俺が俺が!」じゃなく、政党・政府の垣根を越えて皆でちゃんとカラチ市を整えようよ。という調和傾向なので、このまま上手く行くといいです。
↑
これはSNSで拡まっている風刺画ですが、ほんとカラチ、頑張れ。