物足りた国にある物足りないもの
久しぶりに日本をしばらく離れ戻ってくると、言葉でうまく言い表せない物足りない感覚がふっと体を突き抜けて行く。
メディアを通して、歩く街中の空気を通して、途上国で過ごしている中では感じない感覚。
もしかすると、途上国という非現実の中にいたからかもしれない。ひょっとしたら、竜宮城から戻った浦島太郎はこんな感覚だったのかと錯覚する。
どこかから出てくる「不安」の文字。
便利な物にあふれ、便利な交通機関を有し、安定した経済の中にはびこる、はっきりとしない不安の空気。
途上国で感じる先の見えない不安とはまた違った、先を行く人を見てしまえるから故の不安。
必要なものが手の届くところにいつもある
なんでも揃うコンビニエンスストア
24時間営業の飲食店
今日頼んだら明日には届く物流システム
それにも関わらず、私達の人の気持ちは満ち足りない
気持ちを満たすものは結局のところ物ではないのかもしれない
物足りない国で生活する事は私にそんな事を教えてくれた
結局、全てが揃う世界なんて探してみても無い気がする
何かがあって、何かが欠けている
その絶妙なバランスで世界は回っているのかもしれない
物足りた国で過ごすのか、物足りない国で過ごすのか
自分が何を大切に生きて行くのかを問われている気がした。
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