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 親が何気なく言い、大したことでも無いのに忘れられない言葉がある。そのひとつが、私が7歳くらいの頃に母から言われた「◯◯(私)は白が似合わないね」である。
 私は白が似合わないんだ…としょんぼりした記憶がある。それが理由でも無いが、三十代まではあまり白を着なかった。母に全く悪気は無いし、実際、自分でもあまり似合ってないと思っていた。

 母は、幼少の私には「ボケた色が似合う」と言っていて、上の妹には「鮮やかな色」、下の妹には「何でも似合う」と言っていた。
 小さい頃の私は、真っ黒で多毛な髪に色白の丸顔で、所謂スモーキーカラーのガーリーな服を好んでよく着ていた。上の妹は、パキッとしたカラーが似合い、私のお下がりは、子どもの私でも感じるくらいに似合わなかった。
 私は汚れやすい薄ピンクやら水色やらの洋服を着倒し、上の妹はユニセックスな濃い目の色の服を着て、下の妹は姉二人の衣生活に耐えたお下がりとお下がりの不足分を買い与えられていた。下の妹は、比較的顔は私に似ているが、本当に何でも着こなす親孝行だった。

 「白が似合わない」と思っていた私だが、最近は白を着ることが多い。単純に、加齢により白の清潔感が必要になってきたからである。
 いろいろ下がってきた(?)ので、白シャツも嫌味なく着られるようになってきた気がするし、今年購入した白パーカーも似合っていると思う。私の白もなかなかイケてるでしょ、と母に見せたかったなあ。