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【読書会感想】本を紹介すること 女の子がいる場所は

 毎月楽しみにしている読書会があって、前回のテーマが「人に紹介されてよかった本」だったので、私は同じボランティアをしている方から紹介していただいた本を紹介した。私が読書会で紹介する本は、面白いことはもちろん、聞き手の興味関心にどんな引っ掛かりを提示出来るか考える。プレゼント選びと似ている。
 ほかに参加されている方から、思春期に母が勧めてくれた本、読書会で出会った本、友人の読後の感想に興味を持って読んだ本、新聞の書評に目が留まって読んだ本など、いろいろな出会いのエピソードがあり興味深かった。ある方が、「人から紹介された本は人に紹介したくなる」とおっしゃっていて、その時は軽めに聞き流していたのだが、後からそれって面白いな、と思った。ドミノ倒しのようだ。
 我が家には積読の本がたくさんあるが、ほぼすべての本が、何らかの紹介を経て巡り合ったものか、気に入った著者の著書だから購入したものである。そう思うと、紹介とは素晴らしいものですね。
 

 やまじえびね『女の子がいる場所は』は、五篇の短編から成り、主人公は10歳の女の子だ。この読書会で紹介されたので読む機会を得た。
 
 五人の女の子たちは、生きている場所は違うがどの子もさしあたりは衣食住教育が整った環境、その社会では良い方のクラスにいて、優しく聡明で、未だ庇護される存在だ。いずれ自分の足で立って何処へでも歩いて行けそうだけど、その力はまだない。10歳頃から、だんだんと自分を客観視出来るようになり、周りの同級生と比べる中で自分というものを意識し始める頃と言われるが、経験的にもそうだなあと思う。

わたしたちは
結婚しないと
生きていけないの
ママ?

サッカーボールを蹴飛ばす日

 サウジアラビアの女の子の心の中のセリフ。
 心の中で思うだけで、母親にも友達にも言わない。主語が「わたしたち」であるところが絶妙だと思う。

 学習支援の場で、このサウジアラビアの女の子の黒い瞳を思い浮かべたことがあった。将来は旅へ出ていろんなところへ行きたいと言った女の子。
 どうか、世界中の女の子が、自分の行きたい場所に自由に行ける世界になりますように。