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源流遊行祭を取材レポ


『源流遊行祭2023
川ととけあう、いのち』

私が郡上を去って20年の間に、
移住者の方々がとても増えているというのは耳にしていた。

そして、その移住者の方々が、
ものすごく郡上の自然を守ろうとしてくれているのも聞いてはいた。

昨日、ひょんなことから、
取材に行かせてもらえることになり、
下調べも不十分なまま、明宝へと車を走らせた。

同じ市内とはいえ、自分が住んでいるところから約60分。
実は、はじめて訪れる土地だった。
そこで私は衝撃的な体験をすることになる。

すでに始まっていた施業という名のワークショップ。
「環境土木の第一人者」である 高田宏臣 さんの指導のもと、
50名以上の大人たちが森再生のため『土中環境』を整える森仕事を施業しているところだった。

手法は、先人たちが代々引き継いできた、手作業がほとんどで、
間伐地帯の底の部分に、水が通る道を作っているところだった。
藁を敷き、炭をまき、石を積み、落ち葉や藁を隙間に詰める。
本当に地道な力仕事で、

正直最初私は心の中で、
「え?この膨大な森のこの一角をコツコツコツコツ手作業で作っていくの???この人たちは何の目的で集まっているの??」
とクエスチョンマークだらけだった。

そして安易にも、それを運営スタッフの方に問うてしまった。
すると、
「私の話はあとからどれだけでもできるので、
せっかくなので、高田さんの近くで、見て、聞いてみてください!」

今思うと、
簡単に答えを求めようとしたこと、
答えなんてないことを問うたこと、
すべてが恥ずかしいくらい。

高田さんの指導は、
すべての工程に意味があり、
それをひとつひとつ丁寧に説明してくれる。
それを聞いているうちに、
時々ぶわっと涙が出そうになる。

そんな私を見かねた、今回の企画の主催者である
『長良川カンパニー』代表の岡野春樹くんがやってきて、
「前段とか、ちょっと説明するね」と声をかけてくれた。

長良川カンパニーが行っている
森の中の企業研修の話、
この山の持ち主である方の話、
今回協賛してくださった企業の話、

そして最後に、
『でもね、やってみるととにかく楽しくて、
大人の砂遊びみたいな感じなんですよ!』って無邪気に笑っていた。

そういえば、
最近彼と話していた時にも、
『郡上での暮らしや仕事は大変ではあるけれど、
それを上回る、川遊びの楽しさがある。
大人も全力で遊べる場所って素晴らしいんだよ』
と言っていたことを思い出した。

自然と触れ合うことは、
理屈なんてなく、楽しいんだ。

施業がひと段落すると、
源流ツアーと禊ツアーが行われた。



もっともっと、森の深くに入っていき、吉田川の源流にまでたどり着く。
獣道の途中には、二ホンカモシカの骸骨が石の上にそのままになっていたり、
二ホンカモシカがさっきまで昼寝をしていたという跡も教えてもらった。


と、いっていたら、本人(鹿)登場。
今までに見てきたカモシカの中で一番大きくて、迫力満点の二ホンカモシカが
私たち人間たちをじっと見つめていた。
(もうね、リアルもののけ姫の世界)



水流を辿っていくと、禊ツアーをやっていた集団に遭遇。
森の施業で汗だくだった大人たちが、赴くままに意気揚々と川に飛び込んでいた。

源流ツアーのガイドの方も、気付けば川に飛び込んでいる。
あ、あの人も入った。あ、あの人も。
みんな次々に、我慢できない!って感じで川へ飛び込んでいく(笑)
ついに、カメラマンも、カメラを置いて
服のまま川を泳いでいた(笑)

そして、数分後、みんな何事もなかったかのようにツアーに戻っていく(笑)
ここにいる人たちは、ものすごく自然と距離が近い。
動物とも、植物とも、天気とも、会話をしているようだった。
というか、人間も、まぎれもなく動物のひとつでしかない感じ。

こんなにも目に見える形でそれを感じる体験をすることになるとは。

人間も地球のひとつの要素でしかないんだ。
地球という環境が持続再生し続けるために、
人間ができることを少しだけやる。

ガイドさんが、こんな話をしてくれた。
「ここはリスの冷蔵庫です!
リスが木の実を持ち運び、木の力では移動できない場所にそれを保管する。
たまに、動物は保管したこと自体を忘れて、木の実が根付く。
そうやって、針葉樹の森にも広葉樹が育ったりするんです」
蜂や蝶々の受粉の大きいバージョンだ。


でも、その役割はものすごく大きい。
本来、人間の営みが、そのくらい、地球や自然にとっても良い形で
恵みをもたらせるような生き方で、
川や森と共存していけたら
きっとそれが持続可能な形なんじゃないかと思った。

そんなこんなで、次々に学びがすごい勢いで降ってくる。
私がコンポストするようになったのも、
防災に興味を持つようになったのも、
すべてが繋がった。


そしてもうひとつとても大事なこと。

それは、最初にも行ったけど、
理屈なく、本能のままに、自然遊びを楽しむこと。

ただそれだけでもいいんだってこと。
森の動物たちと同じように。

100年先も郡上の川や山々が元気で、美しく、
豊かであるために、私にできることを、
微力ながらしていきたいと、誓った。

ここで、また登場するあの言葉。
「私たちに偉大なことはできません。
偉大な愛で小さなことをするだけです」by マザー・テレサ

頭から湯気が出そうなくらい刺激的だった1日。
この環境に心から感謝したいし、
これから、もっともっと
この郡上から、たくさんのことを発信していきたい。

子どもたちには、
私の背中で見せていきたいし、
伝えていきたい。

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